激レアさんがやってきた!ピンクハンドフィッシュを沈没した難破船近くで発見
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タスマニア沖に沈む難破船を探索していたダイバーたちが、非常に珍しいピンクハンドフィッシュを発見した。
ピンクハンドフィッシュはめったにお目にかかれない激レア種で、1947年に発見されて以来、ほんの数回しか目撃されていない。そのすべてがオーストラリア、タスマニア州で発見されている。
ダイバーたちは、この珍しいピンク色のハンドフィッシュを撮影することに成功した。
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Discovery of a Pink Handfish・難破船を探査中激レアのピンクハンドフィッシュを発見
アンコウ目のハンドフィッシュは、これまで5属14種が確認されている。魚だが浮袋を持たないため、泳ぐというより手のような胸ビレを使って海底を這いまわる。
中でも体長約10cmほどのピンクハンドフィッシュ(Brachiopsilus dianthus)は特に珍しく、1947年に発見されて以来、目撃例はほとんどない。
ダイバーたちがこの珍しい魚に気がついたのは、タスマニア沖で沈没した蒸気船タスマン号の探索をしているときだった。
「ぼくたちは、難破船探索のために現場に潜っていたのだけど、ハンドフィッシュがすっかり話題をさらってしまったんだ」ダイバーのひとり、ブラッド・ターナー氏は語る。
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難破船近くにいたピンクハンドフィッシュ / image credit:James Parkinson
今回ターナー氏らが探査を行っていたタスマン号は1873年に建造され、シドニーとタスマニアの州都ホバート間の貨物と旅客両方の輸送に活躍したオーストラリアの蒸気船だ。
現在はタスマニア本島から10kmのところにある花崗岩の島ヒッポリート・ロックス近くに沈んでいる。
1883年11月、狭い場所を通過しようとして海図にないサンゴ礁に衝突して沈没し、29人の乗客乗員は逃げて無事だったが、75頭の牛が船内に取り残されたという。
ダイバーたちは、水深70メートル地点で25分間探索を行い、酸素濃度に注意しながら90分かけて水面へと浮上する。
探索が終わりに近づいた頃、最初にピンクハンドフィッシュを見つけた場所から10mほどのところで2匹目が見つかり、またまた仰天したという。
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ハンドフィッシュは、手のような胸ビレを伸ばしてサンゴに覆われた船の残骸の間に隠れていた / image credit:James Parkinson・ピンクハンドフィッシュはタスマニアの絶滅危惧種の1つ
ピンクハンドフィッシュは、タスマニアで見られる4種の絶滅危惧種うちのひとつだ。
普通の魚と異なり、ハンドフィッシュには浮袋がないため、岩の多い海底付近に留まることが多く、長い距離を泳ぐことができない。
「彼らは、海底に張りついて海綿のように見せるカモフラージュ方法で、環境に適応しています」タスマニア大学の生態・生物多様性の准教授、ネヴィル・バレット氏は語る。
こうした偽装法を使って、獲物や捕食者に見つかるのを避けつつ、ユニークな胸ビレを使って狩りをします。これまでは、ピンクハンドフィッシュは水深38mまでの浅瀬に生息していると考えられていた。
この胸ビレは手のような構造に進化していて、これで海底にへばりついて、近くを通り過ぎる獲物に素早く飛びかかるのです(ヴィル・バレット氏)
ところが2021年、海洋南極研究所とタスマニア大学がエサをつけた遠隔水中ビデオと自律型水中車両を使って、水深120m付近にもピンクハンドフィッシュが生息していることを発見した。
これは、ピンクハンドフィッシュがこれまで考えられていたよりももっと深い場所でも生息できることを示している目撃例だ。
ピンクハンドフィッシュが、温度が上がった浅瀬からより冷たい深い海へと徐々に移動しているということで、この種の生存が懸念されている。
「彼らの生息域が地球温暖化によって深刻な脅威にさらされている証拠で、この100年以内に彼らが絶滅してしまう可能性があるのです」バレット氏は警告する。
追記:(2024/04/07)タイトルを一部訂正して再送します。
References:Watch rare endangered pink handfish walking in 19th-century shipwreck off Tasmania | Live Science / written by konohazuku / edited by / parumo
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