太陽の約327億倍!史上最大級の巨大な超大質量ブラックホールが発見される (2/4ページ)
だが、その知名度とは裏腹に、ブラックホールは謎めいた存在だ。光を放つことがなく(ゆえに間接的にしか探せない)、しかも非常に遠くにあるので発見が難しいのだ。
だから新たにブラックホールが発見されれば、さまざまな学びがもたらされる。
とりわけ今回発見された超大質量ブラックホールは絶好の学びのチャンスだろう。というのも、2つの意味で非常に珍しいブラックホールだからだ。
まずこのブラックホールは、「太陽の約327億倍もの質量」がある。これまで検出された中では最大級のもので、理論上考えられるブラックホールの大きさの上限に達している。
[画像を見る]
天文学史上最大級の「超大質量ブラックホール」 / image credit:ESA/Hubble, Digitized Sky Survey, Nick Risinger/skysurvey.org, N. Bartmann・アインシュタインが予測した宇宙の「重力レンズ」により発見
もう1つ珍しいのは、この怪物ブラックホールが「重力レンズ」という不思議な現象によって発見されたことだ。
重力レンズとは、アインシュタインの一般相対性理論から予測された現象で、天体の質量によって光が曲がることで起こる。
たとえば銀河や銀河団のような非常に重たい天体があると、その質量によって周囲の時空が歪む。それがまるでレンズのように光を曲げることから、このような名称がついている。
レンズというだけあって、これを通すことで、その向こうにあるそのままでは遠すぎて観察できない星々であっても、詳しく調べられるようになる。
だが、それと同時に重力レンズを作り出している天体そのものについても知ることができる。今回のケースがそれだった。