人身売買、ダメ絶対!鎌倉幕府の公式記録『吾妻鏡』に見る鎌倉幕府の禁止令と社会背景 (2/3ページ)
……とのこと。甲乙人とはありふれた一般庶民を指し、村人A(甲)、B(乙)といった感覚。それだけ誰も彼も訴訟を乱発したのでしょう。
生活に困って家族や召使いを売り飛ばしてしまうのはもちろんのこと、挙句の果てには自分自身を「買ってくれ」と持ちかけるというのは、何とも凄まじい話しですね。
この場合「買ってくれ」よりも「飼って(養って)くれ」の方がニュアンス的に近いのでしょうが。
要するに売る方は「家族や召使いをカネに換えたい」というのではなく、「私の代わりに養ってやって下さい」と頼んでいるのでしょう。
買う方にしても「こき使える召使いが欲しい」というよりは「見捨てるのも忍びないから養ってやる」というつもり、ある意味で人助けをしているつもりなのだと考えられます。
まぁ、売買双方の合意である上に人道的な理由なら特に問題はない……かと思いきや、色々と問題が発生したため今回取り締まることとしたのでした。
終わりにで、何の問題が起きたのか。詳しく書かれていないため、確かなことは言えませんが、容易に想像がつく問題と言えば……。
「もう俺は奴婢の身分なんだから」と果たすべき義務を放棄する。あるいは買い主に丸投げする。
一方では都合よく自由民としての権利を主張して、相手が折れるまで散々ゴネ倒す……そんなの通る訳ないだろ、と思ってしまいますが、いつの時代でも「通してしまう」手合いは絶えないものです。