【愛埼家大歓喜】埼玉県が質問「我が県って本当に『ダさいたま』?」→県民から「埼玉愛」迸るご意見399件集まる

Jタウンネット

【愛埼家大歓喜】埼玉県が質問「我が県って本当に『ダさいたま』?」→県民から「埼玉愛」迸るご意見399件集まる
【愛埼家大歓喜】埼玉県が質問「我が県って本当に『ダさいたま』?」→県民から「埼玉愛」迸るご意見399件集まる
「やっぱり、みんな埼玉を愛しているんだな......」

埼玉県白岡市出身・在住のJタウンネット記者はそんなことを思いながら、上司にバレないようこっそり涙を流した。

2023年12月1日発行の県広報紙「彩の国だより」12月号で、「埼玉県民が埼玉に向けて書いたラブレター」とでも呼ぶべき、とにかく愛情がこもった県民の声が紹介されたからである。

「彩の国だより」12月号の表紙(画像提供:埼玉県)

埼玉県は、映画「翔んで埼玉~琵琶湖より愛をこめて~」の公開に合わせて10月20日~11月10日まで「本当に『ダさいたま』!?」と題した意見募集(自由記述式)を実施。その結果を「彩の国だより」12月号上で発表した。

記者が注目したのは、集まった805通中「ダサい」が231通(29%)で、「ダサくない」が218通(27%)だったことではない。「埼玉愛あふれるご意見」が399通(「ダサい」「ダサくない」との重複を含む)も寄せられたということだ。

記者は以前から感じていた。メディアのインタビューや日常会話――様々な場所で「埼玉」についての意見を求められた埼玉県民は、なぜか自虐に走ったり、謙遜したりする。愛情表現がへたっぴ......というか、そもそも本当に地元愛があるのかもよくわからない。

そんな埼玉県民から「埼玉愛あふれるご意見」が約400通も送ってきたという事実に驚いたのである。

ユーモアを交えて「埼玉愛」を語る

一体、どんな意見が寄せられたのか。広報紙のウェブ版に掲載されているコメントの一部をご紹介したい。

「埼玉はダサさを隠れミノに甘い汁を吸っている。都心へのアクセスが良いのに『遠くて大変です』と嘘をついたり、『埼玉なので帰ります』と二次会をパスしたり。住宅価格はダサさを盾に都心ほど高騰せず、その利便性は遜色ない。埼玉の立地優位性は油田くらいズルい。俺たちは埼玉をいいように利用している」(川口市・34歳)

――ダサいと言われる裏で、埼玉での生活はめちゃくちゃ充実している。しかも"ダサい"と認識されていることを使って、その良さは埼玉県民が独占。県民は誰よりも埼玉の魅力を理解している、という意見だろう。

「万能の天才レオナルド・ダ・ヴィンチの名はヴィンチ村のレオナルドという意味である。英語にするとレオナルド・from・ヴィンチになる。ということは『ダさいたま』は『from埼玉』であるのだ。さあ県民のみなさん、『from埼玉』からどんな未来をつくりましょうか」(行田市・63歳)

――埼玉県民は長らく「ダさいたま」に惑わされてきた。テレ玉のマルチチャンネルのように......。

埼玉県民である以上、逃れられない「ダさいたま」の呪縛と真剣に向き合い続けた結果、レオナルド・ダ・ヴィンチとの繋がりを見出してしまったのであろう。まさに埼玉を愛し、見つめ続けたからこその大発見だ。

「埼玉県民は他県民にダサいと言われても動じないメンタリティを持つことに加え、埼玉に油断している他県民を出し抜くだけの狡猾さとポテンシャルがあるので、むしろダサいことこそが価値だと思っています。よく、埼玉県民は他県民に言われる前に『埼玉はダサい』と叫んでいますが、実はそれは戦略です」(川口市・41歳)

――実のところ、埼玉県民はもう「ダサい」なんか聞き飽きて耐性が付いている。それどころか「ダサい」を逆手にとって出し抜こうとしている。実は、映画「翔んで埼玉」で登場した日本埼玉化計画を本気にしている人が記者をはじめ少なくないことを示唆する埼玉愛にあふれた一文と言えよう。

......といった具合で、ストレートに埼玉を「好き」とか「愛している」とは言わないが、どの意見からも「埼玉愛」が伝わってきたのだ。

「埼玉で頭がいっぱいに...」

埼玉について聞かれると「なんもないっすよ~」、「埼玉なんて......」と答える時代は終わったのかもしれない。他にも、こんな"愛の言葉"が掲載されている。

「埼玉県民には基本的に『自分』がありません。北部の住民は『ほぼ群馬』に住んでいると感じているし、南部の住民は『ほぼ東京』に住んでいると感じている。埼玉といえばこれ! という絶対的な観光名所もありません。でもそんな埼玉に満足してしまうのが埼玉県民。何もないのが、ほっとする。イジられても笑い飛ばす。埼玉だけの豊かさがあるのです」(深谷市・37歳)

――埼玉に「何もない」と勘違いして、つい近くの県に頼ってしまう。それでも良いかと受け入れてしまう。それこそが埼玉県民のおおらかさ。それを育む埼玉という豊かな土地への愛が語られている。

「必要以上の東京への憧れがダサい!?ダサさは路線図ににじみ出ているように思う。どの路線も『東京に出たがっている』(笑)」(和光市・50歳)

――埼玉県民以外には、ただのディスりに見えるかもしれない。しかし、県民である僕にはわかる。この人は、埼玉あるあるの1つ「南北の移動はしやすいけど、東西の移動(特に電車)がしづらい現象」を簡潔に表現してイジっている。県の交通事情を知る"愛埼家"ではないと、考えつかない変化球の愛なのである。

埼玉県名発祥の碑(記者撮影)

埼玉に生まれ、住み続けて約30年。さまざまな愛の言葉を読んだ記者は「埼玉県民とは、かくも愛情表現が巧みな県民であったのか」と驚くと共に、胸が熱くなった。

みんな埼玉が好きだったんだ(画像はイラストACより)

意見募集に寄せられたコメントに心を動かされていたのは、記者だけではない。1日、記者が埼玉県庁を取材すると、広報紙を担当する県民生活部・広報課主幹は声を震わせながら、語った。

「愛が溢れていました。どなたの意見も読んでいるだけで、『書いている時に埼玉で頭がいっぱいになっていた』と感じるものです」

1983年、前身の広報紙「県民だより」で、「なぜダサイ玉」とのテーマで意見を募ったところ67人中60人が「確かにダサい」と答えたという。そのため、今回の「本当に『ダさいたま』!?」の募集にはどんな意見が来るのかわからず不安があった。

そんな中で集まった399通の愛。県庁の広報課主幹ですら感激するほど、みんなが埼玉を愛していたのだ。

さあ、県民のみんな。これからは埼玉県民であることを恥ずかしがらず、愛を語り合おうではないか!

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