世界の二刀流・大谷翔平「2023衝撃の瞬間」舞台裏20【画像】スーパープレー「衝撃の瞬間リスト」

日刊大衆

大谷翔平
大谷翔平

 突如として訪れた“投手生命の危機”。それでも歩みを止めない野球小僧の投打にわたる活躍をプレイバック!

大谷翔平(29)が、右肘の靭帯損傷で投手今季絶望〉

 8月24日。衝撃の一報が、所属するエンゼルスから正式にアナウンスされた。

「球団発表によれば、大谷の故障は、同じ右肘ながら2018年のトミー・ジョン手術とは別の箇所。損傷が実際、どの程度かは今のところ不透明なままです」(スポーツ紙MLB担当記者)

 大谷の今後は、事の推移を見守るほかないが、今季の彼が投打に見せた華々しい活躍は、まさに歴史的。

 世界の頂点へと駆け上がった、WBCから始まった2023年シーズン。記録にも記憶にも残る二刀流の鮮烈すぎる軌跡を、今こそ改めて振り返りたい。

■WBC優勝から伝説の幕開け

 伝説の幕開けとなったのはやはり、日本中が歓喜に包まれたWBCだ。

 準決勝・メキシコ戦。9回裏の劇的サヨナラを呼び込んだフェンス直撃二塁打を放ち、ベース上で雄叫びを上げた場面は、多くの人々の脳裏に焼きついている。

「あの場面、大谷はあえてバットを短く持って打席に入りました。チームメートに“ヒットを打ってくる”と宣言したうえでの、いわば“予告ツーベース”だったとか。たった一振りで侍ジャパンを、日本中を一つにした。まさにスーパースター大谷の面目躍如とも言える瞬間でしたね」(スポーツジャーナリスト)

 そして、アメリカとの決勝戦。大谷は、試合前のロッカールームで「憧れるのはやめましょう」と、チームを鼓舞する名言を残している。

「実は、ある選手が“マイク・トラウトのサインボールが欲しい”と話し、トラウトが侍ジャパン全員分のサインボールを、試合前に贈っていたといいます。この光景を見て出た言葉だったんでしょう」(前同)

 その決勝戦で大谷は、9回のマウンドに上がり、トラウトから三振を奪って試合を締めるという、漫画のような展開で感動を呼んだ。

「あそこは1点差、一打同点の場面。主砲・吉田正尚(30)を下げてまでの大谷の抑え起用は、実は“諸刃の剣”でもあった。栗山英樹監督( 62 )の決断を、意気に感じた“教え子”が気迫で圧倒したわけです」(前同)

 ちなみに、“2023年仕様”に進化した投手・大谷の変貌ぶりが、顕著に出たのも同じ場面だった。

 ジャパンベースボールデータ社のアナリスト・大南淳氏が、こう指摘する。

「大谷選手がスプリットに代わる決め球として昨季以降、急激に投球割合を増やしているのが“スイーパー”。この球はデータ上でも、右打者に有効なことが分かっている。メジャー屈指の右打者であるトラウトとの、あの対決は、いわばここ数年の投手・大谷の象徴的な姿でもあったわけです」

■メジャーリーグ開幕しても大活躍

 その予感通り、WBC後わずか9日で開幕を迎えた大リーグでも大谷は絶好調。

 2年連続の開幕投手となった30日のアスレチック戦では、初勝利こそならなかったが、6回を2安打無失点、10奪三振と圧倒した。

 大リーグ評論家の福島良一氏が、こう続ける。

「序盤の大谷は、特に投手として5戦で3勝、負けなし、防御率も0.64と最高の滑り出し。4連勝で終えた4月の時点では、“サイ・ヤング賞最有力”の声が早くも上がったほどでした」

 4勝目を挙げた4月27日のアスレチックス戦では、今季最速の101.2マイル(約163キロ)を記録。打っても、本塁打が出れば、先発投手では史上初となるサイクルヒット“未遂”も達成した。

 その後も前半戦だけで、先発試合3度を含む、6度の“未遂”を記録する。

「序盤の山場だった17連戦も大谷は皆勤。その17戦目を勝利で飾った4月30日のブルワーズ戦では、スタットキャストによる映像解析が始まった2015年以降の、最高到達点となる49.4メートルの特大第7号。滞空時間は実に6.98秒という“ムーンショット”を放ちました」(前同)

■“神様”が持つ大記録を更新!

 さらに5月3日のカージナルス戦では、5回を投げて2被弾したが、自己最多タイとなる驚異の13奪三振の快投。

 WBCをともに戦ったラーズ・ヌートバー(25)をも、3三振にねじ伏せた。

「通算500奪三振&100本塁打到達は、ベーブ・ルース以来、史上2人目の快挙。続く9日のアストロズ戦では自身、初黒星を喫したものの、7奪三振をマークして、そのルースが持つ通算501奪三振を突破。また一つ“神様超え”を達成しました」(同)

