いきなり討手を命じられたら、君はどうする?武士道バイブル『葉隠』が伝える奉公の心構え (2/2ページ)
もしついて来ないようなら、そして主君に加勢をつけてもらえないようなら、あなたはそこまでの人物ということ。日ごろ信望を築かなかった己の不覚悟を悔やみながら、一人敵中で斬り死にして下さい。
あるいはたった一人でも相手をことごとく討ち果たせばよいのです。別に数が少ないからといって必ず負ける訳でもなし、策を練るなり道中で仲間を集めるなり、出来ることがいくらかはあるはずです。
そうした諸々を総動員して生き延び、かつ任務をまっとうすることこそ常在戦場(じょうざいせんじょう。常に戦場に在り)の覚悟が試される絶好の機会と言えるでしょう。
武士として生きる以上、いつでもどこでも戦場≒死に場所である。その心構えなくして、主君に忠義をまっとうなど出来ないのです。
……とは言うものの。
実際のところ、そんな殊勝な(合わせて経済的余裕のある)武士などほんのわずかであったことは言うまでもありません。
ご安心下さい。江戸時代の武士たちも、現代の私たちと同様にそこまで神経を張りつめてばかりではなかったのです。
逆にそんな状況だからこそ、『葉隠』口述者である山本常朝(やまもと じょうちょう)は口を酸っぱく尖らせて激しい言葉をもって訴えたのでした。
「どいつもこいつもたるんどる!かく言うわしも……しっかりせねば!」
武士としていかにあるべきか。比較的平和な時代だからこそ、理想を強く求め訴える。そんな『葉隠』の精神は現代にも通じるものが感じられます。
※参考文献:
古川哲史ら校訂『葉隠 下』岩波文庫、1941年9月 菅野覚明『武士道の逆襲』講談社現代新書、2004年10月日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan