「鎌倉殿の13人」ネタバレ注意!前半放送の振り返りと後半 “血で血を洗う惨劇の連続” の予習

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「鎌倉殿の13人」ネタバレ注意!前半放送の振り返りと後半 “血で血を洗う惨劇の連続” の予習

偉大なるカリスマ・源頼朝(演:大泉洋)を喪い、鎌倉殿の座を受け継いだ嫡男の源頼家(演:金子大地)。しかし18歳という若さゆえ御家人たちはまとまりを欠き、それぞれの野心に蠢き始めます。

歌川芳虎「鎌倉星月夜」より、鎌倉殿となった頼家を後見する政子

NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」はここからが本番。血で血を洗う惨劇の連続に、今からワクワクしてしまいますね!

……という訳で、7月17日(日)から再開(参院選のため7月10日は放送休止でした)する後半戦を前に、これまでの振り返りと行きましょう。

これまでの振り返り

第1回「大いなる小競り合い」 義時、頼朝と出会う
第2回「佐殿の腹」 政子に近づく頼朝と和解
第3回「挙兵は慎重に」 以仁王の挙兵、独自に挙兵を決意
第4回「矢のゆくえ」 挙兵前夜、参集する御家人たち
第5回「兄との約束」 石橋山の敗北、兄・宗時を喪う

石橋山の合戦に敗れ、梶原景時に匿われる頼朝たち。国周「明治座新狂言 石橋山軍記」より

第6回「悪い知らせ」 窮地を脱出、海路で房総半島へ
第7回「敵か、あるいは」 上総介広常を説得、仲間入り
第8回「いざ、鎌倉」 堂々の鎌倉入り、政子との再会
第9回「決戦前夜」 武田信義との確執と富士川の合戦
第10回「根拠なき自信」 佐竹征伐、義経の苦い初陣
第11回「許されざる嘘」 伊東祐親・祐清父子の暗殺
第12回「亀の前事件」 頼朝にスキャンダル発覚、大騒ぎに
第13回「幼なじみの絆」 初恋の人・八重との結婚
第14回「都の義仲」 上洛を果たした義仲の失脚、御家人たちの謀叛計画
第15回「足固めの儀式」 上総介広常を暗殺、頼朝の恐怖政治が始まる

『本朝百将伝』より、上総広常。

第16回「伝説の幕開け」 義経が天才的軍略を発揮
第17回「助命と宿命」 義仲の遺児・義高を暗殺
第18回「壇ノ浦に舞った男」 源平合戦のクライマックス、壇ノ浦の決戦
第19回「果たせぬ凱旋」 兄弟のすれ違い、義経が都落ち
第20回「帰ってきた義経」 平泉の義経、泰衡に滅ぼされる
第21回「仏の眼差し」八重の死
第22回「義時の生きる道」再び謀反の兆し
第23回「狩りと獲物」 富士の牧狩り、曽我兄弟の仇討ち
第24回「変わらぬ人」 範頼にかけられた疑い、追放と死
第25回「天が望んだ男」 橋供養と頼朝の落馬
第26回「悲しむ前に」 頼朝の死と後継者選び

歌川芳虎「鎌倉星月夜」より、當麻三郎(源範頼の郎党)の謀叛を防ぐ江間小四郎(左・義時)

1月の放送開始から26週間。夢中になって観ていたら、本当にあっという間でした。主人公・北条義時(演:小栗旬)の成長ぶりはもちろんのこと、彼に影響を与えた人々の描写も見どころたっぷりです。

事件や人物など史実との違いを比較しながら楽しんできましたが、ここまで26回放送の中から特に新鮮なアレンジと感じられた3名をピックアップしたいと思います。

りく(演:宮沢りえ)

『吾妻鏡』などでは牧の方(牧御方)と表記される彼女。北条時政(演:坂東彌十郎)の後妻として序盤から存在感を発揮してきました。

これまで告げ口によって仲を裂いたり(亀の前事件)、後に畠山重忠(演:中川大志)を破滅に追い込んだり、挙げ句に第3代将軍・源実朝(演:柿澤勇人)の粛清を企んだり……と、屈指の悪女として知られています。

