ここがスゴいぞ紫式部『源氏物語』!”世界最古“以外にも世界が認めた誉れとは?【光る君へ】

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ここがスゴいぞ紫式部『源氏物語』!”世界最古“以外にも世界が認めた誉れとは?【光る君へ】

『源氏物語』の古さ

2024年の大河ドラマ「光る君へ」で取り上げられることになり話題沸騰中の紫式部。そして彼女の代表作『源氏物語』。しかし、この作品のタイトルは知っていても、どういう理由でこれだけ有名かつ高評価となっているのか、理解している人は少ないでしょう。

宇治橋 紫式部像

今回は、『源氏物語』が「古典名作」となった経緯を見ていきましょう。

まずは成立時期の話です。『源氏物語』は1008~1010年頃に成立したと言われていますが、これは約400年続いた8~12世紀末の平安時代の中期にあたります。

例えば、ヨーロッパではダンテの『神曲』が古典文学の最高峰として評価されていますが、この作品の成立は1321年のことです。さらに、だれもが知っている『三国志演義』『水滸伝』に至っては14世紀後半の成立です。

これらと比較しただけでも、11世紀初頭に『源氏物語』という物語が誕生したのは、日本のみならず世界的な視野で見ても驚くべきことだと言えるでしょう。

大正時代にイギリス人が翻訳

では、『源氏物語』が世界中で読まれるようになったきっかけは何だったのでしょうか。実は、この作品を世界に向けて最初に紹介したのは日本人ではありませんでした。

それは1925年、大正14年のことです。イギリス人で東洋学者だったアーサー・ウェイリーが、『The Tale of Genji』というタイトルで英訳し、刊行したのでした。

アーサー・ウェイリー(Wikipediaより)

ちなみに、このウェイリーが翻訳した分の第一巻が発表された次の年には、さっそく各国語に翻訳され、スウェーデン、スペイン、フランス、イタリアでも次々に出版されました(現在は32の言語に翻訳されています)。

このウェイリーによる翻訳は、世界中の文学者・歴史家に大きな衝撃を与えました。何より驚かれた点は、その長大さでした。何せ『源氏物語』は400字詰め原稿用紙換算枚数で2,400枚、文字数で言えば100万文字以上になります。

もちろん現代ならこれくらいのボリュームの長編小説はたくさんありますが、パソコンはおろか万年筆もなかった千年以上も昔の日本で、たった一人の女性が(この点については諸説ありますが)手書きで書き上げたのです。世界中の人々を驚嘆せしめたのも当然と言えるでしょう。

キャラが立っていてエモい

さらに、『源氏物語』のもうひとつの魅力と言えば、作品内のキャラクターの感情のドラマや心理描写、そしてその深い精神性でしょう。

朝霧橋 宇治十帖の像

『源氏物語』には、約430人のキャラクターが登場します。紫式部は、彼ら一人ひとりに個性的な性格や心情を与えています。

そしてさまざまなシチュエーションの中で、彼らキャラクターは795首もの和歌を詠みます。しかもそれが、ちゃんと和歌の名手が詠んだものとそうでないものとでクオリティが区別されているのです。

今風に言えば、キャラが立っており、エモい要素も満載といったところでしょうか。世界最古の長編大河小説であり、魅惑的な恋愛小説。それが『源氏物語』なのです。

参考資料:
歴史探求楽会・編『源氏物語と紫式部 ドラマが10倍楽しくなる本』(プレジデント社・2023年)

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