大河ドラマ「光る君へ」1月14日放送の疑問点や重要トピックを振り返り!6年ぶりに再会した二人。しかし…

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大河ドラマ「光る君へ」1月14日放送の疑問点や重要トピックを振り返り!6年ぶりに再会した二人。しかし…

母・ちやは(国仲涼子)の死から6年が経った永観2年(984年)。15歳となったまひろ(紫式部。吉高由里子)は代筆業に勤しんでいました。

出世のために母の仇討ちを諦めた父・藤原為時(岸谷五朗)と対立する息苦しい日々の中、三郎改め藤原道長(柄本佑)と再会します。

大河ドラマ「光る君へ」公式サイトより

一方、朝廷では道長の父・藤原兼家(段田安則)が陰謀をめぐらし、次男の藤原道兼(玉置玲央)に対して円融天皇(坂東巳之助)へ毒を盛るよう命じました。果たして病を患った円融天皇は、師貞親王(本郷奏多)への譲位を決断します。

親王の教育係であった為時は一躍「式部丞の蔵人」に内定。ますます身を慎まねばならぬところへ、まひろの代筆業が発覚して親子喧嘩に発展しました。

「いろんな人の気持ちになって歌を詠んだりする時だけ、6年前の出来事を忘れられるのです。母上と私を裏切った父上を忘れられるのです!」

「縛られても、必ず縄を切って出ていきます。父上の言うことなぞ、私は聞かない!」

わだかまる思いを胸に家を飛び出したまひろは、誤って放免(検非違使の下級官人)に道長を捕らえさせてしまいました。

……という訳でNHK大河ドラマ「光る君へ」第2回放送「めぐりあい」では、まひろと道長たちの葛藤が描かれます。

それでは今週も気になったトピックを振り返っていきましょう!

目次

まひろの裳着(成人儀式)について 藤原兼家と藤原頼忠の対立、そして円融天皇の譲位 まひろが詠んだ夕顔の歌は『源氏物語』から 孟嘗君「鶏鳴狗盗」のこと 右兵衛権佐(道長)と梅壺女御(詮子) すさまじきもの 〜 第3回放送「謎の男」

まひろの裳着(成人儀式)について

公家女性の引眉&殿上眉(写真は一条美賀子)。口を開ければ鉄漿もしている(画像:Wikipedia)

物語の冒頭で、まひろが成人の儀式を行っていました。これを裳着(もぎ)と言って、初潮を迎えた10代前半から半ばの女性が、成人した証として裳(も。十二単の一つで袴のようなもの)を着せてもらいます。

裳の腰ひもを結んだら髪を結い上げ、鉄漿(おはぐろ)をつけて眉を剃り(又は抜き)、白粉を塗って殿上眉と呼ばれる眉を描きました。いわゆる「麿(まろ)メイク」です。

裳着を着せる役を腰結(こしゆい)と言い、また鉄漿をつける(又はそれを見届ける)役を鉄漿親(かねおや、かねつけおや)と言いました。

劇中では(演者以外)何も変わっていないように見えましたが、これをリアルにやるとインパクトが強すぎると判断したのかも知れませんね。

裳着をすませると一人前の女性として結婚などの権利(行使するのは親や一族)が認められ、白い小袖と緋(ひ)色の袴を着用しました。

何でも好きなものを着られた訳ではないのですね。

藤原兼家と藤原頼忠の対立、そして円融天皇の譲位

京都洛中の犯罪取り締まりに励む検非違使たち(イメージ)

円融天皇へそれぞれ娘を入内させ、政治抗争を続けていた藤原兼家と藤原頼忠(橋爪淳)。劇中では洛中の犯罪取り締まりについて議論していましたね。

検非違使を増員すべきとする頼忠に対して、増員よりも褒賞でやる気を出させることを提言した兼家。同席していた藤原実資(秋山竜次)も好きではないが、兼家に同意する旨をこぼしています。

兼家の娘である藤原詮子(吉田羊)は皇子である懐仁親王(石塚陸翔)を生んでいますが、円融天皇の寵愛は頼忠の娘・藤原遵子(中村静香)に。こちらは子供がいないため「素腹の后」などと陰口されていました。

