「許せないこと」をどう許す?負の感情から解き放たれる童話(1) (2/2ページ)
そうした怒りが物語を進める原動力になったのは確かですが、今のお話にあったように、次第に「許し」というテーマに行きつきました。
――それによって北さんが抱えていた許せないことも許せたのでしょうか。
北:そう思っています。
――「許し」は古くから多くの文学作品のテーマになってきました。このテーマを扱った作品で好きなものがありましたら教えていただきたいです。
北:文学作品ではないかもしれませんが、栃木県に伝わる民話に「河童の雨乞い」という話があります。身の上の寂しさから村に住む人や動物たちに悪さばかりしていた河童の話なんですけど、自分に良くしてくれた和尚さんに報いたいという思いから、日照り続きで困る村人たちのために命がけの雨乞いをします。何日も雨乞いをしているうちに頭の皿の水は干上がって、皮膚もカラカラになっていく、死を賭しての雨乞いなのですが、ついに雨が降った時にはもう命が尽きていた。
河童が天に向かって一心に雨を祈って、悪さばかりしていた自分への許しを得ようとする姿に心を打たれまして、読んだ時は涙が止まりませんでした。
(後編につづく)