企業人事部が知るべき体育会系人材の伸ばし方 (2/3ページ)
――本書で指摘されていたように、世界経済フォーラムの「2022年に企業が求めるビジネススキルの調査レポート」にある能力の多くはアスリートが日々の鍛錬で習得しているものです。これらの能力をビジネスの現場で発揮していくためにはどんなことが必要になるのでしょうか。また、ビジネスの現場で発揮できる人とできない人の違いについてもご意見を伺えればと思います。
松本:一つは「競技者としては現役を退いたけど、ビジネスの世界でもやってやるぞ」という「想いの強さ」でしょうね。どんなことをするにしても、「今より良くなりたい」という思いが根底にないと何も生まれないと思うので。
もう一つは「敏感さ」だと思います。同じ風景を見ても、何かに気づいて仕事に活かせる人もいれば、何も感じずにただ見ているだけの人もいます。両者の違いは大きいですよ。
たとえば商談をしていて、顧客の顔色が変わった時に何を察知するのか。私がやっていた野球はこういう小さな変化に気づくかどうかが大切なスポーツです。経験上、野球をやっていた人はこういう敏感さに長けた人が多いのではないかと思います。
――ただ、繰り返しになりますが本人には自分が身につけてきた能力を客観視できる人が少ないということですか。
松本:そうですね。だから競技から得てきた能力をなかなか仕事と紐づけられないんです。逆に言えば紐づける技術を身につければ、自分の過去がもっと活きてくるはずです。
今回の本がそのために役立ってくれたら嬉しいです。自分が身につけてきた能力に気づいて、スポーツで得た経験やスキルを仕事と紐づけられれば、商談でも交渉ごとでも気後れせずに臨めるはずなので。
――本書はアスリートや元アスリートだけでなく、人材採用に関わる人や経営者にも向けられていると感じました。こちらの方々にアスリート人材について伝えたいことはどんなことですか?
松本:体育会の学生やスポーツに打ち込んできた人たち本人は、自分たちの能力に気づいていないことが多いので、そこに気づかせて自己概念を磨くように促していただきたいですね。