地球60個分以上の巨大な穴が太陽に出現、超高速の太陽風を噴出させている

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地球60個分以上の巨大な穴が太陽に出現、超高速の太陽風を噴出させている
地球60個分以上の巨大な穴が太陽に出現、超高速の太陽風を噴出させている

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 つい先日、太陽の表面に巨大な穴が開き、そこから私たちめがけて強力な「太陽風」が吐き出されたそうだ。

 「コロナホール(太陽から放出されている自由電子の散乱光であるコロナのうち、温度や密度が低い領域)」と呼ばれるその穴は、地球60個分もある巨大なもの。

 ここから噴出する太陽風が引き起こす磁気嵐は、当初の想定より弱いものの、普段なら見られない中緯度地域でオーロラが観察される可能性があったという。

 それ自体は過去にも何度も出現してきたものだ。しかしこれから「太陽極大期」へ向かうこのタイミングで、赤道付近にこれほど巨大なコロナホールが現れたのは前代未聞のことだ。

・太陽に空いた巨大な黒い穴「コロナホール」
 spaceweather.comによると、巨大なコロナホールは、12月2日に太陽の赤道付近に出現し、わずか24時間のうちに80万kmにまで成長。太陽風の地球到達日は、12月4~5日と予測された。

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2023年12月2日の太陽のコロナホールの様子 / image credit:NASA/SDO

 コロナホールとは、周囲のコロナ(太陽の外装大気の一番外にある高温のガス層)よりも温度や密度が低いため、紫外線や特定の種類のX線でとらえた際に黒い穴(斑点)のように見える領域のことだ。

 コロナホールからはイオンや電子といった帯電粒子(プラズマ)からなる太陽風が通常よりも高速で噴き出し、しばしば地球の磁気シールドを乱しては「磁気嵐」を起こす。・想定よりも地球に被害はなかった
 当初、今回の巨大なコロナホールは、中規模(NOAA宇宙天気スケールでG2)の磁気嵐を引き起こし、数日間、短波放送の障害や強いオーロラが発生する可能性があると予測されていた。

 ところが、実際の太陽風は予想より弱く、磁気嵐もまた想定より弱いもの(G1)だったようだ。

 それでも普段よりも激しいオーロラが現れる可能性はあった。

 それが実際に観測されたかどうかは不明だ。12月1、2日に北海道で20年ぶりにオーロラが観測されたが、今回の太陽風によるものではないという。

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コロナホールから噴出する太陽風は、通常のものよりずっと強力だ / image credit:NASA/GSFC・一体なぜこのタイミングで?
 このコロナホールがいつまで開いているのか不明だ。

 しかしアメリカ海洋大気庁「NOAA」によると、過去には太陽が1回転(27日)する間ずっと開きっぱなしだったものもあるという。

 もう1つわからないのは、なぜこのような巨大なコロナホールがこのタイミングで出現したのかということだ。

 現在、「太陽活動周期」(11年周期で変動する太陽の活動サイクル)は、太陽がもっとも活発になる「極大期」へ向かっている。だが今回のコロナホールは、それとは無関係とされている。

 NOAAによれば、コロナホールは太陽周期のどのタイミングでも出現するが、それでも極小期の方が発生しやすいのだという。

 太陽極大期にコロナホールが発生するとしても、ほとんどは太陽の極付近に出現する。そのため、太陽極大期に近いこのタイミングで、なぜ赤道付近にコロナホールが現れたのか、詳しい理由は謎に包まれている。・2023年はオーロラの当たり年
 だが、ここ数週間、下記のように、太陽の活動が活発化していることを示すサインはいくつも見られたとLive Scienceは報じている。
・11月18日―5つ以上の黒点によって形成された巨大な「太陽黒点群」が出現、宇宙に向けて太陽嵐を放出

・11月25日―太陽の赤道付近で爆発的な噴火が発生。突破的に噴出したプラズマの塊(コロナ質量放出。CME)は地球に衝突し、北海道をはじめとする低緯度地域でオーロラが観測された

・11月28日―「ほぼXクラス」の太陽フレアが発生し、やはりコロナ質量放出が発生。地球に衝突して、低緯度地域でオーロラが出現
 こうした活動のおかげで、今年はオーロラの当たり年であるようで、普段は見られない地域で美しいオーロラショーが観測されている。

 それは太陽極大期の到来を告げるサインである可能性が高く、10月、専門家は太陽活動周期のピークのタイミング予測を前倒して修正。現時点では2024年初頭に極大期が訪れるだろうと予測されている。

追記:(2023/12/08)本文を一部訂正して再送します。

References:Gaping Hole in The Sun Bigger Than 60 Earths Just Blasted Solar Wind Right at Us / Gigantic 'hole' in the sun wider than 60 Earths is spewing superfast solar wind right at us / written by hiroching / edited by / parumo



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