テクノロジーの発展で「往年のトリック」が生まれ変わる 結城真一郎インタビュー(2) (3/3ページ)
その圧倒的な隔たりに衝撃を受けて、本気でやろう、と。
――ミステリを書いてみようと思ったきっかけになった小説はありますか?
結城:「これがきっかけ」と言えるような読書経験はないんですよね。積み重ねだと思います。伊坂幸太郎さんや、東野圭吾さん、宮部みゆきさんの本をよく読んできて、それぞれに好きな作品はあるんですけど、「これでミステリに目覚めた」というよりは、地層のように積み重なって、ある一定のところで「ミステリを書きたい」という地点にその地層が達したという感じです。
――いわゆるミステリオタクではなかったんですね。
結城:まったく違います。ミステリの古典と呼ばれるような小説はデビューしてから読んでいますし、今でも読みきれていない小説はたくさんあります。そういう意味ではミステリ畑を歩いてきた訳ではないんです。
――今後書いていきたい作品について教えていただきたいです。
結城:良くも悪くもあまりこだわりがないので、その時その時で興味を持ったことや面白そうだと思ったことを着実に世に送り出していきたいと思っています。デビュー作が青春ミステリだったのですが、今ある程度場数を踏んできたところでもう一度青春系を書いてみたい気持ちもありますね。
――最後に結城さんの本の読者の方々にメッセージをお願いいたします。
結城:今回の本に関しては世代問わず、同じ時代を生きている方々に楽しんでいただけることを一番に考えていました。ぜひ手に取っていただけたらと思っています。
――ストーリー的にも、テーマやガジェット的にも、読むべきタイミングは「今」が一番いい本だと思います。
結城:ここまで現在を切り取ってしまうと陳腐化するのも早いことはわかっていたのですが、今回はそこは割り切っています。
いつの時代も楽しめる普遍的なものを書きたい気持ちもありますが、それと同じくらい「今、同じ時代を享受している人」のために書きたい思いもあります。今回は賞味期限の短い新鮮なものを用意したので「古くならないうちにお召し上がりください」とお伝えしたいですね。

(インタビュー・記事/山田洋介、撮影/金井元貴)