妻の帝王切開手術に立ち会った夫、精神疾患になったとして病院を訴え950億円の賠償金を求める

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妻の帝王切開手術に立ち会った夫、精神疾患になったとして病院を訴え950億円の賠償金を求める
妻の帝王切開手術に立ち会った夫、精神疾患になったとして病院を訴え950億円の賠償金を求める

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 巨額の賠償金を求めて訴えると聞くとアメリカの話かと思うが、これはオーストラリアでの出来事である。

 今や妻やパートナーの出産に立ち会う男性は少なくない。難産の末に健康な我が子が生まれれば、喜びもひとしおだろう。

 しかし、オーストラリアの病院で、妻の帝王切開の出産現場に立ち会った男性が、病院側に10億オーストラリアドル(約950億円)の損害賠償金を求める訴えを起こした。

 男性は、妻の帝王切開手術の光景がトラウマになってしまい、精神疾患になったそうで、結婚生活を破綻に導いたのは、病院のせいだと主張したのだ。

・妻の帝王切開の出産現場に立ち会った夫が病院を訴える
 アニール・コップラさんの妻は、2018年1月20日にメルボルンの王立女性病院で、帝王切開により健康な赤ちゃんを出産した。

 コップラさんは、妻の出産をそばで見守っていたが、その手術光景が後に「精神疾患」を引き起こしてしまったという。

 帝王切開は、赤ちゃんが大きすぎる場合、間違った位置にある場合、または母親の健康が危険にさらされている場合など、個人的な理由により経膣分娩が困難、危険、または望ましくない場合に行われる。

 この手術では、医師が腹部と子宮を切り開いて羊膜に到達し、赤ちゃんを取り出す前に、母親の脊椎に麻酔注射が行われるか、全身麻酔下に置かれる。

 次に、へその緒と胎盤を切断し、母親の子宮と腹部を縫合する。

 多くの場合、女性は帝王切開の際にパートナーや家族の同室が許可され、新しい家族の誕生に立ち会い、帝王切開中の母親をサポートすることができる。

 当然、病院側は分娩室に立ち会う者に対して、出産が安全かつ無事に行われるための注意事項を述べておく義務がある。

 コップラさんは、妻の出産から数年後、病院が彼に対する注意事項を言わず、損害賠償を支払う責任があるとして、ビクトリア州最高裁判所に訴えを起こした。

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・手術がトラウマとなり精神疾患と結婚の破綻を引き起こしたと主張
 コップラさんは、出産を観察するよう勧められ、あるいは許可され、手術中に妻の臓器と血液を見たことが、精神疾患の発症につながり、さらには、結婚生活の破綻へ導いたと主張した。

 すべては、妻の帝王切開の手術を見たことが原因だと病院側に対して、損害賠償請求を求める訴訟を起こした。

 コップラさんは、損害賠償額を10億オーストラリアドル(約950億円)とし、弁護士無しの本人訴訟に自ら裁判に挑んだ。

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・裁判所はコップラさんの請求を棄却
 王立女性病院は、コップラさんにきちんと注意事項を説明しなかったことは認めたが、それを怠ったわけではなく、彼が精神疾患になったことに対する責任はないと主張した。

 9月11日に言い渡された判決の中で、ジェームズ・ゴートン判事はコップラさんに対し、「手続きの乱用」であるとして、この請求を棄却した。

 判決によると、オーストラリアの法律では、「重大な過失傷害」でない限り、非経済的損失について損害賠償を請求することを認めていないという。

 コップラさんは公式に健康診断を受け、その結果を見た委員会は「原告が主張している傷害に起因する精神障害の程度は、基準値を満たしていない」との判断を下した。

 コップラさんは委員会の決定には同意できないと述べたが、決定の見直しを申請しなかった。

 その後、病院は訴訟手続きの却下を申請した。

 裁判官は、「コップラ氏は経済的損失を一切受けていないこと、また彼の申し立てられた病気が過失傷害となる基準を満たしていないことから、損害賠償の義務はないと判断した」と述べている。

References:Man sues Melbourne hospital for $1 billion after watching wife’s c-section delivery/ written by Scarlet / edited by parumo



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