宇宙の大部分がダークエネルギーでできていることを示す新たな研究結果
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宇宙の構成に関する新たな計測によると、その大部分、約69%が謎めいたダークエネルギーで構成されていることが明らかになった。つまり残りの31%がなんらかの物質となる。
これは千葉大学の石山智明准教授らによる新たな分析結果だ。
こうした宇宙に存在する物質量は過去にも計算されたことがあるが、今回それとはまったく別の方法で行われ、従来とほぼ同じような結果が導き出された。
このことは、天文学者たちが宇宙に存在する物質エネルギー密度の正解にかなり近づいているだろうことを物語っている。
・宇宙に物質はどれほど存在するのか?
宇宙に物質はどれくらい存在するのか?これは天文学においてもっと重要な問いの1つだ。
なぜなら宇宙に存在する物質の量は、広大な宇宙の構造にかかわるだけでなく、宇宙の運命すら決めているからだ。
ビッグバンではじまった宇宙はどんどんと膨張する。だが物質には重力があるので、それが十分にあれば、宇宙の膨張はやがて減速して収縮(ビッグクランチ)に転じるはずだ。
ところが、宇宙の膨張は減速するどころか、何らかの力によって加速しているだろうことが明らかになっている。この何らかの力が、「ダークエネルギー(暗黒エネルギー)」と呼ばれる仮説上の力だ。
だからこの宇宙が最終的にどうなるのか占ううえで、宇宙に存在する物質の全体量や、ダークエネルギーとの割合が決定的に重要となる。
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・宇宙の物質の量を知る方法
宇宙に物質やダークエネルギーがどれだけあるのか知るには、銀河団の数を数え、その質量を調べてみればいい。
それさえわかってしまえば、あとはシミュレーションを走らせ、現実の宇宙の姿とピッタリになる物質とダークエネルギーの割合を探ればいい。
ところが困ったことに、銀河団の質量を直接知ることはできない。
なぜか? それは私たちが直接見ることができる物質(バリオン物質)は、宇宙に存在する物質の2割ほどでしかないと考えられるからだ。
残り8割は、間接的にしか存在を知ることができない「ダークマター(暗黒物質)」となる。
この問題を克服するために、石山准教授らは、銀河団に含まれる銀河の数から銀河団の質量を推定してみることにした。
大きな銀河団ほど、たくさんの銀河で構成されている。この関係を「質量リッチネス関係(MMR)」という。
都合がいいことに銀河は光り輝く物質でできているので、その数をヒントに銀河団の質量を知ることができる。
そのうえでシミュレーションを行い、宇宙を占める物質とダークエネルギーの割合をいろいろと変えながら、架空の銀河団を作ってみた。
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銀河団「Abell 370」。無数の銀河が重力によってまとまっている/ image credit:X-ray: NASA/CXC/Penn State Univ./G. Garmire; Optical: NASA/STScI・宇宙の69%はダークエネルギー、物質は31%
その結果、現実の宇宙にある銀河団の姿と一番近かったのが、31%が物質で構成された宇宙だったのだ。
この結果が正しいとすれば、残り69%はダークエネルギーだ。つまり宇宙の大部分は謎のエネルギーで占められているということになる。
ちなみにこの結果は、過去に行われた推定結果とよく一致しているという。
だがその推定結果は、宇宙マイクロ波背景放射を手がかりにしたもの。今回の結果は、質量リッチネス関係を手がかりにした、まったく別の方法による推定だ。
それぞれ別の方法で計測した結果がほぼ同じものだった…それは天文学者たちが宇宙を占める物質エネルギー密度の正解にかなり近づいているだろうということだ。
この研究は『The Astrophysical Journal』(2023年9月13日付)に掲載された。
References:Constraining Cosmological Parameters Using the Cluster Mass–Richness Relation - IOPscience / New Calculations Show Most of The Universe Is Made of Dark Energy : ScienceAlert / written by hiroching / edited by / parumo
追記(2023/09/25)見出しの誤字を訂正して再送します。
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