大相撲、初勝ち越し・三賞かかる力士が思わず反則! 阿武咲以上の大ダメージ? 取組中の負傷が招いた1月場所千秋楽の悲劇

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 22日に行われた大相撲1月場所千秋楽。平幕・阿武咲が痛恨の反則負けを喫したことが話題となった。

 この日関脇・豊昇龍と対戦した阿武咲ははたき込みで相手を地面にはわせるも、はたき込みの際に豊昇龍のまげを左手でつかんでいたとして反則負けに。勝てばキャリア最多タイの11勝、自身4度目の敢闘賞(賞金200万円)受賞だった阿武咲は、取組後に花道で「うわぁ~」と声を上げるなど落胆した様子を見せた。

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 本場所ではまげをつかんだことによる反則負け自体は毎場所少なからずあるが、それによって三賞を逃す事例は極めて珍しい。しかし、1月場所では今から9年前の2014年にも、千秋楽に反則負けを喫した力士が三賞を逃したケースがある。
 
 反則負けが発生したのは、平幕・里山(元幕内・現千賀ノ浦親方)対平幕・高安戦。高安は前日までに「8勝6敗」と勝ち越しが決定済み。一方、「7勝7敗」の里山はこの一番に自身初となる幕内での勝ち越しと、こちらも自身初の技能賞受賞がかかっていた。

 迎えた一番。里山は立ち合い高安に上体を起こされたところにはたきを食らうも、頭を高安の体につけてこらえる。その後も激しい突っ張りを受けたり、右腕を極められた状態で押されたりと、かなりの圧力を受けたがこれも何とかしのぎきった。

 その後取組は土俵中央でしばらく膠着状態となったが、里山は一瞬の隙をつき高安の右腕をたぐって体勢を揺さぶると、高安の頭に右手を置きながら懸命な押しを見せる。高安は里山が踏み込んでいた左足を右足で払おうとしたが不発に終わり、尻もちをつくように土俵に崩れ落ちた。

 2分以上に及んだ熱戦を制した里山だったが、土俵下の勝負審判はすぐに物言いをつけ協議に入る。こちらも2分以上を要した協議の結果、審判団は里山が高安を押し倒した際、右手で高安のまげをつかんでいたとして反則負けに。場内説明を聞いた観客からは大きなどよめきが起こった。

 まさかの形で初の勝ち越し、技能賞を逃した里山だが、取組後の報道では「日頃の行いが悪いから」、「また来場所頑張ります」と自虐を交えつつ前を向いたことが報じられた。しかし里山はこれ以降、三賞はおろか幕内での勝ち越しもないまま、幕下まで落ちていた2018年11月場所限りで現役を引退。高安戦の反則負けは、結果的にキャリアに大きな影を落とす形となった。

 阿武咲以上に失うものが多かった里山の反則負けだが、本人は相撲協会公式YouTubeチャンネルが2019年7月16日に投稿した動画の中で当時の心境や裏話を明かしている。動画によると、里山は勝ったら技能賞ということは取組前から知っており気合いを入れて高安戦に臨んだといい、協議の際は「神様お願いします」と判定が変わらないことを強く願っていたという。

 また、里山は高安に右腕を極められた際に右肘を痛め、「ブチブチブチ」という音も聞こえたと説明。その上で「(右腕を)下げているのも痛くて。それで高安関の頭に乗せて『この後どうしよう。どうやって決めようかな』と思ってる時に高安関が足を払ってきて。それで思わずグッと握ってしまった」とまげをつかんでしまった理由を明かしている。

 「相撲ではまげを含めた頭髪に触れる行為は禁じられてはいませんが、つかんだり引っ張ったりする行為は故意・偶然にかかわらず禁じ手で反則負けになると定められています。よくあるのは引きやはたきを狙った際、自身の指と相手の頭髪が絡まり引っ張ってしまう形での反則ですが、負傷した手をやむを得ず相手の頭に置いたことが反則につながってしまったケースはかなり珍しいと言えます」(相撲ライター)

 今回の阿武咲は「(まげに手が)入った感覚はありました。抜かなきゃと思ったけど抜けなくて…はたきにいった自分がダメでした。攻めきれなかった自分が悪いです」と押し込む中で引きを選択したことがミスだったと猛省したことが伝えられている。取組中のアクシデントによる不可抗力のような面もあった里山に比べると改善の余地は大いにあると思わるが、悔しさ・反省をバネに来場所三賞を獲得することはできるのだろうか。

文 / 柴田雅人

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