支店長に嫌われた銀行員が背負う「外れない十字架」とは (2/2ページ)

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そんな目黒さんに相手は次々と答えに窮する質問をした。
「支店長の経営方針を教えてください」
「支店全体の預金残高、貸出残高はどうなっていますか?」
「支店長はどんな人かひとことで説明してください」
いずれにも目黒さんは答えることができなかった。答えられるはずのない質問だったのだ。

「ずいぶんなことをしてくれたみたいだね。俺の顔に泥を塗ってくれたね」
面接を終えた目黒さんに支店長は苛立った様子でこう告げた。

「キミにはこのさき、冷や飯を食べてもらうわ。わかるかな?十字架だよ。まあ、簡単には外れないからな。そのくらいのことをしてくれたんだよ。ナメるな!」と怒鳴りつけて飲んでいた缶コーヒーを投げつけられた目黒さんは頭を下げて詫びたが、支店長は「これからずっと苦しむがいい!」と椅子を蹴り上げて帰ってしまったという。

支店長の発言は脅しではなかった。それから目黒さんは支店長からの壮絶な嫌がらせに遭うことになった。

ただ、気になるのは支店長の発言にあった「簡単には外れない十字架」である。これも脅しではない。後に目黒さんが知ったところによると、M銀行の人事評定では、1人の支店長から最悪の人事評価を下された場合「バツ印」が2つつく。次の支店長が最高評価をつけるとそのバツ印が1つ減る。これが2回あってバツ印が消えないと昇進ができないとのことだった。まさに「簡単には外れない十字架」である。

バブル崩壊後の債権回収で評価を挙げた行員が、次にやってきたITバブルで銀行が融資に前のめりになったとたんに冷遇される話。そして出世コースから外れた行員のたどる道のりなどなど、銀行員の悲哀も喜びも詰まった本書。大企業の会社員であれば共感する点は多いはず。そうでない人にとっても知らない世界を知る喜びがある一冊だ。

(新刊JP編集部)

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