虫けらはお前だ!唸る鉄拳に父の高笑い…大河ドラマ「光る君へ」2月4日放送の重要トピックを振り返り!

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虫けらはお前だ!唸る鉄拳に父の高笑い…大河ドラマ「光る君へ」2月4日放送の重要トピックを振り返り!

まさか三郎が、母ちやはを殺したミチカネ(藤原道兼)の弟・藤原道長だったなんて……ショックで寝込んでしまったまひろ(紫式部)は、憑きものつきなどと噂されてしまいます。

そんな中、直秀の手引きでまひろと再会した道長は6年前の真相を知り、兄の非道をまひろに詫びたのでした。

「虫けらはお前だ!」

帰宅して道兼に鉄拳を奮う道長。日ごろぼんやりして見える道長の熱き心を見て「これで我が一族も安泰」と高笑いする父・藤原兼家……今週もいい感じですね!

さて、NHK大河ドラマ「光る君へ」第5回放送「告白」は、永観2年(984年)11月下旬から寛和元年(985年。永観3年)の春ごろにかけての数ヶ月間が描かれたものと思われます。

それでは今週も気になるトピックを振り返っていきましょう!

僧(植本純米)と寄坐(傳田うに)

あの胡散臭い二人組は、また出て来ることがあるのだろうか(イメージ)

僧「成仏を願い、不動明王の御真言を唱えつつ朝晩水垢離(みずごり)をされよ。やらねば怨念が積もり、姫は……死~ぬ~!」

死んだように眠るまひろを治療するべく招かれた僧と寄坐(よりまし)。劇中ではすごく胡散臭かったものの、当時はあれで本気の治療でした。

僧侶が祈祷することで病人の体内に憑りついた霊を外へおびき出し、それを寄坐の身体に宿らせて霊と対話し、調伏or成仏させて治療するという理屈です。霊が寄り坐す(ます。座す)から寄坐といいます。

まずはきちんとヒアリングを行い、憑りついているのが誰の霊なのかの見当をつけましょう。

そうでないと、例えば母親が生きているのに母親の霊を呼び出してしまうような失態にもつながりかねません。

合わせて病人や家族の名前などもきちんと聞き出しましょう。でないと劇中のように、母親の霊が娘の名前もきちんと呼べないようなことになってしまいます。いくら何でも「娘~」ではリアリティがありません。

要するにインチキですね。今回は実に分かりやすく演じてくれました。

「死んだように寝るのやめるから、ああいう人たち呼ばないで」

まひろが呆れるのも無理はありませんが、仮病を使ってたのは何でなんでしょうね。

架空の人物・侍従宰相(ザブングル加藤)について

侍従宰相。一瞬で視聴者の印象に残る名演技でした(イメージ)

赤染衛門「肇子様は、五節の舞で侍従宰相(じじゅうさいしょう)様のお目にとまり、昨夜、さっそくお通いがあったとか」

茅子「お顔の四角い、あの方……」

源倫子「お顔は存じ上げないけれど、大層な富がおありのようよ」

とか何とか。この侍従宰相なる人物が何者か調べたところ、架空の人物だったようです。

ちなみに侍従(じじゅう/おもとびと)とは天皇陛下をはじめ皇族の側近として仕える官職を言い、少しずつ形を変えながら令和21世紀の現代まで続いています。

また宰相とは参議(さんぎ/おほまつりことひと)の別名で、朝議(朝廷の会議)に参加したことからその名がつきました。

こちらは明治時代まで続き、大久保利通や木戸孝允、西郷隆盛と言った歴史上の有名人がその名を連ねています。

侍従と宰相を兼ねていたor歴任した人物ですから、よほどの重職にあったのでしょう。

どうせ架空の人物だから細かいことはどうでもいいのですが、こういう設定の背景を想像してみるのも楽しいですね!

花山新制と荘園整理令

「花山新制」の実現に向けて奔走する側近たち(イメージ)

花山天皇「関白・左大臣・右大臣が朕の政に異を唱えようと構うことはない。どんどんやるのだ。ためらわず、前に進め」

前回放送に続き、ほとばしる若き情熱のまま政治改革を推し進める花山天皇。後世「花山新制」と呼ばれたその政策には、例えばこんなものがありました。

破銭法(はせんほう。ボロボロになった貨幣も流通させることでデフレを防いだ。ただしインフレのリスクもある) 沽売法(こばいほう。朝廷による物価統制。物価の暴騰や暴落を防げる一方、物価が庶民の生活にそぐわなくなるリスクもある)

そして劇中でも言及された荘園整理令。簡単に言えば「出所のハッキリしない荘園を禁止する≒国家で召し上げる」法律と言えるでしょう。

これは全国各地の荘園を財源としていた公卿たちの力を削ぐもので、関白の藤原頼忠・左大臣の源雅信そして右大臣の藤原兼家が数十年ぶりに意見を一致させたのも当然です。

既得権益を守ろうとする抵抗勢力に対しても一定の配慮がなければ、せっかく高い理想を持って行う政治改革も実を結びません。

実資「夢を語るだけであれば、誰にでもできる。されど実が伴わねば、世が乱れるは必定……」

だから藤原実資は、花山天皇の側近である藤原義懐と藤原惟成に対して、陛下をお諫めするよう進言したのでした。

果たして花山新制の行く末はどうなっていくのでしょうか。

さて、今週の”F4”は?

