尊すぎる…愛妻を喪った大伴家持の悲しみに寄り添う弟・大伴書持が詠んだ一首【万葉集】 (2/3ページ)
狩野探幽筆
従今者 秋風寒 将吹焉 如何獨 長夜乎将宿
※『万葉集』第三巻・四六二番
【読み下し】
今よりは 秋風寒く 吹きなむを
いかにか独り 長き夜を宿(寝)む
【意訳】
これから寒い秋風が吹いてくる夜長、どうやって独りで寝ればよいのだ……。
従⇒より/者⇒は……で「今よりは」
「秋風寒く」
将⇒まさに~す/焉⇒断定(読まず)……で「(まさに)吹きなむ(とする)を」
如何⇒いか(にか)……で「いかにか独り」
乎⇒前の語を強調(読まず)……で「長き夜を(まさに)宿む(とす)」
これは天平11年(739年。己卯-つちのとのう年)6月、大伴家持が妾(側室)を亡くしたことを悲しんで詠んだ和歌と伝わります。
(題:十一年己卯夏六月大伴宿祢家持悲傷亡妾作歌一首)
愛する妻を喪って、今までは一緒に乗り越えてきた秋風の寒さを、私はこれから一人ぼっちでどうやって乗り越えればいいのだろう。そんな寂しさと心細さがよく表れた一首です。
生前よほど彼女を愛していたのでしょう。その悲しみが何とか慰められないものか……と誰もが思ったであろうところ、
長夜乎 独哉将宿跡 君之云者 過去人之 所念久尓
※『万葉集』第三巻・四六三番
【読み下し】
長き夜を 独りや宿むと 君の云(言)へば
過ぎ去(いに)し人の 念(思)ほゆらくに
【意訳】
長夜の独寝を嘆くあなたの言葉を聞くと、亡くなった義姉さんのことが思い出されます。