平安時代の刑罰の種類まとめ、花山天皇の女御など…直秀ロスが癒えぬ中「光る君へ」3月3日放送振り返り

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平安時代の刑罰の種類まとめ、花山天皇の女御など…直秀ロスが癒えぬ中「光る君へ」3月3日放送振り返り

山に囲まれた都という鳥かごから抜け出し、海の見える遠くの国へ旅立とうとしていた直秀(毎熊克哉)ら散楽一座。

潮時とは感づきながら、東三条の館へ忍び込んだが運の尽き。流罪かと思いきや、鳥辺野で斬られてしまったのでした。遠くの国とは西方浄土、果たして海は見えるのでしょうか。

一方、東三条では藤原兼家(段田安則)が仮病から目を覚まし、安倍晴明(ユースケ・サンタマリア)から伝授された秘策を息子たちに明かします。

内裏では、いまだ成仏できぬ藤原忯子(井上咲楽)の怨霊がさまよっているとの噂が流れ、花山天皇(本郷奏多)はいよいよ出家の決意を固めるのでしょうか……。

NHK大河ドラマ「光る君へ」皆さんも楽しんでいますか?今週はまひろ(紫式部/吉高由里子)にとって、大きなロス回となりました。

悲しみにくれるファンも多い中、今週も振り返っていきましょう!

五つの刑罰・笞刑、杖刑、徒刑について

囚われの直秀たち(イメージ)

盗みの罪によって捕らわれた輔保(松本実)たち散楽一座。検非違使に引き渡され、牢の中で叩かれるの流されるのと語っていました。

大宝律令や養老律令によると、犯罪には軽い順に以下五つの刑罰があったと言います。

笞刑(ちけい)……むち打ち。
杖刑(じょうけい)……棒叩き。
徒刑(づけい)……強制労働。
流刑(るけい)……追放。
死刑(しけい)……斬首もしくは絞首。

むち打ちと棒叩きって、大して違わないような気もしますが、両者にはこんな違いがありました。

【笞刑】身柄の拘束を必要とせず、現地国司の判断で執行できます。つまりすぐに帰れました。
【杖刑】身柄を拘束され、執行判断を中央に仰がねばなりません。地方であれば伺いに時間がかかるため、それだけ長く囚われることになるでしょう。

また打たれる・叩かれる回数も規定がありました。

笞刑は罪状に応じて10回から50回まで十回刻みの5段階。

杖刑は罪状に応じて60回から100回まで十回刻みの5段階だったそうです。

ちなみに杖刑以下は回数に応じて銅を納付することで免除されることもありました。

これを贖銅(しょくどう)と言い、富裕層は実刑を免れることが可能です。

また、使用人が主人に対して罪を犯した場合、刑吏に代わって主人が自ら執行する事例もありました。半ば公認のリンチですね。

【徒刑】現代の懲役刑に該当するもので、畿内であれば都の造営や維持管理、女性は精米や裁縫に従事しました。

刑期は1年から3年まで、罪状によって半年刻みで5段階に分かれています。

ただし、私鋳銭製造(通貨偽造)の罪については終身刑だったそうです。よほど横行していたのでしょうか。

ちなみに10日に1日の休みがあったそうですが、休日の食事は自腹で賄わねばなりませんでした。

病気の時は労役を免除されますが、休んだ分だけ刑期を延長されたと言います。出来れば休まず働いて、早く刑期を満了したいですね。

そして一家の大黒柱など、受刑者の他に働き手のいない家庭では杖刑をもって代えたこともありました。

五つの刑罰・流刑と死刑について

流刑に処される受刑者(イメージ)

【流刑】居住地から追放されてしまう刑罰で、罪状によって近流(こんる)300里/中流(ちゅうる)560里/遠流(おんる)1,500里の距離が定められていたそうです。

