新しいムーブメントは過去の音楽の「再流行」とともに生まれる?デジタルストリーミング時代の必読書、『ポップミュージックはリバイバルをくりかえす』8月16日刊行。 (3/4ページ)
いつからか、ポップミュージックは直進的な進化をすっかりやめてしまったのだろうか。ポップミュージックはすでに前方への歩みを止め、自身の尾を食べ続けることで自らの過去へと無限に囚われ続ける、物悲しいスパイラルに陥ってしまったのだろうか。
もしかするとそうなのかもしれないし、仮にこのような趨勢が単なる「現象」なのだとしても、その流れが簡単に覆くつがえるとも思えない。これは、ポップミュージックを常にその「新しさ」とともに享受してきた音楽リスナーたち、あるいは「新しさ」を見出すことに批評的な力点を見出してきた音楽ジャーナリズムにとっても、いかにも苦々しい事態だろう。
しかし、今ここで発想を転換してみるべきだろう。
むしろ、過去の復権/リバイバルという現象それ自体が、すぐれて現代的かつ同時代的で、なおかつ折々のサブカルチャーやそれらを取り囲む社会の情勢を鮮やかに映し出す、ダイナミックで「新しい」何かなのでないか、と。