俺たちの泰時、和田合戦の恩賞を辞退!北条泰時の真意に源実朝はじめ一同感激【鎌倉殿の13人】

Japaaan

俺たちの泰時、和田合戦の恩賞を辞退!北条泰時の真意に源実朝はじめ一同感激【鎌倉殿の13人】

建暦3年(1213年)5月2~3日、和田合戦によって鎌倉随一の強豪・和田義盛(演:横田栄司)一族が北条義時(演:小栗旬)に滅ぼされました。

和田勢の猛攻に防戦する泰時。大河ドラマでも目覚ましい活躍を見せたが……(イメージ)歌川国芳筆

武功を立てた御家人たちには恩賞が与えられ、二日酔いながら頑張った北条泰時(演:坂口健太郎)も5月7日に陸奥国遠田郡(現:宮城県涌谷町・美里町辺り)を拝領します。

俺たちの北条泰時、実は和田合戦の際に二日酔いだった件 『吾妻鏡』より【鎌倉殿の13人】

しかし翌日、泰時は恩賞の返上を申し出ました。一体なぜでしょうか。

自分が戦ったのはあくまでも……俺たちの泰時かく語りき

「修理(しゅり。泰時)殿、いかがなされた」

恩賞の辞退を受け付け、大江広元(演:栗原英雄)は戸惑います。合戦で武功を立て、適切な恩賞に何の不満があるのでしょうか。

「いえ。此度は何も聞かず、返上させていただきたい」

「いえいえ。そうは参りませぬ。鎌倉殿のご裁定に不服があるなら、はっきり申されませ」

「いえいえいえ……」

なんて押し問答が続き、あまりのことに源実朝(演:柿澤勇人)が尋ねました。

泰時の恩賞辞退を心配する実朝(イメージ)

「恩賞に不満がないなら、なぜ返上しようなどと申すのだ。どうか教えて欲しい」

「鎌倉殿たっての仰せとあらば……」

仕方なく泰時が話すところによると、

「此度の戦さ、和田殿は鎌倉殿に弓引いた訳ではなく、敵はあくまで父上(北条義時)でした。それがしはあくまで父を守るために戦っただけですが、他の御家人は(父でもない≒本来守ってやる義理もない義時を守るため)数多く討死しました。だから、それがしの返上した恩賞は討死した者の遺族にあてて下さい」

なるほど、それはもっともだ……感心した実朝ですが、そんな泰時だからこそ何もなしとは忍びないもの。

「そなたの思いはよく解った。遺族には手厚い補償を約束しよう。だが、そなたに与えた分についてはどうか我が厚意として受け取って欲しい。お願いだ」

「鎌倉殿の仰せとあらば、改めて有難く頂戴いたしまする」

同僚たちへの配慮を忘れない「俺たちの泰時」と、そんな泰時の思いに報いる実朝。素晴らしい主従の絆を誰もが賞賛したということです。

めでたしめでたし。

終わりに・義時への強烈な皮肉

……屬晩景。修理亮〔泰時〕被參御所。是去五日被預勳功賞。而稱有存案。件御下文属於廣元朝臣。被上表之間。將軍家等巡賞也。不可辞申之旨雖被仰下。固辞及再三。仍令恠其意趣御之處。于時匠作被申云。義盛於上不挿逆心。只爲阿黨相州。起謀叛之時。防戰之間。無其寄之。御家人多夭亡。然者以此所。可被充行彼勳功之不足歟。下官依攻撃父敵。強非可蒙賞云々。世以莫不感歎之。然而重所被仰也。

※『吾妻鏡』建暦三年(1213)5月8日条

以上、泰時の恩賞返上(未遂)エピソードを紹介しました。さすがは「俺たちの泰時」……大いに株を上げた一方、義時に対する強烈な皮肉でもあります。

度重なる義時の挑発に憤り、とうとう挙兵を決意する和田一族(イメージ)

「和田が兵を挙げた(謀叛した)のは父上のえげつない挑発が原因であり、本来しなくてすんだ戦いで、多くの者が討死したのだ」

言外にそんなメッセージを含んだ今回のパフォーマンス。実朝のリアクションも織り込み済みで行ったとしたら、泰時もなかなかの策士ですね。

NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」では見事にすっ飛ばされてしまいましたが、ぐぬぬ……となる義時もちょっと見てみたかったと思います。

※参考文献:

五味文彦ら編『現代語訳 吾妻鏡7 頼家と実朝』吉川弘文館、2009年11月

日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan

「俺たちの泰時、和田合戦の恩賞を辞退!北条泰時の真意に源実朝はじめ一同感激【鎌倉殿の13人】」のページです。デイリーニュースオンラインは、和田合戦北条泰時大江広元北条義時鎌倉殿の13人カルチャーなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る