くるみの摂取で大学生のストレスが軽減し、 睡眠の質や腸内細菌叢が改善する可能性が判明 (3/4ページ)
「裏付けとなるさらなる研究が必要ですが、健康的な食事パターンとして、植物性オメガ3脂肪酸のα-リノレン酸(ALA)*を豊富に含んでいるくるみを摂取することは、認知機能とメンタルヘルスに良い影響を与えることが、エビデンスによって明らかになりつつあります」。
「さらに、脳がセロトニン(天然の精神安定剤ともいえる)を生成する際に使うトリプトファンが食事によって多く取り込まれると、不安やうつ症状が軽減されることが、研究によって明らかになっており、くるみに含まれるトリプトファンの存在も、これらの結果に寄与している可能性があります※9」。
なお、今回の研究にはいくつか解釈上の限界点が存在します。まず、この研究は盲検化されておらず、参加者はくるみを摂取するという介入がなされていることを知っていたことです。さらに、2020年における新型コロナウイルスの世界的パンデミックやそれに伴う在宅指示が、結果に影響を及ぼした可能性があります。
くるみを含む食生活が脳やメンタルヘルスに影響を及ぼす複雑な経路に対して理解を深めるためには、さらなる研究が必要です。一方で、毎日の食生活にくるみを加えることは、大学生の脳の健康と一般的な健康状態を維持・改善するために、簡単に取り入れることができるアプローチの一つとなり得るかもしれません。
今回の報告では、くるみがストレスや睡眠を改善する可能性が示されていますが、そのメカニズムが、くるみの摂取により腸内環境が改善したためか、くるみに含まれるオメガ3脂肪酸やトリプトファンが作用したのか、それらの相乗効果なのかについては、今後の研究に委ねられています。
もっとも、大学生だけでなく生活習慣が不規則になりがちな日本人にとって、くるみが腸内環境を整える食生活の一つの選択肢になり得るとは言ってよいでしょう。今回の研究で摂取されたくるみ1日約56gは日本人にとって多いため、腸内環境を整えるヨーグルトにくるみを加えるなど、他の食材と組み合わせて摂取するのもおすすめです」。