「鎌倉殿の13人」次の鎌倉殿はもちろん源頼家?それとも…第26回放送「悲しむ前に」予習

Japaaan

「鎌倉殿の13人」次の鎌倉殿はもちろん源頼家?それとも…第26回放送「悲しむ前に」予習

建久10年(1199年)1月13日。源氏ひいては武門の棟梁として天下に号令をかけた鎌倉殿・源頼朝(演:大泉洋)が波乱の生涯に幕を下ろしました。享年53歳。

偉大なるカリスマを喪い、悲しみに暮れる鎌倉の人々。しかし頼朝が切り拓いた武士の世を磐石のものとするべく、次の鎌倉殿を選び出さねばなりません。

鎌倉幕府の第2代将軍となった源頼家。建仁寺蔵

「選ぶって、頼朝の嫡男・源頼家(演:金子大地)が後を継げば解決じゃないの?」

と思う方が大半かと思いますが、それは日本史の結果を知っているから当たり前に感じているだけ……かも知れません。

江戸時代ならいざ知らず、中世の武家は「バカ殿でも、跡継ぎさえいてくれれば後は何とでもなる」というものではないのです。

そりゃ嫡男であるに越したことはないものの、下手な者に家督を継がせれば、一族が滅び去る危険性が高まってしまいます。

では、源頼家のほかに鎌倉殿を継承する可能性がある者がいたのでしょうか。

今回はそのあたりを考察。NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」第26回放送「悲しむ前に」の予習になれば幸いです。

頼家じゃまだ若すぎる?それなら他の候補者たちは?

まず、頼朝が亡くなった建久10年(1199年)時点で鎌倉殿の後継候補者となり得る源氏男性をピックアップしてみましょう。

源頼家(頼朝の長男、寿永元・1182年生まれの18歳)
一幡(頼家の嫡男、建久9・1198年生まれの2歳)
千幡(後の源実朝。頼朝の次男、建久3・1192年生まれの8歳)
阿野全成(頼朝の異母弟で千幡の乳父。仁平3・1153年生まれの47歳)
阿野時元(全成と阿波局の嫡男。生年不詳だが確実に10代以下)

※厳密には他にもいますが割愛。あと、いきなり登場させるのも大河ドラマ的にはよろしくありません。

頼家は18歳。一応成人はしており、家督を継いでもおかしくない年齢ではあるものの、天下に号令する鎌倉殿としては若干の不安は否めません。となると、他の一幡・千幡・阿野時元は言うに及ばずでしょう。

『武家百人一首』より、阿野全成。画像:Wikipedia(Musuketeer.3氏)

であれば47歳の全成なら申し分ないかと言うと、彼は源氏の嫡流(自称)たる頼朝の異母弟。自身が鎌倉殿となるのは、頼朝の血統をこそ嫡流と考える周囲の反発が予想されます。

特に乳父として頼家を抱え込んでいる比企能員(演:佐藤二朗)などは、対立する北条時政(演:坂東彌十郎)の婿でもある全成を認めようとはしないでしょう。

頼家だけでは不安があり、全成だけだと不満が出る……となれば頼家を全成が後見することにより、比企と北条のパワーバランスを保つという選択肢が出てきそうです。

しかし、鎌倉幕府の公式記録である『吾妻鏡』を見ても全成が政治的積極性を示した形跡はありません。

頼朝時代からそのスタイルで生き延びてきた彼ですが、単なる処世術(野心のカモフラージュ)ではなく、本心から権力欲がなかったものと考えられます。

特に活躍もしていなければ、これと言った失態もなく、生かしておいても無害と思われたのでしょう。

そんな全成はやがて権力抗争に巻き込まれた結果、非業の最期を迎えることになるのですが、それはもう少し先の話し。

終わりに

結局、頼家が鎌倉殿を継承。比企一族はその外戚として権勢を増していく一方、北条一族は劣勢を余儀なくされることに。

かねがね比企一族の台頭を快く思わず、対抗意識を燃やしてきた”りく(演:宮沢りえ。牧の方)”は、夫・時政の尻をつねり上げたことでしょう。

大河ドラマの予告編では本命(比企派)の頼家に対し、対抗(北条派)の全成が担ぎ上げられ、鎌倉が分裂の危機を迎えることに。

果たして、鎌倉は分裂してしまうのか(イメージ)

北条なくして頼朝の挙兵は出来ず、今日の鎌倉はなかった……まさに「北条あっての鎌倉」を失う訳にはいかないのです。

そんな父たちの思いに対して、北条義時(演:小栗旬)と尼御台となった政子(演:小池栄子)は「鎌倉あっての北条」との思いを示しており、これが後に父子決別の前兆となります。

頼朝が亡くなってからいよいよ本番を迎える御家人たちの権力抗争。鎌倉殿の後継者争いをキッカケに激化していく比企と北条の対立を、果たしてどのように描いていくのか。これからも手に汗握る展開になりそうです。

※参考文献:

『NHK大河ドラマ・ガイド 鎌倉殿の13人 後編』NHK出版、2022年6月

日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan

「「鎌倉殿の13人」次の鎌倉殿はもちろん源頼家?それとも…第26回放送「悲しむ前に」予習」のページです。デイリーニュースオンラインは、阿野全成鎌倉殿の13人源頼家鎌倉時代鎌倉幕府カルチャーなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る