ただ移住を強制されるパターンと、移住先で一定期間の徒刑を合わせて科されるパターンがありました。

受刑者の護送は検非違使が行っていましたが、後に武士が護送するようになります。

【死刑】当時の死刑は斬首と絞首の2種類があり、首を断ち切ることで魂が戻っても復活できないと考えられていました。

斬首の方がより重い刑罰となります。基本的には公開処刑でしたが、貴人の場合は非公開にされたり、自宅での自害が許されたりするケースもあったと言います。

絞首刑は現代のような吊るすハンギングスタイルではなく、首を綱ではさみ、その両端を逆方向にねじ上げることで殺しました。

死刑執行は怨霊が祟りをなさぬよう、縁起のよい(適した)日を選んだと言います。

果たして輔保・直秀らは護送中に斬られてしまいましたが、公的には流罪の途上で変死を遂げた扱いとなるのでしょう。

そもそも、配流先で無事に生命を永らえる保証などないのですから。

にしても、道長が賄賂を渡して「手荒なことはしない」と約束したのに、検非違使はなぜ彼らを斬ったのでしょうか。

道長以上の賄賂を誰かから受け取ったのか、あるいは土御門家からの強い処刑要請があったのかも知れませんね。

三人の女御たち

劇中でも言及されていたとおり、花山天皇には藤原忯子の他にも三人の女御がいました。

婉子女王(えんし/つやこじょおう)と藤原諟子(しし/ただこ)、そして藤原姚子(ちょうし/とうこ)です。

花山天皇の女御(おんな)は早逝した藤原忯子だけじゃなかった!それぞれの生涯をたどる【光る君へ】

既に紹介していますが、こちらでも改めてざっくり紹介しましょう。

婉子女王

天禄3年(972年)生~長徳4年(998年)9月17日没

村上天皇の孫娘に当たり、はじめは花山天皇に寵愛されたものの、すぐに飽きられてしまいます。

藤原忯子が亡くなると再び召し出されますが、病を理由に辞退しました。

やがて花山天皇が出家すると藤原実資と再婚しますが、27歳の若さで世を去ります。

藤原諟子

生年不詳~長元8年(1035年)6月21日没

関白・藤原頼忠(橋爪淳)の娘。藤原遵子(中村静香)や藤原公任(町田啓太)の姉妹に当たります。

花山天皇からは特別な寵愛を受けなかったようですが、二人の関係は細く長く続いたそうです。

盛り上がりには欠けるものの、入内からおよそ半世紀にわたって長寿を保ったのでした。

藤原姚子

天禄2年(971年)生~永延3年(989年)5月29日没

醍醐天皇の孫娘に当たり、鳴り物入りで入内しますが、肝心の花山天皇には寵愛されませんでした。

そのため入内からわずか1ヶ月で内裏を去ってしまい、堀河に住んだことから堀河女御と呼ばれます。

藤原実資(秋山竜次)も、劇中で口にしながら「見込みはないだろうな」と思っていたことでしょう。

藤原惟規、大学へ行くの巻

学問に励む惟規(イメージ)

悲しい出来事もありましたが、まひろ家では嬉しいこともあります。

永らく学問嫌いで知られていた藤原惟規(高杉真宙)が自分から書を読み、大学へ行くのでした。

為時「一念通天、率先垂範、温故知新、独学孤陋、肝に銘じよ」
※各語の大意:天に届く(通じる)まで志を貫け。模範となるよう進んで励め。古きをたずねて新しきを知れ。独りよがりな学問は大成せぬと心得よ。

まひろ「今の分かった?」

惟規「一つ分かった」

為時「情けないのぅ……」

まひろ「今日から本気出しますので。ねっ」

惟規「ん」

為時「しっかり学んで、見違えるように成長せよ」

惟規「はい!行って参ります!」

彼の口から大学と聞くと、何だか現代的な感覚でとらえてしまいますね。

しかし当時の大学とは、立派な官僚養成機関。惟規は文章生(もんじょうしょう)に選ばれたかなりのエリートです。

彼らは紀伝道(きでんどう。漢学)を修め、やがて式部省(現代の人事院に相当)で完了を教育する側に回るのでした。

これまでボンクラなイメージで描かれてきた太郎(惟規)。しかしそれはあくまで「姉(まひろ/紫式部)と比べて」であり、当人自身を見れば和歌を巧みに詠む教養人でした。

歌集『藤原惟規集』も現代に伝わり、その知性を偲ばせます。

姉を超えろとは言いませんが、大きく成長した姿を視聴者に魅せて欲しいですね。頑張れ太郎!応援してるぞ!

今週が見納め?実資の妻・桐子について

「あなたそれ(延々と続く愚痴)、日記に書きなさいな。そうよ、日記、日記!」

「恥ずかしくて書けるか!」

……と言いながら、実資の日記『小右記』は愚痴がたくさん。

もちろんそれだけではなく、当時の貴重な記録や豊富な智識が詰まっています。

現代だったらSNSで発信して、間違いなくバズるか炎上するかのどっちかでしょう。

NHKで「実資のスマホ」なんて放送してくれたら人気が出そうですね。

さて、実資の妻として登場し、夫とのかけ合いが視聴者の人気を集めている?桐子(中島亜梨沙)。

彼女のモデルは源惟正女(これまさのむすめ)と言われていますが、もしそうなら本年中に亡くなってしまいます。

この時点で生まれて間もない一人娘がいるのですが、もう彼女は見納めなのでしょうか。

いや、まだ望みはあります。実資にとって三人目の妻である源頼定乳母女(よりさだのめのとのむすめ)がいます。

幸か不幸か、彼女は生没年不詳。これなら実資と永く寄り添い続けても不思議ではありません。

そうだそれがいい……という設定を期待しています。

3月10日放送・第10回「月夜の陰謀」

御所を抜け出す花山天皇と藤原道兼。月岡芳年筆

皆さま、永らくお待たせ?いたしました。

これまで何回か花山天皇が出家すると予測していながら、何度も外してきましたが、次週こそついに出家するようです(待っていた訳じゃありませんが……)。

晴明「決行は、歳星(さいせい)が二十八宿の氐宿(ていしゅく)を犯す日」
詮子「何があるの?」
行成「志を、言葉に表しております」
花山天皇「忯子の文を持ってまいるのを忘れた」
道兼「急ぎませぬと……」
兼家「全ての門を閉める」
道長「行って参ります」
道隆「声を出すな!」
まひろ「死ぬまで見つめ続けます」
道長「一緒に行こう」
実資「このようなことは、おかしい!」

果たして、晴明の秘策は成功するのでしょうか?また『源氏物語』の夕顔エピソードが再現されるようですね。果たして道長とまひろがどうなるのか、次週も楽しみに見守りましょう!

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