ナルシストの解釈に誤解が生じている。専門家がその理由を解説
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「ナルシスト」と聞いてどんなイメージが浮かぶだろうか?誰か身近にいる特定の人の顔が思い浮かんだだろうか?
一般的にうぬぼれや自己愛が強い人を日本では「ナルシスト」と呼ぶが、英語では「ナルシシスト(narcissist)」が正解だ。
わかりやすいよう本編では「ナルシスト」として説明するが、ナルシストに関しての関心は高く、Google 検索は過去10年間で着実に増加しているという。
だが、ナルシストの解釈に誤解が生じているという。オーストラリアの心理学者、ミーガン・ウィリス氏が、ナルシストに関して学術的な説明をしている。
・ナルシストとは何か?
ウィリス氏によると、ナルシシズムは、主に2つのタイプがあるという。「尊大型ナルシシズム(grandiose narcissism)」と「軟弱型ナルシシズム(vulnerable narcissism)」だ。
尊大型は、その名の通り、非常に尊大な自意識を持ち、攻撃的で他人に対して上から目線でふるまうといった特徴がある。一般的なナルシストのイメージはこちらだろうか?
一方、軟弱型は、その尊大さは自分のダメさを隠すためのものだ。一見自信ありげに見えて、それは脆く崩れやすく、ちょっとしたことで傷つきがちだ。
また最近の心理学では、尊大型と軟弱型の共通点や類似点を説明するために、次の3つの要素が提唱されているという。
敵対性(Antagonism)
この特徴は、尊大型と軟弱型のどちらにも見られ、「傲慢さ」「特権意識」「搾取性」「共感の欠如」といった特徴となって現れる。
エージェンティック外向性(Agentic extraversion)
尊大型の特徴で、「権威性」「誇大性」「自己顕示癖」などとして現れる。
自己愛的神経症(Narcissistic neuroticism)
軟弱型の特徴で、「脆く崩れやすい自尊心」「否定的な感情」や「羞恥心」として現れる。
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・特性が強いと自己愛性パーソナリティ障害、境界性パーソナリティ障害
それが日常生活に支障をきたすレベルではなく、他人にも害を与えないのなら、ただの個性ですむ。
だが検査によって、こうした傾向が強いと診断された人は、自己愛性パーソナリティ障害の基準を満たす可能性が高いという。
ただし軟弱型は、「境界性パーソナリティ障害」とかなり似たところが多い。そのため自己愛性パーソナリティ障害ではなく、境界性パーソナリティ障害と診断されることも往々にしてあるという。
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・なぜ巷ではさまざま種類のナルシストが存在するのか?
このように心理学の本流においてナルシシズムは大きくわけると2種類だ。ところが、巷にはもっとさまざまな”ポップ”なナルシシズムの説明が溢れているようだ。
ウィリス氏が調べたところ、一般向けの本やサイトで「脳内ナルシスト」「身体ナルシスト」「誘惑的ナルシスト」「精神ナルシスト」といった用語が使われていたという。
だがこれは専門的な用語ではなく、そのような類型の正しさを裏付けるようなきちんとした学術文献はない。
また、たとえば「顕性型」や「潜性型」といった、誇大型と軟弱型の同義語と考えられる用語もあるという。
こちらは、ナルシシズムに関する初期の文献にそのような用語が使われていたことが原因であるようだ。
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・レッテルを張ることの危険性
ウィリス氏の調べによるなら、ナルシシズムには50もの表現があるという。ナルシシズムがそれだけ多面的な特徴だということであるようだ。
そうした中には、ナルシシズムを正確に記したものもあり、診断に役立ちそうなものもある。
だが、ネットなどに溢れるポップな心理学的記事は不正確なもので、それっぽい人物にただ「ナルシスト」というレッテルを貼ろうとしているだけだ。
そうしたレッテルは、ただナルシスト的な人に汚名を着せ、本当に支援が必要な人の意欲を削ぐことになりかねないと、ウィリス氏は警鐘を鳴らしている。
References:How many types of narcissist are there? A psychology expert sets the record straight / written by hiroching / edited by / parumo
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