9月21日は「アルツハイマー病の日」名医警鐘「便秘だけじゃない!」認知症にならない心得20最新版

日刊大衆

写真はイメージです
写真はイメージです

 2年後には「高齢者の約5人に1人」が患うという“令和の国民病”。その予防には生活習慣こそが重要だった!

 9月21日は、WHO(世界保健機関)が認定した「アルツハイマー病の日」。その日を前に、医療の世界で大きな動きがあった。

 8月21日、厚労省の専門家部会で、製薬会社のエーザイなどが開発を進めていた新薬『レカネマブ』が承認されたのだ。

「これはアルツハイマー病の治療薬で、すでにアメリカでは7月に承認されています。症状の進行を遅らせる効果が期待でき、早ければ10月にも、医療現場で使われる見通しです」(医療関係者)『医師が認知症予防のためにやっていること。』(日経BP)の著書もある、『いのくちファミリークリニック』院長で、認知症専門医の遠藤英俊氏は、今回の新薬承認について、こう解説する。

「アルツハイマー病の原因物質とされる『アミロイドβ』は、50代から徐々に脳に蓄積しますが、この薬は、たまっているアミロイドβを排除する働きが認められています。これまでは対症療法しかなかったので、こういった根本治療の薬が登場したのは、非常に大きな出来事です」

■費用が高額

 ただし、一方で、『レカネマブ』の処方には厳しい条件があるという。まずは、アミロイドPET検査を受けて「陽性」、つまりアミロイドβが蓄積しているという確認が必要となる。

「この検査に1回約35万円かかりますし、検査できる場所もかなり限られます。また、『レカネマブ』が処方されると、月2回の注射を1年から1年半続けますが、この費用が、アメリカでは約385万円かかります。日本での価格はまだ決まっていないものの、使いたくても使えない人が出てくるのは、間違いないでしょう」(前同)

 がんとともに根治が難しいと言われ続けてきた認知症。希望の光が差してきたとはいえ、やはり病にならないことが一番のようだ。

「日々の生活習慣を正すことで、認知症を予防することは十分可能です。『レカネマブ』に頼らないことを目指しましょう」(同)

■骨折に注意

 では、具体的に、「認知症にならない生活習慣」とは、どんなものか。認知症に詳しい新潟大学名誉教授の岡田正彦氏は、「骨折などから寝たきりになり、認知症が進行するケースが非常に多い」と語る。

「転倒しないように生活環境などを整える必要がありますし、骨折に強い体作りが重要になってきます。その一つが、日光によく当たること。体の中のカルシウムを栄養素として吸収するためには、活性型のビタミンDが必要なんですが、紫外線が、そのビタミンDを活性型に変えてくれるんです」(岡田氏)

■運動も大切

 骨折しない体作りには、「運動」も大切だという。さらに、運動には、こんな効果も。

「歩行などの有酸素運動をすると、心拍数が増え、脳への血流が増える。すると、脳の酸素摂取量が増えて、脳の活性化につながります」(前出の遠藤氏)

 運動の習慣づけは、「週に3回、1日30分の散歩」を目標としよう。

「ハアハアと少し息が切れるくらいの“早歩き”が理想です。ラジオを聞きながら、あるいは頭の中でしりとりをしながら……など、頭を使いながら歩くと、より効果的ですね」(前同)

 また、運動することで「便秘」も改善できる。

「便秘は、認知症患者によく認められる症状で、その原因は“運動不足”なんです」(前出の岡田氏)

 実は便秘と認知症には、意外にも深い関係がある。

「国立がん研究センターの調査によれば、毎日排便する人より、週3回未満の人は、認知症の発症リスクが高いことが明らかになりました。特に男性で、その傾向が強く、“便秘”が慢性化することがリスクを増大させるようです」(前出の医療関係者)

 便秘には、腸内環境を整えるのが一番。

「毎日、野菜を食べる」ことで便秘予防に努めたい。

 また、野菜をとる以外にも、正しい食生活は、認知症予防の第一歩となる。現役世代の人は、まず「カロリーと塩分をとりすぎない」こと。

 岡田氏によれば、高血圧から動脈硬化症、そして認知症へという悪循環をもたらす恐れがあるという。

■動脈硬化を防ぐために食べたい青魚

「認知症には、いくつかのタイプがありますが、動脈硬化症と関係しているものもあります。動脈硬化症で血流が悪くなり、脳神経の代謝が低下するためと考えられています」(岡田氏)

 そして、積極的に食べたいのが「青魚」だ。

「青魚には、DHAやEPAが多く含まれています。DHAは記憶力や判断力を向上させ、認知症予防に有効。EPAは血行を促進するので生活習慣病の予防に効果があり、結果的に認知症のリスクも抑えることになります」(管理栄養士)

 もちろん、魚を食べることで、骨も丈夫にできる。まさに、一石二鳥の効果が期待できるわけだ。

 認知症予防になる食事は、他にもある。遠藤氏は、「食べ物で認知症予防するなら、“カレー”がダントツ」と力説する。

■「週1でカレー」が良い理由

「カレーに使われる香辛料・ターメリックに含まれている“クルクミン”という成分には、アミロイドβを脳内にたまりにくくする効果があるんです。これは動物でも、人間の実験でも証明されています」(遠藤氏)

 ちなみに、遠藤氏は週2〜3回、カレーを食べているという。

「ハウス食品グループが、長期的にカレーを頻繁に食べている人ほど、認知機能が正常を保っているという研究結果を発表しています。なお、“週に1回以上、カレーを食べる”人が、最も認知機能の低下リスクが少なかったそうです」(医療ジャーナリスト)

