スーツケースに死体を入れて放置。法医学の為の腐敗実験が行われる

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スーツケースに死体を入れて放置。法医学の為の腐敗実験が行われる
スーツケースに死体を入れて放置。法医学の為の腐敗実験が行われる

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 オーストラリアにある低木林には、スーツケースやゴミ箱が大量に放置されている。その中に入っているのは、なんと動物の死体だ。

 悲しいこと人間の遺体が入ったスーツケースが発見されることがままある。つい最近も、ニュージーランドで発見されたばかりだ。

 スーツケースは密封されているため、遺体の腐敗は自然のプロセスとは異なって来る。このような特殊な環境での腐敗の過程を正確に予測することができれば、犯罪捜査に役立つはずだ。

 そこで研究者らは、死体入りのスーツケースをあえて放置して観察することにしたのだ。

・なぜスーツケースなのか?
 スーツケースやゴミ箱、バッグや車のトランク、冷蔵庫、冷凍庫などから人間の遺体が発見されたという、悲しいニュースを目にしたことがあるだろう。

 そうした事件は日本でも起きており、たとえば2015年には東京駅のコインロッカーでスーツケースに入れられた女性の遺体が発見されている。

 スーツケースに遺体が捨てられるのは理由がある。

 殺人犯の多くは、犯行直前になって遺体の処分に気が回るようになる。そこで簡単に手に入り、死体を入れる十分な大きさがあるスーツケースが選ばれるのだ。持ち運びやすく、しばらく腐敗臭も隠してくれるという点でも都合がいい。

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・スーツケース犯罪の手がかりは死体の腐敗プロセス
 法医学的にスーツケースの内部は特殊な環境だ。昆虫がなかなか侵入できず(限定アクセス環境という)、遺体の腐敗は自然のプロセスとはまた違ってくる。

 犯罪捜査において、死体に群がる昆虫は貴重な情報源だ。死亡時間を推定したり、犯人や被害者の動きを追跡するヒントになるし、薬物やDNAを採取できることもある。

 死体から腐敗臭がただよい出すと、それに敏感な昆虫がすぐに引き寄せられてくる。数時間のうちに、遺体の開口部や傷口に卵が産みつけられ、孵化した幼虫が腐肉を食べ始める。

 ところが、スーツケース内には昆虫がなかなか入れないので、野外に遺棄された死体とは腐敗の仕方が違う。

 だから、スーツケース内のような特殊な環境での腐敗プロセスを知ることは、犯罪捜査にとって大切なことなのだ。

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スーツケースやゴミ箱は、内部に昆虫が侵入しにくいため、通常とは腐敗プロセスが異なる。史上最大の特殊環境での腐敗実験は、それを詳しく知るためのものだ/Paola Magni・動物の死体を使った最大規模の実験
 オーストラリア、マードック大学の研究グループが、西オーストラリア州で行なっている実験は、それを詳しく知るためのものだ。

 実験場には、動物の死体入りのスーツケースとゴミ箱が70点置かれており、この手の実験としては史上最大のものであるそう。

 なお死体は死産だった子ブタのもので、温度・湿度・降水量などが計測しながら、その腐敗具合が観察される。

 今オーストラリアは冬なので、実験開始直後は昆虫が寄り付かなかったという。

 だが、1ヶ月もするとスーツケースのファスナーのあたりに大型のハエや甲虫などが卵を産むようになった。

 また内部の死体にも、ハエやウジなどがわいていた。つまり、そうした昆虫の幼虫はファスナーの隙間から内部に侵入しているということだ。

 一方、もっと小型のハエは、成虫でもファスナーを通り抜けて、遺体に直接産卵していた。

 そうした内部の遺体を食べて成長した幼虫の多くは、残念ながらスーツケースの外に出ることができない。

 だが法医学者にとっては、遺体の死亡時期や季節、遺体が移動された可能性など、死亡当時の状況を推測するための貴重な情報源だ。

 この実験の最終的な結果は、2023年2月に開催される法医学の学会で発表されるとのことだ。

References:When remains are found in a suitcase, forensics can learn a lot from the insects trapped within / written by hiroching / edited by / parumo


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