マウス実験でわかったこと。マイクロプラスチックはあらゆる臓器に侵入し、行動に変化

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マウス実験でわかったこと。マイクロプラスチックはあらゆる臓器に侵入し、行動に変化
マウス実験でわかったこと。マイクロプラスチックはあらゆる臓器に侵入し、行動に変化

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 マイクロプラスチックはいたるところに存在し、人間の体内からも発見されている。つい最近では心臓からも見つかっているが、体内に入り込んだマイクロプラスチックが、健康に与える影響についてはまだよくわかっていない。

 そこで研究者は、マウスにマイクロプラスチック入りの水を3週間ほど飲ませてみたところ、脳を含むあらゆる器官に、この極小物質が侵入していることを発見した。

 特に高齢のマウスでは、落ち着きをなくした不安定な行動が見られたほか、肝臓と脳の免疫マーカーも変化することが確認されたという。

 「マイクロプラスチックを大量に摂取したわけでもないのに、わずかな期間でこのような変化が見られたことに驚きました」と、米ロードアイランド大学の神経科学者のジェイム・ロス博士はプレスリリースで説明する。



・マイクロプラスチックの影響を調べるマウス実験
 これまで、極小のマイクロプラスチックが、人間の便血液など、体のいたるところから見つかっている。

 こうした異物は私たちの健康にどのような影響を及ぼすのだろうか?

 これを調べるため、米ロードアイランド大学の神経科学者のジェイム・ロス博士ら研究チームは、高齢のマウスと若いマウス、それぞれを2つのグループにわけ、蛍光ポリスチレンでできたマイクロプラスチックを混ぜた水か、普通の水のどちらかを3週間ほど飲ませる実験を行った。

 そしてこの間、周囲を探し回る行動や明暗の好み(本来ネズミは明るい場所を嫌う)など、マウスの行動や習性に変化がないかどうか観察した。

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・マイクロプラスチックを3週間飲んだマウスに行動の変化
 その結果、マイクロプラスチックを含む水を3週間飲んだマウスは、行動が大きく変化し、落ち着きがなくることがわかったのだ。

 とりわけ高齢のマウスではよく目立ったという。

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若いマウスと高齢マウスの脳内に蓄積するマイクロプラスチック(赤い点) / image credit:Gaspar et al., International Journal of Molecular Science, 2023

 またロス博士らによる最新の研究では、マイクロプラスチックが体内に入ると、脳の細胞をサポートする「GFAP」というグリア線維性酸性タンパク質が減少することがわかったそうだ。
GFAPの減少は、アルツハイマー病やうつ病など、いくつかの神経変性疾患の初期段階と関連しています。マイクロプラスチックがGFAPシグナル伝達を変化させることに驚きました(ロス博士)
・マイクロプラスチックはマウスの全身を循環する
 実験終了後の検査では、脳・肝臓・腎臓・消化管・心臓・脾臓・肺など、検査対象だったあらゆる組織からマイクロプラスチックが見つかった。さらにフンや尿からも見つかっている。

 マイクロプラスチックが消化器以外の組織からも検出されたということは、それはマウスの全身を循環するだろうということだ。

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あらゆる臓器にマイクロプラスチックが循環していた / image credit:Gaspar et al., International Journal of Molecular Science, 2023

 この結果はあくまでマウスでの結果で、人間にも当てはまるとは限らない。だが、とりわけ懸念されるのは、それが脳からも検出されていることだ。

 脳には血液脳関門というバリアのような構造があり、この重要な器官に異物が流れ込まないようになっている。だが小さなプラスチック片はこれを通過してしまうのだ。

 なお、今年初めに発表された別の研究では、マイクロプラスチックを口したわずか2時間後に脳で検出されたと報告されている。

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イメージ図 / image credit:Kopatz et al., Nanomaterials, 2023・体内のマイクロプラスチックは健康にどう影響するのか?
 こうした体内のマイクロプラスチックが健康にどのような被害を与えるのかは、まだよくわかっていない。

 今回のロス博士もいくつもの疑問を口にする。

体内のマイクロプラスチックのライフサイクルについては、まだよくわかっていません。
マイクロプラスチックは歳をとるにつれて、全身性の炎症を引き起こすのでしょうか? 簡単に体内から取り除くことが可能なのでしょうか? 細胞はこうした異物に異常な反応を示すのでしょうか?
 何度も言うように、今回の研究結果が、人間に直接当てはまるとは限らない。だが、このような動物モデルによる実験は、臨床研究の重要な第一歩となる。

 2022年の同様の研究では、ポリスチレン微粒子がマウスの脳に蓄積することで、炎症や記憶力の低下といった症状が出ると述べている。

 だが今回の研究では、少なくともそのような症状は見られていないという。

 ロス博士らは今後、こうしたマイクロプラスチックの影響について詳しく調査する予定であるそうだ。

 この研究は『International Journal of Molecular Science』(2023年8月1日付)に掲載された。

References:Microplastics infiltrate all systems of body, cause behavioral changes – Rhody Today / Microplastics Infiltrate Every Organ, Including Brain, Study in Mice Shows : ScienceAlert / written by hiroching / edited by / parumo



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