大谷翔平は「なぜホームランを量産できるのか?」大検証「20」

日刊大衆

大谷翔平
大谷翔平

 打った瞬間“それ”と分かる一打は、どのようにして生まれているのか。「不世出の天才」の心技体に迫る!

 大谷翔平( 28 =エンゼルス)の豪打が止まらない。

「ミスター・ジューン」と称されるほど大得意の6月に入ると大爆発。異次元の成績を残し、本塁打と打点部門では、ア・リーグのトップを走っている(6月20日時点・現地時間=以下同)。

「本塁打王どころか、三冠王も狙える位置につけています。二刀流で、この数字を叩き出しているわけですから、こんな選手は二度と出てこないでしょう」(スポーツ紙記者)

 MLBオールスター・ゲームの中間発表でも、指名打者部門でファン投票1位を獲得するなど、日米のスーパースターに上り詰めた大谷。彼が次々と打ちたてる大記録に、毎日のように驚かされているが、そもそも、なぜこれほどまでに、本塁打を量産することができるのか。

 今回は、そんな素朴な疑問を、専門家たちの力を借りつつ、検証してみた。

■『ホンマでっか!?TV』の運動機能評論家も明言

 まずは、そのパワーの源である肉体の秘密から。

 現役プロ野球選手らも通う『アスリートゴリラ鍼灸接骨院』の院長で、『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)の運動機能評論家としても活躍する高林孝光氏は、その秘密を「足・体幹・腕とバランスよく鍛えていること」だとして、こう続ける。

「大谷君がメジャー挑戦後、分裂膝蓋骨で手術したことがありました。膝のお皿が割れてしまう病気で、太ももの前の筋肉が強すぎると発症します。よく走り込みが大事と言いますが、そうしたトレーニングを繰り返していると、足だけが強くなり、膝蓋骨の癒合不全が起きやすくなるんです」

 かねてより、分裂膝蓋骨だったという大谷。日本ハム時代から、左膝を気にしていたそうだが、この故障を機に、パワーアップを果たしたという。

「手術後、彼の体は劇的に変化しました。ユニフォームを脱いだ姿を見ると一目瞭然ですが、足だけでなく、体幹と腕もよく鍛えられています」(前同)

■体の柔らかさに筋トレを加えて

 また、大谷の肉体は、強さだけでなく、しなやかさも兼ね備えているという。

「もともと体が柔らかかった大谷君ですが、そこへ筋トレを加えることにより、体を回せる角度が、ずっと広がりました」(前同)

 体の可動域が広くなればなるほど、効率よくボールをスタンドまで運ぶことができるようになるのだ。

 こうした“ホームラン量産ボディ”を作り上げるには、過酷なトレーニングを積まなければならない。

■ラーズ・ヌートバーも驚嘆

 その点、大谷は、「オフでも、午前中ぶっ続け6時間の筋トレを実践している」(前出のスポーツ紙記者)というほどの練習の虫。

 今年開催された「第5回WBC」でも、チームメイトだったラーズ・ヌートバー(25=カージナルス)は、「(大谷は)試合後でも、必ずベンチプレスとスクワットを5回5セットやった後に、筋トレのデッドリフトで500ポンド(約227キロ)を簡単に上げる」と、驚嘆していたという。

 ただ、重量を上げ、大きな筋肉を作るだけではない。

「大谷君は、マッサージなどではケアできない、体の深部にある小さな筋肉、いわゆるインナーマッスルもしっかり鍛えています」(前出の高林氏)

 外側だけでなく内側も鍛え抜かれた体に、技術が加わることで、“規格外のホームラン打者”大谷翔平が完成するのだ。

■イチローや丸佳浩を育てた新井宏昌が語る「秘密」

 現役時代に2000本安打を達成し、引退後はコーチとしてイチロー丸佳浩(34=巨人)など、稀代のヒットメーカーを育てた野球評論家の新井宏昌氏は、秘密をこう話す。

「今季、大谷はバットを1インチ(約2.54センチ)長くしました。開幕当初、彼らしくない打撃が続いていたのは、まだバットに対応できていなかったから。1インチと簡単に言いますが、その差は本当に大きい。長いバットを自在に扱えるようになったことが、本塁打につながっていますね」

 続けて新井氏は、大谷がバットを変更した秘密についても明かしてくれた。

「昨季、大谷の逆方向への打球がスタンドに届かないケースが多かったので、侍ジャパンで投手コーチを務めた吉井理人(現ロッテ監督)に、大谷に聞いてもらったところ、本人が“MLBのボールが飛ばなくなっていた”と答えたそうです」

