直木賞作家・小川哲が新刊『君が手にするはずだった黄金について』で描く「承認欲求」と「オリジナリティ」 (3/3ページ)
小川:必ずしもそうではないです。僕がプロットを作らないのは、作ると書いていておもしろくないからです。「この話はこれからどうなるんだろう」と考えるのがたのしいので。でも、こういう書き方をしていると「さて、この先どうしよう」ということにもなりがちなのですが(笑)。
――物語の長さにかかわらずプロットは作らないんですか?
小川:作らないです。短いものはプロットなしでも頭の中で話を組み立てられますし、長いものは、続きがどうなるか自分にもわからない状態で書き進めて、どうにかなったものが世に出ています。どうにもならなかったら書き直すので。
――小説家というお仕事の大変さはどんなところにあるとお考えですか?
小川:同業者に怒られるかもしれませんが、こんなに楽な仕事はないと思っています。嫌だったことはすぐに忘れて、都合のいいことばかり覚えている自分の性分もあるのかもしれませんが、大変なこともつらかったことも特にありません。上司もいないし、嫌いな人とは会わなくていいし、朝も早く起きなくていいですからね。
――本作のテーマは承認欲求ですが、小川さんご自身の承認欲求はどんなところに表れていますか?
小川:僕自身が僕を許せるかということは考えますが、あまり他人からの目を基準に考えないんですよね。今は自分で自分を認めてあげることができているんじゃないかと思います。家族とか友達とのコミュニケーションで満足しているので、SNSで何か発信したい気持ちもないですし。
――最後に小川さんの読者の方々にメッセージをお願いいたします。
小川:僕にしては珍しく身近なものがテーマになっている。僕の作品が難しくて敬遠している人とか、普段小説を熱心に読まない人でも読みやすいと思うので、軽い気持ちで手に取っていただればと思います。もし気に入ったら、他の作品も読んでみていただきたいです。
(新刊JP編集部)