『#真相をお話しします』が提示する「今という名のミステリ」結城真一郎インタビュー(1) (2/3ページ)
統一感があったと思っていただけたなら狙い通りというか、伏線回収完了という感じです。
――個人的には「三角奸計」で使われたリモートミーティングのツールを使ったトリックがおもしろかったです。「こういう使い方があるのか」と新鮮でした。
結城:ありがとうございます。僕もコロナ禍でリモート飲み会を何度かやったのですが、通信のタイムラグや、複数人が同時にしゃべると成立しないところとかが鬱陶しくて嫌だったんです。
そういうリモートミーティングに対して、みんなが感じているであろう不都合さや鬱陶しさが目眩しになるトリックだったり、そのトリックが生きてくるシチュエーションがあるんじゃないか、というのが発想の出発点になっています。
――結末の驚きという意味では「#拡散希望」が素晴らしかったです。これはYouTuberを題材にされていますが、どのように構想されたんですか?
結城:YouTuberの中でも「迷惑系YouTuber」とか私生活を切り売りするタイプのYouTuberを書いてみようというのが最初の発想としてあって、そこからどういう番組が異常かな、と考えていきました。そこが決まったら、どんな登場人物で、どんな主人公なら驚きがあるのかを考える、という流れです。
――全体として、後ろの作品にいくほど話の構造もトリックも精密になっていくように感じました。
結城:それは偶然だと思います。本の中では最後に置いている「#拡散希望」は書いた順で言うと二番目なので。
でも、「#拡散希望」は例外ですが、最初の「惨者面談」はデビュー直後に書いたもので、「ヤリモク」や「パンドラ」「三角奸計」は書き下ろし長編を何冊か経て書いているので、話の複雑性や読者の騙し方のコツのようなものは後ろの作品ほど若干洗練されているのかもしれません。グラデーションのように感じられたなら、そのせいかもしれませんね。
――書き方の洗練のお話がありましたが、デビューされて以降、自分の小説に変化を感じられたりはしますか?
結城:どうなんでしょう。