岩手県出身の作家が語る、日常生活に根付く「宮沢賢治」という存在 (2/3ページ)

新刊JP

この物語では無我夢中で生きる「ひとしずく」を描きましたが、実際に書いていると色々な発見がありました。

――多様な解釈を受け止めてくれる作品だと思います。今明さんは岩手県にお住まいとのことですが、先ほど「児童文学に育てられた」とおっしゃっていた通り、物語の世界観として宮沢賢治の影響を感じられる部分がありました。

今明:とても畏れ多いですが…それはあるかもしれません。私は岩手県出身で、一度東京に出てまた戻ってきた人間なのですが、小学校、中学校で過ごす時間の至るところに賢治さんが紛れ込んでいるんですよ。合唱で歌ったり、国語の授業や総合学習なんかにも出てきていて。

また、こちらでは飲食店とかにも賢治さんの本が置いてあったりして、ちょっとした時に手に取って読んだりしていたので、日常生活に入り込んでいる感覚がありますね。

――児童文学的な世界観の下地がそこで身についたというわけですね。

今明:そうですね。物語の、特に冒頭のあるシーンでは賢治さんへのリスペクトをわかりやすくこめた部分もありますし、世界観も重なるところは大いにあると思います。

――本作は挿絵が「ひとしずく」の冒険を彩りますが、挿絵についてはいかがですか?

今明:挿絵のあきこ屋さんは、私が直接お声がけさせていただきました。というのも、この本を出すことになったときにはすでに物語ができていたので、挿絵のイメージもある程度あったんです。あきこ屋さんのこれまでの作品を見た際、この人だ!と直感的に思いました。

また、挿絵を描いていただける方を探す時に大事にしたことは、同じ東北の方ということでした。それは、雪が解けて滴になっていく過程を知っている人でないとイメージを共有し合えないと思っていたからです。あとは、一冊の本をつくり上げるにあたり、同じ熱意をもって制作してくださる方ですね。

また、カバーデザインの黒丸健一さんも岩手県出身の方ですが、残雪の儚さや芽吹く新緑が映える東北地方の早春の景色を知っている方だからこそ、あの配色にしていただけたと思っています。

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