中村倫也「本物の激辛好きが目覚めた」ラー油そばとは?

日刊大衆

中村倫也
中村倫也

第121回「そば処港屋」

 アイドルだって飯を食う。若手イケメン俳優の中でも、中村倫也はすでに35歳で、童顔でジャニーズのアイドルにもいそうなルックスなわりに、すでに中堅の域に達しているといえよう。それだけ雌伏の時が長かったわけだ。

 2018年のNHK連続テレビ小説半分、青い。』での朝井正人役がブレイクのきっかけとなったが(同年のYahoo!検索大賞俳優部門受賞)、デビューは05年の映画『七人の弔』。当時は下の名を「友也」と表記した。

 つまり、中村は蕎麦のように「細く長く」活躍してきた。そんな縁起を担いでか、中村は無類の蕎麦好きを公言。18年8月9日放送のTBS系『櫻井・有吉 THE夜会』にゲスト出演した際は、「体の7割がそば粉でできている」と語るほどで、「毎日蕎麦でイケる!」んだとか。

 そして、番組では自称そば通の石原良純(60)に薦められた立ち食いそば屋を5軒を回った。うち4軒は筆者も行ったことのある店。番組で採り上げたような、ニューウェーブ系メニューは値段も高めなので、殊更食べてはいないのだが、まずはどこを回ったのか順を追ってざっと紹介してみよう。

■中村の激辛好きは本物

 石原も1口目はつゆをつけずに蕎麦を食べるという、ちょっとしたマニア。そんな石原の案内で向かった「進化系立ち食いそば」1軒目は、麹町にある「SOBA STAND そばうさ」だった。うさ=USAだそうで、店内はアメリカをイメージした造作なのが珍しい。こちらの評判は聞いているが、残念ながら未訪問。

 そこで一行は看板メニューで事実、人気NO.1の「バジル冷そば」(850円、価格はいずれも当時)を食べた。太めの平打ち麺でコシの強い、こだわりの田舎そばにレタス、アメリカの朝食をイメージしたスクランブルエッグにベーコンをトッピングし、バジルペーストにそばつゆを混ぜた汁に漬けて食べる一品。「イタリアンとアメリカンの融合した一杯」だそうだ。

 そして、2軒目は人形町の「そば助 人形町店」。つなぎなしの十割そばを使い、醤油を一滴も使わない黄金の塩だしが特徴という、16年にオープンした店だ。巨大な一枚韓国海苔に覆われ。特製のラー油がやみつきになる、こちらの人気メニュー「元祖ラーそば」(800円)を食べ、中村も「家の近くにあったらめっちゃ通う」と絶賛。

 もっと辛くしたい場合はコマ唐辛子で調整するが、2杯もさらにかけたところを見ると、中村の激辛好きは本物だ。中村は中村でも、中村橋之助(56)も番組で紹介したらしいが、残念ながら19年10月に人形町店は閉店している。もっとも、他に稲荷町に本店、浅草や池袋に支店があり、筆者も数年前に池袋西口店で軽く飲んで〆に使った。

■ラー油入りの肉そばの元祖的存在

 3軒目は上野にある「喜乃字屋」で、こちらは駅から上野公園に向かう便利な場所にあるので、ちょくちょく利用している。夜はちょい呑みも楽しめる店だ。ここで十割そばにフォアグラのムースとそばつゆを合わせた、「フォアグラエスプーマもり」(980円、現在はメニューになし)を食べた一行。フォアグラのムースを薄めに合わせると、「蕎麦との相性も抜群」とのことだ。

 そして、4軒目は三田の「à la 麓屋」。元フレンチのシェフが店主という、路麺党にはかなり前から知られた店で、やはり夕方から一杯飲れるのが嬉しい。そんなシチュエーションでぼくも立ち寄っている。番組で紹介されたお薦めメニューは、ラーメン風の冷やしそば「コテリ」(780円)。トッピングはチャーシュー・青ネギ・ニンニクチップ・煮卵と、見た目からしてラーメン。黒コショウのアクセントも絶妙で、山形の郷土料理「肉そば」を想起させる。

 そして、ラストの5軒目は虎ノ門にあった「そば処港屋」。開店前から行列ができ、1時間待ちが当たり前という名店だったが、19年2月に17年の歴史を閉じた。ラー油入りの肉そばの元祖的存在で、常連客に松本人志(58)・勝俣州和(57)・千原ジュニア(48)・香取慎吾(45)、そして社長 島耕作(弘兼憲史)らがおり、創業者は引退したが、今は暖簾分け店の港屋2とMinatoya3がそれぞれ大手町と乃木坂にある。むろんフォロワー店は全国にごまんとあって数えきれない。

 だから、中村らも「冷たい肉そば」(870円)を実食。蕎麦粉と小麦粉をオリジナルに配合したコシが強い太麺に、甘辛く煮付けた豚肉、ネギや海苔といった薬味をたっぷりトッピングし、ラー油を入れた麺つゆと生卵に絡めて食べる・・。筆者も本店で食べたのは1回ぐらいだが、並んだ甲斐もあったと思える旨さで、その味を超えるフォロワーはあり得ないだろう。ラー油大好きな中村の本命もこちらだったようで、さも満足げな表情で蕎麦を啜っていた。

■「1日3食でもイケる?」

 当初は中村も、若い頃はよく食べていたが「つなぎのほうが多いんじゃないか」とか、「蕎麦の味はしない」などと立ち食いそばを見下していた。ところが、多くの店が実際に立って食べるわけでもなく、価格的にも並のラーメン屋以上だが、それまでの立ち食いそば屋の概念を覆す味と個性を打ち出している。これはどこか、その辺にいる青年のようでいて、役ごとにことごとく異なる印象を与える、カメレオン役者の中村と重なってくるのでは……。

 しかし、いくら蕎麦でもあの細身によくあれだけ入るものだ。蕎麦の大食いをテーマにした、落語の『そば清』すら彷彿とさせる。司会の有吉弘行(48)から番組冒頭、「1日3食でもイケる?」と質問され、「全然イケます。2週間ぐらいそれでイケます」と豪語しただけある。あれこれ食べ歩いての、「蕎麦が世界旅行してるみたいです」との感想もなかなかオツだった。

(取材・文=鈴木隆祐)

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