世界最大級のアジアの蛾がアメリカで発見され当局が警戒(※蛾出演中)

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ヤママユガ科のアタカス・アトラス(Attacus Atlas)は世界最大級の蛾で、日本ではその一種である「ヨナグニサン」が知られている。
インド、東南アジア、中国、日本にかけて分布するアタカス・アトラスだが、生息地ではないアメリカ、ワシントン州で発見された。
この蛾は外来種となるため、アメリカでの入手、飼育、販売することはのことは禁じられている。そのため、アメリカ国内では初の発見となる。
この固体のみならば問題ないが、繁殖するとやっかいだ。同州の農務省は他の目撃情報を呼びかけ、警戒を強めている。
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World's Largest Moth Species Found In Washington State・アジアの巨大蛾をアメリカで発見
アタカス・アトラス(Attacus Atlas)は翅幅が最大で24cmにもなる巨大なヤママユガだ。種名はその大きさから、ギリシア神話の巨人アトラスにちなんだものだ。
しばらくは世界最大と思われていたが、ニューギニアとオーストラリア北部の固有種、ヘラクレスサン(Coscinocera hercules)が翅幅が27cmになることがわかり、世界で2番目となった。
アタカス・アトラスには数種の亜種が存在するが、アジアの熱帯森林域にしか生息しない固有種である。
ところが、その巨大蛾が、ワシントン大学生態学准教授のパトリック・C・トービン氏の住む、アメリカ・ワシントン州シアトル近郊、ベルビュー地区にある、自宅ガレージに潜んでいるところを発見された。
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・いったいなぜアメリカに?
この巨大蛾はトービン氏からワシントン州農業局(WSDA)に報告され、その後標本にされたものが、米国農務省動植物衛生調査局に送られ、7月27日にアタカス・アトラスであることが確認された。
当然のことながら、アタカス・アトラスがこれまでアメリカ国内で発見されたことはない。
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・外来種につき当局は警戒。他の目撃情報を呼びかけ
いったいなぜ、本来いないはずのアタカス・アトラスがアメリカにいたのか?その理由は今のところ定かでない。
米国では、アタカス・アトラスは「連邦検疫有害生物」に指定しており、農務省の許可なく生きた蛾を入手、飼育、販売することは違法とされている。
この種が外来種であり、米国内の農業、自然環境、在来種に危険を及ぼす可能性があるためだ。
このような厳しい規制があるため、飼育している人はいないと考えられており、この種が米国に出現することは極めて異例のことである。
トービン氏は、アタカス・アトラスの生きた繭が、オークションサイト「eBay」で販売されていることを指摘する。
タイから仕入れた生きた繭をベルビュー地区に住む個人が購入し、羽化させたものが逃げ出したと考えるのが最も論理的だと語る。
専門家らは、アタカス・アトラスは、熱帯環境で繁栄するため、ワシントンで生き残れる可能性は低いとしているが、農務省は外来種の繁殖を恐れ、住民らに目を光らせておくように求めている。
住民がベルビュー地区で別のアタカス・アトラスを見つけた場合、写真を撮ってワシントン州農務省に連絡するよう呼び掛けている。
「これが1回限りの脱走者だったのか、それともこの地域に実際に一定数存在する可能性があるのかを知るために、住民が助けてくれることを願っています」と当局は述べた。
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photo by Pixabay
アタカス・アトラスは過去にもイギリスで目撃されたことがある。
2012年にグレーター・マンチェスターにあるラムズボトムという町で発見された。この時は、個人のコレクションから逃げ出した個体ではないかと推測された。
以下の動画はフィリピン種のAttacus lorquiniiの繭を育てている男性が、コロナのロックダウンにより繭を出荷先に持っていくことができず、自宅で続々と羽化してしまっている様子を記録したものだ。
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GIANT Atlas MOTH SWARM! Atlas Moth from the Philippines ft. Bart Coppens (Attacus lorquinii)
References:Atlas moth, world’s largest, found on Washington garage | Bellingham Herald / written by parumo
追記(2022/08/24)誤字を訂正して再送します。
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