インドのヒンドゥー社会にかつて存在したサティ(寡婦殉死)とは

心に残る家族葬

インドのヒンドゥー社会にかつて存在したサティ(寡婦殉死)とは

インドでは「サティ―」と呼ばれる風習がある。インドでは男性が年若い女性と結婚することが珍しくなく、必然的に男性が先に亡くなる。その理由に限らず、火葬される男性とともに寡婦を「生きたまま焼く」風習である。日本語では寡婦殉死と呼ばれている。

■現在は禁止されているサティ

慌てて付け加えておくが、もちろん現行法では禁止されている。だが21世紀も佳境に入った現代においてなお、サティーが行われたニュースが時折ひっそりと流れるという。1987年に行われた18歳の女性に対するサティーは国際的な社会問題となった。

ちなみにブリタニカ国際大百科事典によれば、インド各地に、サティーによって死亡した寡婦を顕彰する碑が残っているという。また、殉死した寡婦の霊魂を神として崇拝する土俗的信仰もみられたそうだ。

近年は夫がダウリー (持参金) 欲しさに妻を焼死させ、複数の婚姻を行ういわば改悪版のサティーともいえる事件が起きているとのことだ。

■ハイチに残る魔女狩り

ハイチでは今なお魔女狩りが行われている。2010年には12人の「魔女」が殺されているとのことだ。ハイチとは聞きなれない地名だが、正式名称「ハイチ共和国」のことである。同じくブリタニカ国際大百科事典から引用すると、「西インド諸島中部にある国。大アンティル諸島中部、ヒスパニオラ島の西3分の1を占め、東寄りの3分の2を占めるドミニカ共和国と国境を接するそうである。もとはフランス領であったが、幾度かの蜂起を経て、1825年に正式に独立。独立後は革命や指導者暗殺が相次いでいる国である、と言えば治安はお世辞にも良くはなさそうだと察せられるものである。魔女狩りが行われた年である2010年の国際年鑑でハイチを紐解けば、ハリケーン被害復旧に向けて財政が効果的に運用された、対外的には復興し安定を示したため、国際社会の関心を集めた、と一見ポジティブなニュースのあとに「国内の社会経済状況の大幅な改善はなく、国民の56%が1日1ドル未満で生活している」と悲壮な説明がつづく。これらの状況における国民のコンフリクトやストレスが単純なスケープゴートを求め、「魔女」を生み出した可能性は充分にある。

願はくば事実を直視したいものである。輪廻はない。人間に「魔女側」などという境界は存在しない。カースト制に根拠はない。人は死んだらそれきりである。細胞分裂の回数が限界に達することにより、死ぬ。ただそれだけなのだ。

■最後に

生き残った人々には寿命を迎えるまでのあいだ、生活を営まなければならない義務がある。この一点においては非科学的な主張である。生きることを強いる権利など私には一切ないからである。だが私は言う。寡婦を生きたまま焼くなどもってのほかであり、後追い自殺などしてはならない。生きなければならない。そのために多少故人の葬儀が手短になってもよいと思う。生きた人のためにお金を使う。その選択肢の一つとして、シンプルなお葬式があってもいいのではないだろうか。

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