俳優・村上淳【人間力】インタビュー「喜怒哀楽、人間のすべてがスクリーンの中にある」 (2/2ページ)
僕自身は人から信用されるために、嘘をつかないことを心がけています。嘘って、絶対にバレる。どんなに体裁を繕った言葉を発しても、それは相手に響かない。大人たちが喧々囂囂と映画の現場で本音を戦わせてるところから、学んだ姿勢なのかもしれません。
今回、出させてもらった映画『島守の塔』でも、五十嵐匠監督に対して信頼感をとても感じました。監督は現場で、エキストラも含めて一人一人にとても優しく丁寧に接せられていた。映画は沖縄戦の実話を描いた作品で、僕が演じた警察部長の荒井退造さんも、実在の人物。僕はいつも、作品の大小に関係なく、撮影前に監督とプロデューサーに会わせてもらうんですが、今回は撮影前に沖縄に参拝にも行き、リサーチをして、台本を読ませてもらったうえで、感じ取った疑問を監督とすり合わせていく作業をしました。沖縄戦は、映画人にとってある種、避けては通れないテーマだと思っていたので。
実は『島守の塔』はコロナの影響で撮影が1年8か月もストップしてしまったんです。それでも公開にまでたどり着けたのは、五十嵐監督のこうした優しい執念の賜物だと思いますね。
映画は総合芸術だと思っているのですが、それに今も憧れ続けているから映画俳優を続けていられると思うんです。喜怒哀楽、人間のすべてがスクリーンの中にあると思っていますから。僕は基本、仕事を選ばないのですが、これまでも、どの現場でも気を抜いたことはない。もちろん面白くない作品も正直、ありますよ。でも、そんな作品でもいとしいんです。自分がやったんですもん。スクリーンに人生を賭けている。こう言うと大げさなようですが、そういう想いでこれからも仕事を続けていこうと思っています。
村上淳(むらかみ・じゅん)
1973年7月23日生まれ、大阪府出身。モデル活動を経て、1993年に『ぷるぷる 天使的休日』で映画デビュー。『ナビィの恋』『新・仁義なき戦い。』『不貞の季節』の3作品で第22回ヨコハマ映画祭・助演男優賞を受賞。以降、主な近作に『初恋』『鳩の撃退法』『とんび』などの映画や、『僕とシッポと神楽坂』『24 JAPAN』(ともにテレビ朝日系)、『DIVE!!』(フジテレビ系)などのドラマがある。公開待機作に『沈黙のパレード』『ヘルドッグス』(ともに9月16日公開予定)がある。