F4の一人・藤原行成。菊池容斎『前賢故実』より

藤原斉信「帝は、我等より若い。志は高く、やる気もおわす。これは、思ったより長いご治世になるやもしれぬなぁ」

藤原公任「その割に、斉信の位は上がらぬな。帝は弘徽殿の女御をご寵愛だが、その兄君には興味がないのであろうか」

藤原行成「それは、これからのことでございましょう」

公任「どうかな」

……さぁ、今週もやって参りました。誰が呼んだかF4(藤原四人組)の時間です。顔ぶれはおなじみの藤原斉信・藤原公任・藤原行成そして藤原道長でお送りします。

だいたい斉信と公任が何か言い合って、やや年少の行成がフォローし、最後にぼんやりと聞いていた道長に話が振られるパターンでしょうか。

政務を執りながらの雑談っぽく、これまでの状況や自分たちの立場などを視聴者に説明してくれる親切な人たちです。

藤原斉信……花山天皇が寵愛する女御・藤原忯子の兄。道長のいとこ。 藤原公任……近ごろ花山天皇に疎まれている関白・藤原頼忠の子。道長のまたいとこ。 藤原行成……道長のいとこ甥。のち斉信・公任・源俊賢と共に「一条朝の四納言」と称される。

※道長との続柄など諸説あり。

道長の説明はもう要りませんね。要するに四人とも何やかんやで親戚同士の関係になります。

親世代(兼家・頼忠・雅信ら)とは別の形で、新しい政に向き合おうとしている様子が語られていました。

公任「それに、俺たちの世になるということは、俺たちが競い合うということでもある。なぁ道長」

藤原道長「ん?」

今はまだ部活感の強いF4ですが、彼らが政治の表舞台に踊り出すと、その関係がどのように変わっていくのか、楽しみに見守っていきましょう。

藤原寧子(右大将道綱母)と残念な子・藤原道綱

『蜻蛉日記』の一場面(画像:Wikipedia)

平安貴族の例にもれず、兼家にも側室がおり、それぞれ子供を生んでいました。

その一人が今回初登場の藤原寧子(この名前は創作)とその一人息子・藤原道綱です。

劇中で明るく無邪気に振る舞う道綱と、その将来を案じて兼家に力添えを懇願する寧子。見ているだけで胸が痛くなります。

ここで公式サイトの人物紹介を見ておきましょう。

道綱の母 藤原 寧子(ふじわらのやすこ)
財前 直見(ざいぜん・なおみ)
藤原兼家の妾(しょう)。一人息子の道綱を溺愛している。和歌にたけており、兼家との日々を『蜻蛉日記(かげろうにっき)』として残した、才色兼備の女性。まひろ(紫式部)も幼いころから、『蜻蛉日記』を読みこんでいる。

道長の異母兄 藤原 道綱(ふじわらのみちつな)
上地 雄輔(かみじ・ゆうすけ)
道長の異腹の兄。知性豊かな母を持つが、本人は一向に才に恵まれず、父の兼家からは、嫡妻の息子たちより格段に軽く扱われている。性格は明るくお人よしで、憎めないところもある。

……ちなみに実際の寧子はこんな丁重?には扱われておらず、たまにアプローチがあっても素直に喜べない複雑な心情が『蜻蛉日記』に記されています。

本作設定では、まひろが『蜻蛉日記』愛読者という設定ですが、当時の人々が自分日記を出版する≒広く公開する習慣があったのでしょうか。

死後に知られるならともかく、生きている内にそんなものが出回ったら、恥ずかしすぎて死んでしまうかも知れませんね。

そして残念な子・藤原道綱……藤原実資は「一文不通(文章の一つも書けない物知らず)」「いい歳をして、自分の名前しか漢字を読み書きできない」など酷評していました。

母・寧子から見ても「おっとりして、大人しすぎる」など意欲の低さを案じているほどです。

ただ弓は達者で、宮中で催された弓術大会で道長チームを相手に引き分ける貢献をしました。

また、和泉式部などは和歌のやりとりを通じて「あはれを知る人」と決して悪くない評価です。

これからどんな活躍を見せてくれるのか、応援したくなりますね!

懐妊した藤原忯子。しかし……

呪詛しすぎて寿命が縮みに縮み、80数歳しか生きられなかった短命の安倍晴明(イメージ)

前回、花山天皇から寵愛を受けていた藤原忯子。しかしあまりの寵愛ゆえか、身体を悪くしてしまったそうです。

その過程は察するよりありませんが、放送したらNHKに苦情が殺到したかも知れませんね。

さて、その寵愛ゆえか花山天皇の子を身ごもった忯子。もし男児ならば、この国の行く末が危うい……という訳で、困った時の安倍晴明。兼家たちはさっそく呪詛を依頼しました。

一度は「生命を削ることになるから」と断る晴明でしたが、関白はじめ錚々たるメンバーに詰め寄られては、物理的に生命が削られかねません。

畏れ多くも帝の皇子を呪詛し奉ることになるのでした(女御様は別によいようですね)。

生命を削って呪詛した結果、安倍晴明は80余歳で世を去ることになります。可哀想に……。

劇中ではもうしばらく生きる予定なので、ご安心ください。

第6回放送「二人の才女」

さて、次週第6回放送は「二人の才女」。皆さんお待ちかね?ききょうこと清少納言が初登場です。

そして藤原忯子が身ごもったまま急死し、悲嘆にくれる花山天皇が出家してしまいます。

いわゆる「寛和の変」その黒幕は言うまでもなく藤原兼家、一族の泥をかぶる実行犯は、みんな大好き?ミチカネこと藤原道兼です。

果たして来週はどんな展開を迎えるのか、目が離せませんね!

※参考文献:

上島享『日本中世社会の形成と王権』名古屋大学出版会、2010年2月 服藤早苗 編著『平安朝の女性と政治文化 宮廷・生活・ジェンダー』明石書店、2017年3月 服藤早苗ら編『紫式部を創った王朝人たち 家族、主・同僚、ライバル』明石書店、2023年12月

日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan

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