フジ『silent』想・目黒蓮が手書きの言葉と表情の変化で伝えた神シーン、ここから始まる紬・川口春奈との新しい関係 (2/3ページ)
紬も、湊斗とよく作って食べていたハンバーグを、一緒に暮らす弟と一緒に食べつくした。翌日にも食べようとしていた多めの分量だったが、その日のうちに食べつくした。それは、湊斗への想いを消化したことを意味していた。紬が手話の先生に「普通に、声で話せるんですけどね、湊斗とは。伝わらないもんですね」と言っていたけれど、ちゃんと伝えたい想いが伝わっていたのがとてもよかった。
■想・目黒蓮がつづった丁寧な言葉が心にしみる
想は、湊斗から紬と別れることを伝えられ、自分のせいかもしれないと感じ取る。難聴になることで大切な人を悲しませたり迷惑をかけたくないから、二度と会わないつもりで関係を断絶したのに、再会したことがきっかけで大切な二人が別れることになるなんて考えたこともなかっただろう。
ある日、東京の街中で、偶然再会したのも衝撃だったが、本気で好きだった紬と、親友の湊斗がつきあっているという現実にも驚きがあった。またひとつ、大切なものを諦めてしまう挫折感、喪失感があったと思う。それでもきちんと受け止め、新しい関係を作りたいと気持ちをコントロールしていたのに、自分のせいでネガティブに感情が動いて別れることになったのならば、つらすぎる。
紬に再会したことで自分が感じたことを、LINEではなく会って伝えようとする想は、とても誠実だ。その手段として、小さなノートに手書きで気持ちを綴って準備していたのだが、時間をかけて言葉を用意していたのが伝わってくる。
丁寧な直筆で、一枚一枚めくっていくのは紙芝居のようで、ストレートな感情であることが感じられた。ページをめくるたび、想が書いた言葉が感情になって、想の表情がわずかに変化していく。紬と湊斗が別れるきっかけになったことは悪いと思いながらも、再会したことで閉じた世界がまた開かれたことがうれしかったことを伝える正直さがとても素敵だ。
紬と想の二人に再び恋が始まるのかは分からないけれど、新しい関係がスタートしたことで何かがまた始まるだろう。それはきっと相手を包み込むような優しいものに違いない。(文・青石 爽)
手書きのノートで思いを伝えるシーンのメイキング。