心理学者が解説するアイデンティティとビジネスの親密な関係 (2/3ページ)

新刊JP

つまり、これは他者にアイデンティティを伝えるための装置として機能する。

バヴェルとパッカーはこう述べる。ある製品を買うことは、自分自身に、そして他人に、自分が思う人物像を示すことになる。それは使っているIT機器だけではない。自動車、服、食べ物。それらはいずれも他者に自分を知らせる信号として機能し、時には収入レベルなどといったステータスを示すこともあるのだ。

■アイデンティティへの脅威と帰属意識

バヴェルとパッカーによって執筆された『私たちは同調する 「自分らしさ」と集団は、いかに影響し合うのか』(渡邊真里訳、すばる舎刊)は、「組織や集団のアイデンティティ」について解き明かしていく意欲的な一冊である。

本書のキーワードの一つが「帰属意識」である。
帰属意識とは端的に言えば「その集団の一員である」という意識のことだ。例えば、アップルの製品ではあればIT機器をアップルで統一したり、ロゴマークステッカーを貼って他者に示すことでアップル製品への帰属意識を表している。

本書では、この帰属意識を「人間の基本的欲求」であるとしている。つまり、他者と関わり、溶け込み、つながりたいという欲求を満たすものである。他者との有意義な社会的つながりがなければ、孤独感に苛まれ、心身の健康を損なう要因につながる。

ただ、帰属意識は簡単に満たすことができないことも多い。

例えば、マイノリティや周縁化された集団にとっては深刻な問題だ。その国の国民として何世代も暮らしてきたにも関わらず、アイデンティティが他国にあるかのように問われることが多い。
神経心理学者のマヤ・グエデルマンらは、そのように民族や文化的背景から「他者」として扱われる人々は、アメリカにおいて「アメリカ人」としてのアイデンティティを証明するには、より努力しければいけないと感じているのではないか、と予測。アイデンティティの脅威が食の選択に与える影響を調べる実験を行った。

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