広島でハチク(淡竹)が120年ぶりに開花。咲けば種も残さずすべて枯れ、自己破滅への序章となる
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竹といっても様々な種類がある。世界では1,250種類、日本には約670種の竹が分布しているそうだ。そして今回の主役は、日本三大有用竹の1種、ハチク(淡竹)である。
広島では今、ハチクが120年ぶりに花を咲かせているそうだ。優雅に聞こえるかもしれないが、開花は自己破滅への序章だという。
花を咲かせた竹は枯れてしまうと言われるが、前回竹が花を咲かせたのは1900年代初めで、本当のところはわからなかった。
そこで、広島大学の山田俊弘教授らが過去3年間に渡る調査を行ったところ、花を咲かせた竹はすべて枯れることが判明した。しかも再生する気配さえないという。
それは「自己破滅へ向かう片道切符のよう」で、きわめて不可解な現象であるそうだ。
・120年ぶりにハチク(淡竹)が開花、自己破滅の前兆か?
竹は花が咲くと枯れてしまうと言われているが、その開花サイクルがあまりにも長いため、研究が進まず、本当のところはわかっていない。
残された文書によると、前回にハチク(淡竹)が開花したのは1902年から1908年にかけて。120年も前のことだという。
それから120年。今、東広島市では徐々にハチクが花を咲かせており、謎が多い竹の開花について研究する絶好のチャンスが訪れている。
花を咲かせた竹は本当に枯れてしまうのか? それを知るために、広島大学の山田俊弘教授らは2020年から2022年にかけて開花したハチクを調べた。・花を咲かせた竹はすべて枯れてしまう。まわりの竹も道連れに
調査対象となった竹のうち、実際に開花したのは8割ほど。なんということか、それらの竹は本当にすぐに枯れてしまったのだ。
それどころか、花を咲かせなかった残り2割の竹まで、道連れにされるかのように枯れてしまった。
しかも花を咲かせたというのに、タネはまったくできず、タケノコすら育たなくなったのだ。不吉なことに、その後竹林が再生する気配はまったくないという。
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開花中のハチクの竹林 / image credit:Image credit: Toshihiro Yamada, Hiroshima University・なぜ自らを破滅に追い込むのか?不可解な竹の生態
花は本来、植物の生殖器官であり、タネを作り、繁殖するためのものだ。なのに花を咲かせたハチクは種を残すこともなく枯れてしまう。
植物としては矛盾した現象であり、研究チームはこの開花について「自己破滅へ向かう片道切符のよう」と、プレスリリースで述べている。
だがもしも開花が破滅への道なのだとしたら、ハチクが今もなお日本各地にある理由を説明できない。
あまりにも不可解な竹の生態だが、研究チームによれば、3年という調査期間は120年の開花サイクルをもつ竹について知るには短すぎる可能性があるそうだ。
もっと長い期間で見てみれば、謎めいた竹の開花にも合理的な理由が隠されているのかもしれないという。
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ハチクは中国原産で、日本には奈良時代に伝わったとされている。
日本ではモウソウチクやマダケとともに日本三大有用竹に数えられており、割り竹や竹細工などに使用され、タケノコはえぐみがなくておいしいといわれているが、一般市場には出回らないそうだ。
その開花周期はマダケなどと同様、約120年とされており、開花後は一斉に枯死すると伝えられていた。
この研究は『PLOS ONE』(2023年6月12日付)に掲載された。
References:広島大学プレスリリース / Bamboo Is About To Flower For The First Time In 120 Years. It Could Be A Disaster | IFLScience / written by hiroching / edited by / parumo
追記(2023/09/09)本文中の誤字を訂正し再送します。
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