酷すぎる!だけど…内裏へ送り込まれた藤原遵子(中村静香)に向けられた心ない侮辱とは【光る君へ】

円融天皇としては、兼家の台頭を抑えたいため、その娘である詮子を寵愛する訳にはいきません。しかし寵愛している遵子の父である頼忠の政治手腕は今一つ。そんな悩ましい状況です。

膠着状態を打開するため、兼家は詮子と懐仁親王を自邸(東三条殿)に引き取り、出仕をやめてしまいました。

兼家の台頭は抑えたいけど、いないと政治が混乱してしまう。円融天皇はしばらく意地を張り続けていましたが、ついに兼家の要求に屈して譲位を決断します。

円融天皇は、自分の子である懐仁親王を皇太子(次代候補)に立てることを条件に師貞親王へ皇位を譲ったのでした。

まひろが詠んだ夕顔の歌は『源氏物語』から

月岡芳年「月百姿 源氏夕顔巻」

寄りてこそ それかとも見め たそかれに ほのぼの見つる 花の夕顔

【意訳】近くに寄れば、ちゃんと見えることでしょう。黄昏時にぼんやりと見た夕顔の花が。

劇中、まひろの代筆として登場したこの歌は、紫式部『源氏物語』に登場する光源氏(源光、光る君)が夕顔という女性に詠んだものです。

「もしやあなたは、光の君ではありませんか?(心あてに それかとぞ見る 白露の 光添へたる 夕顔の花)」

彼女の問いかけに対して「近寄って見れば分かりますよ」と誘いかけ、二人は距離を縮めていきます。

ちなみに夕顔と呼ばれた彼女は、やがて生き霊にとり殺されてしまうのでした。

本作ではこれからも『源氏物語』による和歌などがたくさん出ると思われるので、注目して行きたいですね。

ただ、薄暗いところにくずし字で書かれると判読に時間がかかるので、出した時は字幕を出してくれると助かります。

また、せっかくなので歌の意味についても言及する場面があると、より視聴者の興味を惹けるのではないでしょうか。

孟嘗君「鶏鳴狗盗」のこと

鶏の鳴きまねなんて特技が役立つことがあるとは……(イメージ)

為時「犬のように盗むのがうまい男と、鶏の鳴きまねのうまい男を家来にした名君とは誰か」

太郎「ヘイゲンクン(平原君)?」

まひろ「(小声で)孟嘗君」

孟嘗君(もうしょうくん)とは中国の戦国時代に活躍した斉国の人物で、本名を田文(でん ぶん。生年不詳~紀元前279年没)と言いました。

ちなみに太郎(高杉真宙)が答えた平原君とは同じく戦国時代に生きた趙国の趙勝(ちょう しょう。生年不詳~紀元前251年没)のこと。

この他、魏国の信陵君こと魏無忌(ぎ むき。生年不詳~紀元前244年没)や楚国の春申君こと黄歇(こう あつ。生年不詳~紀元前238年没)が知られます。彼ら四人は後世「戦国四君」と呼ばれました。

そして本題となる盗みと鳴き真似の話ですが、鶏鳴狗盗(けいめいくとう)という故事成語をご存知の方も多いのではないでしょうか。

孟嘗君は多くの食客(居候)を抱えたことで知られ、何か一つでも特技があれば誰でも迎え入れました。

その中に鶏の鳴き真似名人と盗みの名人がおり、それが役に立ったという話です。

盗みはともかく鳴き真似をどう役立てたかと言うと、関所の番人が朝の一番鶏と共に門を開けることから、その鳴き真似で門を開けさせて脱出できたのでした。

だから一芸一才も軽んじることなく尊重すべき、という教訓なのですが、せっかくなら全部紹介して欲しかったですね。

断片的なワードや知識を散りばめて興味を惹く手はあるものの、やはりある程度の塊にしてあげた方がよりよいのではないでしょうか。

また、後に登場するであろう清少納言(ファーストサマーウイカ)がこの故事を元に、こんな和歌を詠んでいますね。

夜をこめて 鳥の空音(そらね)は はかるとも
よに逢坂(あふさか)の 関はゆるさじ

【意訳】夜を縮めようと鶏の鳴きまねをしたって、この逢坂の関門は開けませんよ=あなたを迎え入れはしませんよ。

果たして、これが後々どのような伏線となるのかどうか、楽しみです。

右兵衛権佐(道長)と梅壺女御(詮子)