■打撃もエンジン全開

 一方、6月に入ると打撃のほうもエンジン全開。

 チームの月間本塁打記録を塗り替える15本塁打、29打点、打率3割9分4厘と、圧倒的な成績で月間MVPに輝いた。

「中でも特筆すべきは、6月14日のレンジャーズ戦で放った21号と、同30日ダイヤモンドバックス戦の30号。493フィート(約150メートル)の超特大弾となった後者は、今季現時点でも両リーグ最長飛距離。453フィート(約138メートル)だった前者も、逆方向への打球としては現時点で最長です」(前出の大南氏)

 ちなみに、大南氏によると、「MLB全体の本塁打平均飛距離は400フィート(約122メートル)」だという。いかに大谷が、パワーでも頭抜けた選手であるかが分かるだろう。

 後半戦に入っても投打で、さらに輝きは増し、リーグ最多の9本塁打、OPS(出塁率+超打率)1.152で、2か月連続となる月間MVPに選ばれた。

■「野球史上最高の日」

 7月27日のタイガースとのダブルヘッダーでは、第1戦で渡米後初の完投勝利を完封で飾ると、その45分後に始まった第2戦では、圧巻の2打席連続弾。

 敵地デトロイトの地元紙までもが「野球史上最高の日」との見出しを打って、その快挙を称賛した。

 大南氏は「投手としての大谷選手が今季、目指した理想に近いゲームだった」とし、こう補足する。

「今季の大谷選手は、ストレートを投げる際に、昨季と比べて平均0.24フィート(約7.3センチ)、およそボール1個分、リリースポイントが下がっている。サイドスローに近いんじゃないか、というぐらいの変化が、データ上でも顕著に出ていたのが、この試合でした」

 大南氏によると、より低いリリースポイントから、浮き上がるような高めのストレートを投じて三振を奪うというのが、近年の大リーグでは一大トレンドになっているという。

「空振り率で見ても、昨季の20.3%に対し、今季は27%と大きく上昇していますから、ことストレートに関しては、リリースを下げた効果は如実に出ている。7月4日のパドレス戦では、驚異の選球眼で今季も100以上の四球を稼ぐ、強打者のフアン・ソト(24)からも三振を奪っていますしね」(前同)

 ただ、8月に入ると、7連敗を喫するなど肝心のチーム状態が急下降。

 中指のけいれんで緊急降板した8月3日のマリナーズ戦では、2年ぶりの大台に乗せる40号が空砲に終わる逆転負けに、ベンチで涙ぐむ姿もあった。

「製造元である鹿児島・薩摩川内市の丸武産業にも問い合わせが殺到するほど、おなじみの光景となった開幕直後からの“兜セレブレーション”をはじめ、人一倍、チームの和を重んじてきたのが大谷です。中指のけいれんで緊急降板した8月3日のマリナーズ戦では、2年ぶりの大台に乗せる40号が空砲に終わる逆転負けに、ベンチで涙ぐむ姿もあった。個人主義が主流のメジャーでは、彼のような“フォア・ザ・チーム”を体現する選手のほうが稀。敵地でも大歓声で迎えられているのは、人柄によるところも多分にあるはずです」(MLB担当記者)

 終盤に差しかかるこの時期としては痛恨の7連敗で、現地ファンサイトは、エンゼルスのプレーオフ進出可能性を“0.7%”と評価。

 それに加え、盟友・トラウトの再度のIL(負傷者リスト)入りなど、チームの苦境は続く。

■仮に手術しても評価は5億ドル

「ただ、そんな中でも9日のジャイアンツ戦では、6回1失点で10勝目を挙げて、MLB史上初となる2年連続での2ケタ勝利&2ケタ本塁打をクリア。肘の状態次第では今後、もう二度と達成されない記録になる可能性があるだけに、この偉業は、もっと評価されていいと個人的には思います」(福島氏)

 ところで、巷では、投手大谷の“真の状態”をめぐって臆測が飛び交い、二度目の手術についても、すでに可能性が取り沙汰されている。

 日本ではあまり類例がないだけに、その選択には不安もつきまとうが。

「MLBでは、トミー・ジョン手術を複数回受けた選手が、すでに40人以上もいて、その半数はしっかり実戦復帰も果たしています。高校時代に続いて2度目の手術を受けたブルージェイズの韓国人左腕・柳賢振(36)は、8月1日に復帰して、ここまで3勝を挙げていますよ」(前同)

●今オフのFA市場は?

 そうなると、気になるのはファン最大の関心事でもある、今オフのFA市場。

 唯一無二の“二刀流”に対してついた5億ドル(約730億円)もの評価額は果たして、どうなるのか。

「現地のスポーツ専門サイト『アスレチック』が、“仮にトミー・ジョン手術に踏み切っても5億ドル”とする論評を上げていましたが、これは私も同感。仮に来季は打者に専念したとしても、彼にはそれだけの価値がある。敵地のファンからもあれほどの大歓声で迎えられる選手を、私は他に知りません」(前同)

 二刀流はならずも、打者・大谷の今シーズンは、まだ20試合以上も残る。

 ほぼ手中に収めている初の本塁打王に加え、50本塁打&20盗塁となれば、史上4人目の快挙。

 数多の常識を打ち破ってきたスーパースターの活躍は、今季もまだまだ続くことだろう!

※成績は8月29日時点のもの。日付は現地時間です。

※データについてはBaseballsavant.comを参照

【画像】2023大谷翔平「衝撃の瞬間」リスト

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