■ポリフェノールを多く含む赤ワイン

 また、今では、すっかり有名になった“ポリフェノール”を多く含んでいる「赤ワイン」も、認知症予防が期待できる。

「ポリフェノールの抗酸化作用と抗炎症作用が、認知症予防に効果的です。フランスのボルドー大学の研究で、毎日赤ワインを3〜4杯飲む人は、飲まない人に比べて、アルツハイマー型認知症などの発症リスクが4分の1だったという報告もあります」(遠藤氏)

 ただし、これはあくまでフランス人の食生活を対象とした調査結果。日本人なら、「1日1杯の赤ワイン」でいいだろう。

「グラス1杯のワインは、長寿の秘訣です」(岡田氏)

■会話も大事

 さて、日々の生活で、認知症予防に絶対、欠かせないものそれは“人とのコミュニケーション”だ。

「認知症の重要な危険因子として、難聴も挙げられますが、理由は、人とのコミュニケーションが妨げられ、脳が受ける刺激が少なくなるためだと考えられます」(前同)

 遠藤氏も、「他者とのコミュニケーションは非常に大切」だと語る。

「スウェーデン・カロリンスカ研究所の研究では、“社会的接触”が少ない人は、多い人に比べて、認知症の発症率が約8倍という結果が出ています。また、1日5人以上と会話をしないと、認知症リスクが高まるという研究報告もある。いずれにせよ、他者との会話がポイントなんですね」(遠藤氏)

 特に男性は、女性よりも老後を迎えて社会的に孤立する可能性が高い。将来的な会話の機会を減らさないためにも、「ふだんから近所の人にあいさつする」ことを心がけよう。たとえ今は交流がなくても、次第に世間話ができるような関係が築けるはずだ。

「一日中、家にこもって、話し相手は奥さんだけ……という生活は非常に危険。とにかく外出して、誰かと話すことが重要なんです」(前同)

 たとえば、毎日、喫茶店でモーニングを食べるというのもいい。

「出かけるための服装を考えるのは頭を使いますし、店の人や常連さんと会話する機会もできる。さらに、日光を浴びつつ、喫茶店まで歩くのは、よい運動にもなります」(同)

 会話でいえば、「思い出話をする」ことも、認知症予防につながるという。

「そもそも、“昔を思い出す”という行為が、脳に良い。過去を回想し、忘れていた記憶を思い出すと、脳の前頭葉が活性化するんです」(同)

 具体的には、昔の写真を数枚用意し、そこに写っている家族や仲間たちと思い出話をしたり、写真の場所をまた、訪れたりするのが効果的だという。

■麻雀もオススメ

 また、コミュニケーションの場という意味では、「麻雀で遊ぶ」のもオススメだ。

「会話が弾むのはもちろんですし、麻雀は高度で複雑な脳の使い方をするゲームですから、脳トレになる。また、勝負ごとはアドレナリンが出るので、脳への良い刺激になります」(同)

 ただし、麻雀する際、タバコを吸いながら……は絶対にNG。認知症予防に、タバコは大敵となるのだ。

「運動不足や偏った食事などとともに、喫煙も認知症になる原因の一つ。そのことを示すデータもあります」(岡田氏)

 大敵といえば、ダラダラとテレビを見る生活も非常に危険。まったく脳が使われず、認知症リスクが高まってしまうのだ。

「大切なのは、新鮮な情報をインプットすること。テレビならば、ニュース番組を見て、最新の時事問題に興味を持つ。さらに、その内容について誰かと話すことで、効果的な認知症予防となるんです」(遠藤氏)

 さっそく始めよう!

■まだある!「認知症」にならない心得チェック表

□自分で料理する具材の準備や調理など、いくつもの作業を同時に進めるので、頭の刺激になる。「料理教室に通うのもオススメ。新たな交友関係も築けます」(遠藤氏)

□肉を「週に2回」食べる 老化で筋肉が落ちたり、寝たきり状態になったりすると、認知症のリスクが増大。筋肉を維持するために、肉を食べてタンパク質をしっかり補給しよう。

□「社交ダンス」を始める 体を動かす刺激があり、異性との交流もあるため、脳が活性化し、若返る。「社交ダンスをする人は、認知症リスクが4分の1という研究結果も」(遠藤氏)

□コーヒーを飲んで30分間昼寝する 30分以内の昼寝は認知症予防に効果大だが、1時間以上になると逆にリスクが高まる。そこで、昼寝前にカフェインを摂取すると、30分前後で快適に目が覚める。

□夜は「7時間睡眠」寝不足は、脳内にアミロイドβを蓄積させて、アルツハイマー型認知症のリスクを高める。「夜の睡眠時間は6~8時間、できれば7時間がベストです」(遠藤氏)

□毎日「ヨーグルト」を食べる 腸内細菌が認知症の発症リスクに関わるという研究結果があり、腸を健康な状態に保つのも重要な予防策。ヨーグルトなどの発酵食品を、まめに食べたい。

□カラオケに行く 大声を出してストレスを発散することは、認知症の予防につながる。喉が鍛えられ、高齢者の健康リスクである「誤嚥性肺炎」も予防できるので、一石二鳥だ。

□定期的に目と耳の検査を 視力の悪い人や軽度の難聴の人は、認知症の発症リスクが約2倍になることが明らかに。定期的な検査で目や耳の異常はいち早く察知し、改善に努めよ

「9月21日は「アルツハイマー病の日」名医警鐘「便秘だけじゃない!」認知症にならない心得20最新版」のページです。デイリーニュースオンラインは、生活習慣病認知症ヘルスケアワインカルチャーなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る