三谷幸喜に「絶対に言わないでくれ」と口止めされた「嵐・松本潤登場」と「未公開シーン」【松村邦洋が徹底解説する傑作NHK大河『鎌倉殿の13人』】(3)

2022年、最も話題になったドラマのひとつであるNHK大河『鎌倉殿の13人』。小栗旬演じる主人公・北条義時を中心に、苛烈な権力闘争と鎌倉武士の壮絶な生き方を三谷幸喜脚本で描いた作品は、多くの視聴者の心を揺さぶった。本サイトは、日本列島を1年間熱狂させた『鎌倉殿の13人』について、芸能界随一の大河&日本史マニアである松村邦洋氏に取材。そこで明らかになった新たな事実とはーー。(第3回/全4回)
――松村さんは、ご自身のYouTube「松村邦洋のタメにならないチャンネル」で『鎌倉殿の13人』について語られていますよね。登場人物の中で、印象深い退場シーンはありましたか?
何かの記事で読んだところによると、秋元才加さん(34)演じる巴御前の退場シーンが、他の共演者が"みんな羨ましい”って言ったらしいです。史実からすると、和田義盛の妻になったというのは言い伝えでしかなくて、実際は結婚してなかったのではという説が多い。
多いんだけども、あえてそこを”遊び”でそういうキャラクターとして活かしたじゃないですか。最後、戦いながら駆け抜けて。実際、巴がその後どうなったかはわからないっていうな形だけども、「我こそは忠臣和田義盛の妻、巴なるぞ!」って言いながら退場っていいですよね。
■実は撮影していた「未公開シーン」
確かに本当言うと、山本千尋さん(26)演じるトウと巴が、戦ってほしかった。実際撮影はしたと三谷さんから聞いたんですけど、巴とトウが出会って対峙するシーンだけ撮ったらしいんですよ。でも、カットになったらしいですね。絶対言わないでくれって言われました。
あの後、僕がYouTubeで”これは巴とトウが戦った方がよかったですね”って聞いたら、三谷さんに”やってるんでごめんなさい。言わないでくださいね”って言われて……。最後まで黙ってましたけど。
――作者である三谷さんになりきった、ということですね。
『鎌倉殿』の最終回では、冒頭に完全サプライズで嵐の松本潤さん(39)演じる徳川家康が登場し、鎌倉幕府の歴史書である『吾妻鏡』を読みふけるシーンにも驚きました。
実は、松本潤さんが出るんじゃないかって予想して、YouTubeに動画をあげてました。第38回と第39回の間に投稿したんです。
”最後の最後で松潤が吾妻鏡を読んでて笑えば面白い”と思ったんだけど、それだと家康が主役になっちゃう。だからやっぱりああやってオープニングで出したとか、もういや、恐れ入りましたねえ。
■サプライズの「松潤登場」への口止め
YouTubeを撮影している時に時間が余ったので、松潤が出るんじゃないかとか、”ああなったらいいな、こうだったらいいな”という予想を何通りもあげてると数打ちゃ当たるんですよ。
それで、「松本潤さんが出るんじゃないか」っていう予想を語った動画を上げたら三谷さんから電話がかかってきて"まっちゃん、ちょっと誰かから聞いた”っていうから。松本さんが出演することに関しては、”本当にちょっとごめん。最後まで黙っててくれる?”と言われたので、それから一切言ってないですもん。
ラジオでずっと共演している磯山さやかちゃん(39)だって『鎌倉殿』にサプライズで出演するのに言わなくて(※北条時政の最晩年のシーンに世話をする女性役で出演)、口が固い。
■プロフィール
松村邦洋(まつむら・くにひろ)
1967年8月11日生まれ、山口県田布施町出身のお笑いタレント。ビートたけしをはじめとする芸能人の“形態模写”ものまねで人気を博す。日本史、野球、相撲などにも詳しく、著書に「松村邦洋 今度は『どうする家康』を語る」「松村邦洋『鎌倉殿の13人』を語る」(どちらもプレジデント社)、「愛しの虎 松村邦洋の阪神タイガース応援日記」(太田出版)ほか多数。