しかし本作ではそれらの悪行について「北条家を思うが故」と裏づけられるため、視聴者の共感も得やすかったのではないでしょうか。

これからも魅力的な悪女ぶりを発揮して欲しいところです。

木曽義仲(演:青木崇高)

その行動は『吾妻鏡』などのまんまですが、従来の粗暴な山猿イメージから一転、純粋で男気あふれるキャラクター描写に仕上がっていました。

平家討伐の大義に奮闘した義仲たち。歌川豊宣「俱利伽羅谷大合戦図」

不器用ながら誠実で真心あふれる言動に、“鎌倉ズレ”しつつあった視聴者の心に爽やかな風が吹き込んだのではないでしょうか。

都における失脚も、義仲の粗暴さより都人らの陰湿な態度によるものと印象づけられ、視聴者の共感を集めています。

また、人間不信な頼朝の狭量ぶりを見せつけられただけあって、嫡男・源義高(演:市川染五郎)や巴御前(演:秋元才加)との絆も眩しく映ったものです。

大江広元(演:栗原英雄)

頼朝のブレーンとして都から下ってきた広元。クールな(時に冷酷な)態度に垣間見える野心がたまりません。

鎌倉幕府のブレーンとして源家三代に仕えた広元。歌川芳虎「鎌倉星月夜」より

ただ野心と言っても自分がトップに立つのではなく、鎌倉という新天地に居場所を見出し、頼朝の天下草創を支えるタイプ。

上洛に際して御家人たちの酒宴に交じり、都の連中を見返してやりたいと語ったのは、あながち取り入るための方便ばかりではないでしょう。

後の承久の乱に際して義時の背中を熱く押すのですが、今からそのシーンが楽しみです。

【ネタバレ注意!】これからのお楽しみ

さて、名残はつきないものの、語りだすと止まらないので後半戦の予習に移りましょう。

まずは頼朝が亡くなってから承久の乱に至るまで、御家人たちが繰り広げた政治抗争を年表にまとめます(★は流血沙汰を未然に防げた事件)。

正治元年(1199年)
7月~8月 ★安達景盛討伐未遂
⇒頼家が景盛の愛妾を強奪した挙げ句に攻め滅ぼそうとするも、母・政子に叱られて兵を退く

多くの御家人たちから怨みを買った梶原景時。その真価を理解していたのは、頼朝だけだったのかも知れない。

正治2年(1200年)
1月 梶原景時滅亡
⇒御家人66人の連名で糾弾され、13人から初の脱落

建仁元年(1201年)
1~5月 城氏の乱
⇒京都・越後にて挙兵。梶原景時と共に決起する予定だった。ある種の弔い合戦

建仁3年(1203年)
5~6月 阿野全成流罪・殺害
⇒比企派による北条派への先制攻撃。下手人は八田知家
9月 比企能員の乱
⇒北条氏によるクーデター。頼家は後ろ盾を失い完全に孤立・修善寺へ追放される

元久元年(1204年)
7月 源頼家暗殺
⇒修善寺に幽閉されていた頼家、入浴中に暗殺される(諸説あり)

謀られた重忠の最期。月岡芳年「芳年武者无類 畠山庄司重忠」

元久2年(1205年)
6月 畠山重忠の乱
⇒牧の方にそそのかされた時政、義時・時房に命じて無実の畠山重忠を討たせる
閏7月 牧氏の変・北条時政追放
⇒実朝を排して娘婿の平賀朝雅を擁立する計画が発覚、時政夫婦は伊豆へ追放
8月 ★宇都宮頼綱討伐未遂
⇒北坂東の雄・宇都宮頼綱に謀叛容疑。小山朝政がこれをかばって一件落着

建保元年(1213年)
2月 ★泉親衡反乱未遂
⇒頼家の遺児・栄実を担ぎ上げて謀叛を企むが発覚
5月 和田合戦
和田義盛が義時に宣戦布告。鎌倉が火の海に。和田一族滅亡
9月 畠山重慶暗殺
⇒粛清された重忠の末子・重慶が謀叛の容疑により、長沼宗政に殺される