宮中を警固する武官たち(イメージ)

「右兵衛権佐(うひょうゑごんのすけ)殿、梅壺女御(うめつぼのにょうご)様がお呼びです」

永観2年(984年)2月1日、道長は侍従から右兵衛権佐に転任しました。

この右兵衛権佐とは内裏を警固する兵衛府の次官(すけ)で、定員外を意味する権(ごん。権官)が付されています。

ちなみにこの官職は、後世の源頼朝(佐殿)と同じ。別に珍しくもないのですが、一昨年の作品とかぶっていて「おっ」と思った視聴者は少なくなかったのではないでしょうか。

また梅壺女御とは、大内裏の梅壺という御殿があり、詮子はそこに住んでいたのでした。

ちなみに梅壺女御と呼ばれる女性は紫式部『源氏物語』にも登場しており、秋好中宮(あきこのむのちゅうぐう)とも親しまれます。

こういう『源氏物語』ネタをちょくちょく入れてくるので、どこまで拾い切れるか注目していきたいですね。

(広盛)また姉上のお呼びか?

※劇中の字幕より

道長の同僚と思しきこの男性(馬庭良介)、今後も出てくるのか、こちらもちょっと注目しています。

すさまじきもの

※この項目名は清少納言『枕草子』より。

その他、こまごまとした事などを書き留めておきましょう。

まひろが柱に寄りかかり、膝を立てて座(ぐで)るのはいかがなものでしょうか。彼女一人ならともかく、父や乳母は叱らないのでしょうか。 女性が白昼の街中を駆け回るのはあまりよろしくありません。男性であっても、緊急事態を除いてそうは走らないものです。周囲を警戒させてしまいますから(現代でも、諸外国ではそのようです)。 前回から気になっていましたが、女性が几帳ごしに話さないのもいかがなものでしょうか。特に父や弟とは言え、異性の前では尚更そう感じます。 キャラクターの見分けやすさを優先したためでしょうが、まひろはじめ、皆さん装束が原色過ぎやしないでしょうか。真っ赤な着物で白昼駆け回っていたら、間違いなく噂されてしまいそうです。 いくら弟とは言え、道長をそう頻繁に呼び出せるものでしょうか。あまり気軽すぎてしまうと、平安貴族らしいやんごとなき感が薄れてしまいます。

ドラマの都合上、まどろっこしいと思われるかも知れませんが、このノロリノロリとした空気感も、時代劇の醍醐味ではないでしょうか。

こういう「もののあはれ」の追求に、今後期待しています。

第3回放送「謎の男」

さて、捕らわれてしまった道長と自宅に連れ戻されるまひろ。次週はそんな会えない二人のもどかしさが描かれるようです。

突如現れたお尻ペンペン男、その正体は何者?(イメージ)

そして逃げていった「お尻ペンペン男(直秀・毎熊克哉)」はいったい何者なのか……物語は新たな展開を迎えます。

「どんな女子に興味があるんだ?」
「まひろさんは漢字がお得意なのね」
「文だの歌だの贈らないでも訪ねてしまえばいいんだよ」
「この男、知りませんか?」
「いつもお目にかかれずすれ違ってばかりですから」
「媒膳の女房たちを取り調べろ」
「頼んだぞ、道兼」
「私を間者にしろと」
「会いたかった」「会いたかった」

次週はどんなネタを仕込んで来るのか、ますます目が離せませんね!

※参考文献:

石上英一ら『岩波日本史辞典』岩波書店、1999年10月 倉本一宏『新装版 人物叢書 一条天皇』吉川弘文館、2003年12月 山本淳子『源氏物語の時代 一条天皇と后たちのものがたり』朝日新聞出版、2007年4月 西沢正史編『源氏物語作中人物事典』東京堂出版、2007年1月

トップ画像: 大河ドラマ「光る君へ」公式サイトより

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