インボイス制度でフリーランスが被る「痛すぎる損失」 (2/2ページ)

新刊JP

消費税を請求するか、しないかは自己責任で判断するしかなく、顧客の大半が仕入税額控除を必要としない消費者であるかなど顧客の属性や、取引先との関係性によっても違ってくるだろう。インボイスは発行しないが、消費税は請求するとなると前述の通り相手先の納税額増につながったり、ネガティブな印象を与える可能性もあり、大事な取引先とトラブルにならないためにも、慎重に判断しなければならない。

■インボイスで免税事業者が被る損失の具体例

では、インボイス制度によって具体的にどのような「損」が生じる可能性があるのか。
ほんの一例だが、本書では大手結婚式場との取引があるフリーランスの動画編集者のケースを紹介している。

この動画編集者は結婚式1組につき10万円の報酬を結婚式場から受け取っていて、売上は年間770万円(消費税70万円含む)。ただ免税事業者なので、消費税分の70万円は実質的に生活費となっている。

ただ、インボイス制度導入によって結婚式場から「インボイスの登録番号を教えてほしい」と連絡がきた。この登録番号がないと、今後動画編集者は結婚式場に消費税を請求できず、これまで770万円あった売上が700万円に減ってしまう可能性がある。これは多くのフリーランスにとって結構なダメージであるはずだ。

一方で、フリーランスである以上、カメラなどの機材は自分で買いそろえる必要があり、その際には消費税がかかっている。必要経費には消費税がかかるのに、自分は取引先に消費税を請求できないという事態になりえる。これがインボイス制度によってフリーランスが影響を受ける代表例である。

もちろん、このほかにもインボイス制度でフリーランスが受ける影響には様々なものがある。しかしフリーランスと取引する会社にとっても、フリーランスは他に替えがたい人材というケースは少なくない。そのためインボイス制度から受ける不利益をフリーランスだけの問題ととらえることなく、自分ごととして一緒に考えようという会社も多い。いま、フリーランスがやるべきことは、ただ不安を感じたり、愚痴を言ったりすることではなく、自分の身を守るための行動を起こすことだ。

フリーランスは仕事の内容も、取引先も、売上も多岐にわたり、当然インボイス制度への備え方もそれぞれに異なる。本書では、フリーランスにありがちな事例が数多く紹介されるとともに、フリーランスそれぞれがどんな対策をとるべきかについてアドバイスがなされている。一人一人が自分にとっての「正解」を見つけるために、一役買ってくれるはずだ。

(新刊JP編集部)

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