【日本僑報電子週刊】連載「鶴の橋渡し」コラム(3) 頑張れ、雪松町/瀬川 はやみ (3/3ページ)

バリュープレス

それは2008年北京オリンピックの年のことで、珍しく大雪が降ってきたので、わくわくした気持ちを抑えきれず、私は手袋もマフラーも捨てて、家を飛び出した。すると、我が家の前にある大きな松の木に真珠のような白い雪が積もっており、寒風の中でも生き生きと変わらず凛々しい姿で立っていた。
 暖かい視線で雪松町に住む人々を代々見守ってきた雪松には、一層、特別な意味があるのだろう。私は振り返り、ダーバイたちとみどりちゃんたちのほうを見た。日常を取り戻すために懸命に頑張っている後ろ姿に、なぜか急に目頭が熱くなった。白い防護服の裏にも、緑のボランティアの服の裏にも、「頑張れ、雪松町」と書かれていた。
 雪松町は、今日もコロナと闘っている。聞き慣れなかったコロナ禍という言葉も、今までやったことのないPCR検査も、今や既に日常的な存在となった。冷たい雪が降っている冬を乗り越え、松のように健やかに生きていけるのを信じ、私たちは今日も頑張っている。
注:①雪松町:上海の西北部に位置する町
②健康雲(ヘルスグラウンド):PCR検査や抗体検査の予約・結果がわかるプラットフォーム。WeChat又はアリペイのミニプログラムから入ることができる。

※瀬川(せがわ)はやみ 「鶴の橋渡し」コラムの開設者。現在、名古屋大学人文学研究科で日本語教育を専門とし、研究活動を行っている。中国の伝統衣装である漢服(ハンフー)文化をはじめ、様々な文化発信や異文化交流に力を注いでいる。
※「鶴の橋渡し」コラム このコラムは、日本語を勉強している中国人学生の目線から、様々な日中文化をエッセイの形で紹介する。「鶴」は「長く幸せを運び、千年の長寿」を意味し、「橋渡し」は「橋をかけること」を意味している。日中国交正常化が50周年を迎えた年に、コラムの発信者らが千年生きる瑞鳥のように、日中間の橋掛けとなり、日中交流が末永く続きますようにという願いが込められている。



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