 確かに、昨季のメジャーは、1試合当たりの本塁打数が減少し、“飛ばないボール”が使用されているともいわれていた。

「そこで、飛距離を出すためにバットを変更したんでしょう。バットを長くすれば遠心力が効き、よりバットのしなりが使えるようになります。まさに、“鬼に金棒”です」(前同)

 バットに適応したことで、19、21、22号の3本を左中間スタンドに放り込み、しかも3本とも130メートル超弾と、確実に飛距離がアップしたのだ。

 また、21号で記録した約186.8キロという打球速度は、左打者が逆方向に放った本塁打としては、歴代最速だったという。

■ボールを呼び込んで左翼席へ

 流した打球でも、このように、ものすごいスピードで2階席へと到達する理由は、バッティングスタイルにあると、新井氏は話す。

「大谷はボールを呼び込んで打つタイプ。体の近くでボールを捉える分、アウトコースはレフト、真ん中はセンター、インコースはライト方向に打球が散らばり、そこに、あのパワーですから、どの方向でもスタンドまで届いてしまいます。このあたりは、ほとんどの本塁打が引っ張りだった松井秀喜と違う点ですね」

 いくら日本人離れしたパワーを有しているとはいえ、バットの芯で捉えなければ、本塁打を打つことはできない。その技術に関しても、「大谷は緩いカーブを本塁打にすることも多いですが、これはインサイドアウトの軌道でスイングできている証拠。下手なバッターだと、自打球になってしまいます」(前同)

 打撃フォームでいえば、大谷は右足を上げない「ノーステップ打法」にしているため、動きが小さくなる分、ミスショットせず打てているという。

 大リーグ評論家の福島良一氏は、大谷が今季、進化した部分として、“ゾーンの拡大”を挙げる。

「大谷が今季放った24本塁打のうち、5本がストライクゾーンを外れた球。少々のボール球でも、本塁打にしてしまうんです」

 これには、打席内での考え方が大きく作用している。

「大谷は、想定していない球でも“ホームランにしよう”と、意識的に打球に角度をつけようとしている。これがイチローなら、とっさに“野手がいないところに打とう”となる。大谷は、自分の長所が、長打を打つことだと理解しているんでしょう」(新井氏)

 そして、同じ失敗を繰り返さないのが大谷の強み。

「6月19 日のロイヤルズ戦は、メジャー通算200勝以上を挙げているザック・グリンキーが相手。2打席目にカーブで空振り三振に打ち取られましたが、続く3打席目は、同じようなカーブを見事に捉え、第24号本塁打を放っています」(福島氏)

 メジャー最強打者へ進化した大谷。そのオーラは相手投手を飲み込んでいる。

「6月13~16日に行われたレンジャーズとの4連戦では、7つの四球を選んでいます。それだけ、相手投手が警戒しており、慎重になるあまり、逆に甘い球も増えているんです」(前同)

 二刀流でフル回転している大谷にとって、コンディションを維持することが最重要。疲労回復のため、大谷の平均睡眠時間は10~12時間ともいわれている。

「成長ホルモンは運動時と睡眠時、空腹時に、よく分泌されます。睡眠時間が長いとそれだけ空腹になるので、ダブルで効果が期待できます。人より成長ホルモンがよく出るので、彼の体は疲れにくく、かつ、強靭な肉体を作れるわけです」(高林氏)

 心技体そろった大谷の快進撃は、これからも続く。

■大谷翔平ホームラン量産の秘密5

プロも舌を巻く蹴り上げの強さ 中日やメジャーでも活躍した福留孝介氏は、大谷の蹴り上げの強さに驚きを隠せない。「僕らが、あの強さで蹴られるかと言ったらできない」という打撃フォームは「真似できない」と舌を巻く。

すぐに打撃解析 ベンチでは、タブレットを見ながら、打撃フォームをチェックすることができる。「特に大谷は、DHで出場する機会が多く、よく守備中に動画を見て確認していますね」(夕刊紙記者)

超一流の“目” 2018年にサングラスメーカーのオークリー社で視力や視機能を測定したところ、約800人のアスリートの中でトップの評価を受けたという。本塁打王に向け、文字通り視界良好か。

スイーツも我慢 高校時代はクレープが好物だった“甘党”の大谷。現在も、「甘い物などと戦っているというか、欲と戦っています」と話す。過剰に糖分を摂取しないよう節制し、体を作り上げているのだ。

28歳童貞説も!? これまで女性スキャンダルはゼロ。過去には、元女子バレーボール日本代表・狩野舞子との噂もあったが、真偽は定かではない。煩悩を捨て、すべてを野球に捧げており、童貞説も囁かれる。

「大谷翔平は「なぜホームランを量産できるのか?」大検証「20」」のページです。デイリーニュースオンラインは、狩野舞子丸佳浩福留孝介松井秀喜大谷翔平エンタメなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る