前年最下位から日本一 ヤクルト優勝の転機となった「2つの3タテ」 (2/2ページ)

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しかし、複数の選手が長期離脱した場合、スワローズの弱点があぶり出されてしまう”

“認めなければならないのは「一・五軍」というか、他球団の控え選手との力量差を感じたことだ。試合終盤で、先発メンバーをダグアウトに下げると、途端に戦力差が浮き彫りになる。”

と、その点を課題視していたように、それは2021年シーズンも変わっていなかった。そこで、チームとしては「フルメンバーで戦わないと、一気に離される」という危機感のもと、選手のコンディションにはより気をつけて戦ったという。

ただ、既存の選手の実力の底上げも着実に行われていた。先発投手では2年目の奥川恭伸が台頭し、正捕手の中村悠平には「なんらかの意識革命が起きた気がする。(リードが)しつこくなったのだ」(高津監督)。リリーフ陣も整備され、分厚くなった。もう一つのヤクルトの弱点であった「バッテリー力」については、着実に改善されつつあった。

「魔法」のようなものはないし、どれかひとつの湯素が飛び抜けて成長したから優勝出来たわけでもない。すべてのエリアで数パーセント、ほんのわずかな向上、改善が有機的に結びついて勝ちにつながった。(P11より)

この言葉通り、開幕戦以降のスワローズは大きな連敗もなく戦いを進めていった。中でも選手たちのマインドセットに大きな変化をもたらした転機となったのは、過去10年間で7度日本一に輝いているソフトバンク・ホークスにセ・パ交流戦で3連勝したことだったという。

ここで、高津監督は「今年のスワローズは戦える」と確信した。鬼門とされていた夏場以降も、過去2年のように選手層の薄さが顕在化することもなく、僅差で阪神タイガースを振り切ってリーグ優勝。クライマックスシリーズ、日本シリーズも勝ち進み、日本一となった。

スワローズは何が変わったのだろうか。
技術の向上には時間がかかるし、最下位に終わったチームのメンタルは勝つことで変化させるしかない。それでもすぐに変えられることとして、高津監督は「選手がプレーしやすく、球場に行くのが楽しみになる雰囲気づくり」を挙げている。

勝っても負けても活気のあるチーム、楽しいチームに。しょんぼりしていては好転する事態も好転しない。高津監督のチーム作りはそんな考え方が土台になっている。

2021年のスワローズの戦いを振り返る本書は、野球ファンだけでなく、組織をマネジメントする立場の人にとっても学びが多いはず。業績の上がらないチームをどうテコ入れするか。一体感のあるチームをいかに作っていくか。高津監督の言葉はそんな問いへのヒントとなるだろう。

(新刊JP編集部)

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