建保2年(1214年)
11月 栄実殺害
⇒和田一族の残党が再び担ぎ上げて謀叛を企んだため、殺される

公暁に斬られる源実朝。月岡芳年「美談武者八景 鶴岡の暮雪」より

承久元年(1219年)
1月 源実朝暗殺
⇒頼家の遺児・公暁が逆恨みで実朝を暗殺
2月 阿野時元殺害
⇒阿野全成の遺児・時元が将軍位を望んで挙兵、討伐される(諸説あり)

承久2年(1220年)
4月 禅暁殺害
⇒源氏将軍の断絶により還俗を求められるが、暗殺される。これによって頼朝と政子の血を引く男児は全滅。

そして承久の乱へ……この21年間で16件の抗争事件が勃発。この内流血を未然に防げた3件を差し引いても、21年間で13回の暗殺や合戦が繰り広げられています。

承久の乱において、激突する両軍(イメージ)

ちなみに承久の乱から元弘3年(1333年)に鎌倉幕府が滅亡するまでの112年間で起こった政治抗争は14件。流血なし6件を除くと8件で、更に差が開きました。

この「頼朝のカリスマを喪ってから、承久の乱で鎌倉政権が何とか固まるまで」の21年間が、いかに異常であったかが分かります。

しかも源平合戦のようにかねてより対立していた勢力同士の抗争ではなく、かつては命を預け合い、苦楽を共に乗り越えて来た仲間同士というのが本当に悲惨です。

次から次へと仲間を殺し続けた義時。そこまでして上り詰めた権力であれば、たとえ後鳥羽上皇(演:尾上松也)のご意向であろうと手放す訳には行きません。

♪縱使有 千萬種 寂寞和 孤單相伴
既受終 冠帝冕 龍椅上 成敗也笑看……♪
※洛天依「権御天下」より

【意訳】いかなる寂しさと孤独に苦しもうと、遺志を受け継いで権力の座に上り詰めたのだ。邪魔する者は誰であろうと容赦はせぬ。

頼朝の遺志を受け継いで、鎌倉を守ってきた義時と政子。たとえ天朝様(朝廷)が相手でも、ここで引いたら今まで殺した者たちが浮かばれません。

自ら顧みて直くんば、敵千万とていざ征かん……出陣する泰時。月岡芳年「大日本名将鑑 北条泰時」

苦悩と葛藤の末、鎌倉の存亡を賭けた決戦に挑んだ義時。嫡男の北条泰時(演:坂口健太郎)率いる20騎足らずが鎌倉より出陣、その腰にはかつて頼朝から与えられた宝剣(太刀)が佩かれ……このシチュエーションがたまりません。

武士の世の存亡を賭けた一大決戦を思い浮かべるだけで、もう今からゾクゾクしてしまいますね。

終わりに

頼朝の背中を見て成長した青年が、いつの間にかそれを見失い、姉と力を合わせて権謀術数渦巻く中を闘い抜いたお話し。

頼朝の死をきっかけに、もう伊豆へ帰ろうと思っていた義時を引き留める政子。

尼将軍・北条政子。彼女の叱咤なくして鎌倉の勝利はなかった?

「あなた卑怯よ……あなたに言われて私も腹をくくったんだから、あなたも責任を持ちなさい!」

気づけば自分の背中を見ている泰時(第26回放送時点ではまだ頼時)がいる……まだまだ義時は前へ進まねばなりません。

NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」、頼朝の死によって暴走をはじめる「鎌倉」を制するべく、義時の奮闘は続きます。

7月17日(日)の第27回放送「鎌倉殿と十三人」が楽しみですね!

※参考文献:

『NHK大河ドラマ・ガイド 鎌倉殿の13人 後編』NHK出版、2022年6月 『NHK2022年大河ドラマ 鎌倉殿の13人 続・完全読本』産経新聞出版、2022年5月

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