人間も長寿に?ハダカデバネズミの長寿遺伝子をマウスに移植し寿命を伸ばすことに成功
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ユーモラスで個性的な姿をした「ハダカデバネズミ」は、見た目だけでなく寿命の点でも個性的であることが知られている。ほかのネズミに比べて、老化しにくく、とても長生きなのだ。
ハダカデバネズミの長寿の秘密は、保湿成分として知られる「ヒアルロン酸」が関与しているとみられている。
このほど米ロチェスター大学の研究チームが、このヒアルロン酸合成遺伝子をマウスに移植してみたところ、その寿命を延ばすことに成功したという。
『Nature』(2023年8月23日)に掲載された画期的な成果は、人間の寿命を延ばす突破口になるかもしれないそうだ。
・なぜハダカデバネズミは長生きなのか?
「ハダカデバネズミ」はデバネズミ科のげっ歯類で、体長は10cmほど。見た目も個性的だが、科学者が注目しているのは、同じ大きさのげっ歯類の中ではとりわけ長生きという点だ。
どういうわけか、年をとっても神経変性・心血管系疾患・関節炎・がんといった病気にかかりにくく、普通のネズミより10倍も長生きする。
これまでの研究によれば、どうやらその秘密は保湿成分として知られる「ヒアルロン酸」にあるようだ。
ヒアルロン酸は皮膚・目・関節などを保湿する働きがあり、私たちの体内にもある。だがハダカデバネズミのものは、分子量が5倍もあり、しかも密度まで高い。
この濃厚なヒアルロン酸のことを「高分子ヒアルロン酸」というが、どうやらこれがハダカデバネズミの体を病気や老化から守っているようなのだ。
たとえば、ハダカデバネズミの細胞から高分子ヒアルロン酸をなくしてみると、その細胞にはがんができやすくなることが確認されている。
そこでロチェスター大学の研究チームは、この長寿効果をほかの動物に移植できないか試してみることにしたのだ。
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ハダカデバネズミ photo by iStock
・ヒアルロン酸遺伝子をマウスに移植したところ寿命が延びた
ハダカデバネズミの高分子ヒアルロン酸は「HAS2遺伝子」によって作られる。哺乳類ならどんな動物でもこの遺伝子を持っているが、ハダカデバネズミのものはその生産能力が強化されている。
今回の研究では、マウスにハダカデバネズミの「HAS2遺伝子」が移植された。
その結果、自然にできる腫瘍も、薬品で作られる皮膚がんのどちらもできにくくなり、マウスの寿命は4.4%延びたという。
高分子ヒアルロン酸には、なぜこのような健康効果があるのか?
まだわからないこともあるが、どうもこの物質には免疫系を直接コントロールする力があるようだ。
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photo by iStock
・人間の老化防止にも適用できるか?
では、ハダカデバネズミの高分子ヒアルロン酸は人間の寿命も延ばしてくれるのか?
研究チームはまさに今、それに取り組んでいる。
アプローチの仕方には2つある。ヒアルロン酸を分解されにくくする方法と、ヒアルロン酸の生産量を増やす方法だ。
研究チームはすでにヒアルロン酸の分解を遅らせる分子なら発見しており、現在それをテストしている最中だという。
なお、ハダカデバネズミの高分子ヒアルロン酸が発見されてから、今回のマウスの寿命アップまでには10年がかかっている。
なのでもし成功しても、一般に使用できるようになるのは当分先のことになりそうだ。
References:Increased hyaluronan by naked mole-rat Has2 improves healthspan in mice | Nature / New Breakthrough Paves the Way for Extending Human Lifespan – Scientists Successfully Transfer Longevity Gene / written by hiroching / edited by / parumo
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