【高知高専】学生の論文が『Chemistry – An Asian Journal』誌のFront Coverに選出

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独立行政法人国立高等専門学校機構のプレスリリース画像
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 高知工業高等専門学校(高知県南国市 校長:江口忠臣 以下「高知高専」)専攻科ソーシャルデザイン工学専攻2年の野並玲奈(のなみ れいな)さん、ソーシャルデザイン工学科新素材・生命コース5年の山﨑朋和(やまさき ともかず)さんと白井智彦准教授らの研究グループは、イリジウム触媒を用いて入手容易なカルボン酸を原料とした新しい有機合成手法を開発しました。本研究成果は、『Chemistry – An Asian Journal』誌に掲載され(2023年7月18日(火)オンライン公開)、同誌のFront Cover(表紙)に選出されました。また、Wiley社の「Hot Topic: Fluorine Chemistry」で紹介されました。




[資料: https://files.value-press.com/czMjYXJ0aWNsZSM4MDM5NCMzMjQwMTAjODAzOTRfYmlSZkVWdVNpWS5wbmc.png ]
研究成果の要点
・入手が容易な芳香族カルボン酸という分子を有用分子へ変えるための新しい手法を開発することに成功した。
・廃棄物が少ない新しい合成プロセスとして期待される。

研究背景と成果概要、展望
 カルボン酸は、カルボキシ基(ーCO₂H)という部分構造を持つ入手容易な有機化合物であり、例えば調味料の酢の主成分である酢酸も代表的なカルボン酸の1つです。カルボン酸は自然界に広く存在するだけでなく、医薬品等の機能性分子としても知られています。また、カルボン酸は化学反応の原料や中間体としても重要であり、様々な分子変換法に利用されています。その中で、カルボン酸の脱炭酸反応は、カルボキシ基部位を二酸化炭素として取り除く変換法です。更に、脱炭酸を経由して他の反応を連続的に進行させると、カルボキシ基を直接的に別の構造へと変化させることができるため、脱炭酸反応はクリーンで応用力のある優れた手法です。活発に研究が進められている領域ですが、芳香族カルボン酸という種類のカルボン酸は脱炭酸反応を起こしにくく、既存の方法では、過酷な反応条件を必要とする、カルボン酸の許容性が狭いなどの制限がありました。今回の研究では、独自に開発したイリジウム触媒を用いてこれまでより効率的に芳香族カルボン酸の脱炭酸反応を進行させることに成功しました。更に、開発した脱炭酸反応は、医・農薬分野で重要なキラル分子や有機フッ素化合物などの合成に応用可能であることも示しました。本研究を更に発展させることで、医・農薬候補化合物合成に廃棄物の少ない新しい合成戦略を与えることが期待されます。

学生のコメント
(専攻科 ソーシャルデザイン工学専攻2年 野並 玲奈さん)
 このテーマは専攻科1年から検討を始めた研究で、特に実用性に着目して取り組みました。研究を進める中で、イリジウム触媒を用いると入手容易な芳香族カルボン酸の脱炭酸反応が進行することが分かり、これを活かしてカルボン酸を原料とした有用分子合成法の開発に関する研究を進めてきました。研究の成果が論文としてジャーナルに受理された際は、嬉しさを感じると同時に、更に研究を展開していく事が楽しみになりました。専攻科生活も残り1年を切りましたが、研究を楽しみたいと思います。

(ソーシャルデザイン工学科 新素材・生命コース5年 山﨑 朋和さん)
卒業研究のテーマとしてこの研究に取り組んできました。貴重な経験を積む
ことができ、とても嬉しく思います。今後も有機フッ素化合物に注目して、より
効率的な反応の開発を目指して研究に励みたいと思います。


[資料: https://files.value-press.com/czMjYXJ0aWNsZSM4MDM5NCMzMjQwMTAjODAzOTRfYW1BQ1hIdUxLRC5wbmc.png ]
【発表論文の情報】
論文名:Cationic Iridium-Catalyzed Decarboxylation of Aromatic Carboxylic Acids(カチオン性イリジウム触媒を用いる芳香族カルボン酸の脱炭酸反応)
著者名:Reina Nonami¹, Yu Kishino¹, Tomokazu Yamasaki¹, Kazuya Kanemoto², Kento Iwai³, Nagatoshi Nishiwaki³, Kazutaka Shibatomi⁴, Tomohiko Shirai¹ (¹ 高知工業高等専門学校、² 東北大学、³ 高知工科大学、⁴ 豊橋技術科学大学)
雑誌名:Chemistry – An Asian Journal
公表日(オンライン公開日):2023年7月18日【論文】
論文URL: https://doi.org/10.1002/asia.202300533
Hot Topic: Fluorine Chemistry:https://is.gd/ilrfE0

白井研究室ホームページ URL: https://shirai-t.wixsite.com/website

高知工業高等専門学校について
 日本そして世界を取り巻く環境は大きな変革期にあるといえます。経済発展が進む中で、解決すべき社会的課題は複雑化してきており、現在の社会システムでは経済発展と社会的課題の解決を両立することは困難な状況になってきています。その一方で、IoT、ロボット、人工知能(AI)といった新たな技術の発展が進んできており、日本は、課題先進国として、これら先端技術をあらゆる産業や社会生活に取り入れ、経済発展と社会的課題の解決を両立していく新たな社会の実現を目指しています。
 高知高専は、これからの社会の変化と時代のニーズに対応できる人材を育成するため、幅広い分野の知識・技術に触れ、専門分野と多面的な知識を融合し、判断力や人間力を備えた人材の育成を目指しています。

【学校概要】


[資料: https://files.value-press.com/czMjYXJ0aWNsZSM4MDM5NCMzMjQwMTAjODAzOTRfZGhhZG5jTnlqZC5KUEc.JPG ]
学校名:独立行政法人国立高等専門学校機構 高知工業高等専門学校
所在地:高知県南国市物部乙200-1
代表者:江口 忠臣
設立:1963年
URL:https://www.kochi-ct.ac.jp/
事業内容:高等専門学校・高等教育機関


【本リリースに関する報道お問い合わせ先】
高知工業高等専門学校 総務課企画係
TEL:088-864-5602
e-mail:kikaku@jm.kochi-ct.ac.jp


提供元:valuepressプレスリリース詳細へ

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