長瀬智也「寿司のシメは鉄火巻」大好きな回転寿司店で見せる素顔
第115回 「すし銚子丸」
アイドルだって飯を食う。アイドルを辞めたら、もっと自由に飯を食う。最近、アイドルの引き際を最も意識させたのが長瀬智也だ。
2020年7月22日、翌21年3月末をもってTOKIOからの脱退と、ジャニーズ事務所退所、及び芸能界引退も示唆し、音楽関係の裏方として新しい仕事の形を作り上げていくと宣言し、実際にその通りになった。
TOKIOの残り3人(国分太一・城島茂・松岡昌宏)は同年4月1日付でジャニーズグループの関連会社となる「株式会社TOKIO」を設立。グループとしての活動も継続中だが、長瀬は以来、メディアにも登場しない。
しかし、辞める3月間際までドラマ『俺の家の話』(TBS系)に主演。引退直前のタレントが連ドラ主演など、以前のジャニーズではあり得なかったことだ。他の有望な後輩に役を譲り、引退を印象付けるはず。そこに長瀬のともかく一度は足を洗い、それもふつっと姿を消したいという願望も感じた。
Instagramなどで見る限り、好きなバイクにますますのめり込んでみたりと、ようやく得られた“人生の夏休み”を謳歌するのに忙しげな長瀬。なにかふさわしい役でも振られたら、ひょっこり芸能界復帰もあり得そうで、だから時々、そんな待望論めいた報道も出てくる。俳優としての力量はグループの中でもピカイチなだけに、ぼくもそんな期待は持っている。
■長瀬智也の好物は回転寿司とハンバーグ
さて、傑作の誉れ高い2005年のドラマ『タイガー&ドラゴン』以降、TBSと縁の深い長瀬だが、同局のバラエティ番組『ペコジャニ∞!』の18年6月4日放送回にも登場し、庶民派グルメ党の素顔も披露した。
番組の中で長瀬は好物の回転寿司とハンバーグを堪能。ハンバーグは作家の岩下尚志の案内で西ヶ原の専門店(榎本ハンバーグ研究所)を訪れたが、回転寿司では関東一円で展開するすし銚子丸豊玉南店に関ジャニ∞の丸山隆平と共に訪問した。そして、そこで待ち受けていたのが俳優の大鶴義丹だった。
大鶴はやはり庶民肌の食通で、週4回は通う回転寿司マニア。都内の店はほぼ制覇したと豪語する。回転寿司店に贔屓にしている板前がいるぐらいで、同店の店長も「元々和食や割烹の職人だった」と紹介。そして、回転寿司を楽しむには4つのポイントがある、と長瀬さんに伝授した。それは以下の通りだ。
1.しゃり抜き=刺身として堪能。高級寿司店ではまず造りで一杯が常道。銚子丸でも同じ楽しみ方ができる。
2.抹茶塩で激ウマに。上がり用に置いてある抹茶と塩を混ぜ、クエやタコなど淡白なネタにつけるとグッと味を引き出す。
3.イカの激うまアレンジ。銚子丸のイカには紀州南高梅や昆布塩など味付けがされている。さらに生うにを組み合わせると、濃厚な味わいが生まれる。
4.寿司が無料で1ランクUP! 銚子丸には常備はしていない「プレミアム海苔」があって、アオサが多く含まれ、味が濃くパリパリ感も強い、この海苔に当たればラッキー。
■飲兵衛にはたまらない店
大鶴に薦められるまま、銚子丸の寿司を味わうひと工夫にいちいち感嘆していた長瀬だったが、彼なりのこだわりも持っていて、それは「寿司のシメは鉄火巻」に限るということ。最後のプレミアム海苔はとりわけ気に入った様子だった。
筆者もちょくちょく銚子丸は利用するが、この海苔の存在は知らずにいた。つまり、幸運な巡り合わせにこれまで巡り合わなかったということ。その点、タレントは得だ。
確かに銚子丸のよさは広い店内で寛ぎながら、造りや惣菜類をつまみに一杯やれるところ。季節ごとのイベントメニューも充実し、今のシーズンだと、鰹節の削り粉で漬けたという「さめかれいの削り漬け」、「銀鮭ネギ塩握り」といったユニークな品が楽しめる。
飲兵衛にはたまらない店なのだが、いかんせんほとんど幹線道路沿いに出店しており、駅から遠いのが難。車で出かける典型的なファミレスなのだ。
■回転寿司で育ったと言っても過言ではない
そして、銚子丸はちょっとお高い。寿司は2貫ずつ提供されるのが常だから、値の張るメニューばかり注文していると、すぐ高級店のランチ並みの出費になる。
コロナ禍以降も客足が伸び続けたという回転寿司だが、おひとりさま仕様にはなっていない。やはりツレが欲しいところだが、仕事の打ち合わせでカウンターに横並びは妙だし、たまに会う友人なども誘いづらいのが回転寿司。デートでも使わないだろう。
だから筆者など、たまの回転寿司欲求を満たすにも、もっとマイナーな店でランチやディナーのセットを黙々と食べている。
番組の冒頭、「最近は行けていないが回転寿司で育ったと言っても過言ではない」と語っていた長瀬。晴れて自由の身になった今、回転寿司も満喫できているのだろうか。その際、どんなツレと出かけ、どういった話をするのか。回転寿司店で横並びとなって、長瀬が胸に秘めている夢をぜひ聞き出してみたいものだ。
(取材・文=鈴木隆祐)