「落語も料理も名人級!」にぎわい亭のり巻きさん「落語も絶品な寿司職人の巻」珍談案内人・吉村智樹のこの人、どエライことになってます! (2/2ページ)
さらに近所のたこ焼き屋、スナック、居酒屋などに「一席やらせてください」と頼み込み、客の「誰やねん」という冷たい視線と闘いながら、舞台度胸をつけていったのだ。
にぎわい亭のり巻きの落語の特徴は、食べ物をメインにしていること。初舞台で語った「ふぐ鍋」、かまぼこがキーワードとなった「鮫講釈」など、いわばグルメ系である。
「寿司職人が演じる落語という部分を大事にしたい。料理人がやるからこそ、ネタがバチッとハマると、お客さんにウケる。そのため、古典だけではなく『わさび寿司』『お寿司誕生物語』など、新作も書きました」
そうして四十路を過ぎて落語に熱中するようになり、料理にも変化が表れた。
「古典落語の多くは江戸時代を舞台にしています。人々がギスギスしていない、あの時代の雰囲気が私は好きなんです。
店では江戸時代の調味料「煎り酒」(日本酒に梅干などを入れて煮詰めたもの)をコース料理に組み込むなど、味でも、いにしえの日本を感じてもらいたいと考えています」
この頃は地元の茨木をさらに盛り上げるため、市内の溝咋神社にまつられた「玉櫛姫」のストーリーを落語や紙芝居、歌で伝える運動に尽力している。
成田家の座敷にプロを招いて落語会を開催したり、創作落語の投稿サイトを起ち上げたりするなど、落語と料理と地元を愛する彼。
9月17日(日)に茨木で開催される「秋のガンバるフェスタ」で舞台に上がる。社会人落語を侮るなかれ。のり巻きの落語のウマさに、きっと舌を巻くはずだ。
よしむら・ともき「関西ネタ」を取材しまくるフリーライター&放送作家。路上観察歴30年。オモロイ物、ヘンな物や話には目がない。著書に『VOW やねん』(宝島社)『ジワジワ来る関西』(扶桑社)など