「自分への手紙」を通して人生を振り返る。そこから見えるものとは(前編) (2/3ページ)

新刊JP

統合失調症の症状には幻聴や幻覚、支離滅裂など、当事者にとって非常に不本意で絶望的な劣等感を抱かせる症状があることは世間一般でも知られています。そんな偏見を受ける立場である統合失調症者の私の文章が、実際に他人に読まれて、どのように思われるのかを実験したかったということがあるんです。

他にも、統合失調症について関心を持ってほしいという思いや、一人の人間としての自分に関心を持ってほしいという気持ちもありました。そういった心情が揃ったことがあって、本書のテーマができていきました。

――本書は過去の自分に向けた手紙という形で、ご自身の人生がつづられています。この手紙というアイデアはどのようにして生まれたのですか?

大瀧:これは先ほどお話の中に出てきたディグニティセラピーから派生したアイデアです。

ディグニティセラピーは、終末期の患者さんの尊厳を守ったり、支えたりすることを目的とした精神療法の活動の一つで、支援する側が患者さんの大切にしてきた価値観や覚えておいてほしいことを聞き取って、手紙の形式にして患者さんやそのご家族に提供されます。その手紙という形がすごく魅力的に思えたことが大きいですね。

また、他にも私が文通を趣味として始めていたので、手紙という形に慣れていたこともあります。

――自分史を「手紙」という形にして良かった点はなんですか?

大瀧:どの時点の自分と対話するか、的を絞って書くことができたことですね。そうすることで、文章全体がスリムになったように思います。すんなりと短時間で読める作品にしたかったのでその点は良かったです。

また、私は健忘症を少し持っていて、自分自身のエピソードを事細かく物語的に書くことができなかったということもあります。何をしたか詳しくは思い出せないけれど、何を感じていたかは覚えているので、そこに焦点を当てて語りかけることができた。それが上手くはまった感じですね。

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