岩手県出身の作家が語る、日常生活に根付く「宮沢賢治」という存在 (3/3ページ)
両者ともに本当に描いてほしい絵やカバーをつくり上げてくださってとても嬉しかったです。
――この『ひとしずく』という物語を通して伝えたいメッセージとは何だったのでしょうか。
今明:この物語を通して何かメッセージを伝えたいという思いはあまりなくて、こどもに声をかけるように「ひとしずく、行っておいで」という気持ちで送り出しました。読者の方には「ひとしずく」の旅路からいろいろなことを感じていただけると思います。ひとしずくのからだや心模様が透明であることと同じように、一人ひとりの方の心の鏡になればいいな、と。
――「ひとしずく」に自分を投影して読んでほしいというわけですね。
今明:そうですね。私は「ひとしずく」の透明な身体に無限を感じています。透明だからこそ、どんな色も反映することができる。だから、読者の方々の心と「ひとしずく」を重ねて読んでもらえると嬉しいです。
――では、本作をどのような人に読んでほしいとお考えですか?
今明:言葉の選び方やテンポなど、子どもからご年配の方までまっすぐ届くように心がけて作ったので、どの年代の方にも読んでほしいと思います。「ひとしずく」は読者に気づきを与えてくれる主人公だと思っています。
また、仕事や家庭、育児であまり時間が取れずにバタバタしている同世代の方々から、「時間をゆっくり感じられる本で、ありがたかった」という感想を多くいただいていて、思いがけない反響でした。ですので、自分の時間を大切にしたいと思っている方にも読んでいただけるといいのかなと思います。
文庫サイズなので、持ち歩きもしやすいと思います。自分自身、自分の時間を作りたいときには本1冊と財布だけ持って出かけるということをするのですが、もしそういう機会があるときにはこの本を持って、たっぷりと『ひとしずく』の時間に浸ってもらえれば嬉しいですね。
(了)