気鋭の作家・小川哲が語る「小説家」と「占い師」の類似性 (2/3ページ)

新刊JP

今回は自分の身の回りのことから小説について考えることが多かったです。僕は他人にほめられたくて小説を書いている感覚はないのですが、世の中にはそうじゃない人もいますし、同業者の中にも認められたくて小説を書いている人もいます。そういった人と自分は何が違って何が同じなのかを考えることで、小説について考えようと思ったんです。

――「プロローグ」と「3月10日」は、直接的な愛情表現を使わずに恋人同士のある関係性が表現されていて、恋愛小説として読むと味わい深かったです。恋人同士のような近しい人間関係を書くのに気をつけていることがありましたらお聞きしたいです。

小川:僕個人は言葉で愛情を表現する行為が苦手なので、小説でもそういうのが書けないんだと思います。必要とあらば書くのかもしれませんが、できるだけ書きたくない(笑)。行動とかひとつひとつの描写で関係性が描ければいいと思っています。

――占い師に心酔してしまった友人の奥さんの目を覚まさせようとする「小説家の鏡」がおもしろかったです。作家である語り手の「僕」は、占いはすべてインチキだと思っているわけですが、一方で占い師のところに出向くと心が通じ合う瞬間があり、小説家である自分と占い師に類似性を見出したりもしています。このあたりは小川さんご本人の実感でもあるのでしょうか。

小川:小説家も占い師もウソをついてお金をもらっている点では同じですし、世の中にうまく入っていけない人が救いを見出すことがあるという点で、小説も占いも似ているのかもしれません。僕は占い師を詐欺師だと思っていますし、自分は占い師とは違うと思っていますけど、これだけ嫌いなのは自分の中にその要素があるからこそなのかもしれません。

――表題作の「君が手にするはずだった黄金について」については情報商材や投資詐欺といった現代的なトピックを通して、承認欲求が高じた末の転落劇が描かれています。承認欲求自体は誰もが持っているものですが、これを正しい方向に向けるためのアドバイスをいただきたいです。

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